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2017.08.31

テクノロジーが動物と人の未来を変える!?渡辺さん一家が体感した未来動物園とは

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AI、IoT、フィンテックなど、テレビや新聞をにぎわせる先端テクノロジー。何がどのように変わるのか、その時私たちはどうしたらいいのかなど、興味は尽きない。ただ、いまだに期待値止まりの部分も大きく、実際のところは分からない。
そこで今回は、ある動物園に突然それら先端テクノロジーがやってきたらどうなるのかを、シミュレートしてみた。

ある日動物園が大変化! その時何が起こる?

 今も昔も訪れる人の心を癒してくれる憩いの場所、動物園。おなじみの動物が、家族連れなど訪れた者を楽しませてくれる。一見、テクノロジーとは無縁のこの空間に、ある日突然最先端のテクノロジーが導入されたらどうなるのだろうか……。図らずもそれを体験することになったのは、渡辺さん夫婦と3歳の男の子。この日、お披露目されたばかりのパンダの赤ちゃんを見に来た3人は、開園間もない朝10時すぎ、大きなアーチのある動物園の入口にやってきた。そしておしゃべりをしながらゲートを通過。料金の支払いをしないまま園内に入っていく。

 奥さんが気づき渡辺さんに尋ねる。「ねえ、お金払ってないけどいいの? ほかの人並んでるじゃない」。見れば大勢の人がチケット売り場に並び、自動販売機でチケットを購入して順々に入園している。3人はそんな行列を横目に悠々と入園したのだ。通ったのは「公式アプリ“スマートZOO”インストール済みの方専用レーン」というもの。もちろん同じレーンで入園する者も一定数いたが、ゲートを通り過ぎるだけなので混雑はない。

 いまマスコミを騒がせているテクノロジー御三家といえば、間違いなくAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、フィンテック(Fintech。金融とITの融合を意味する米国発の造語)だろう。だれでも口をついて出てくるほどに浸透したこれらの単語だが、その何たるかを正確に把握しているかといえば怪しい。AIは囲碁・将棋で人間と知恵比べ中、IoTは冷蔵庫の中にどんな食材があるか出先からでも確認できる便利機能、フィンテックは、来るべきキャッシュレス時代を実現する技術……。おおかたの理解はそんなところだ。もちろん間違いではないが、それぞれの技術のほんの一端を示しているに過ぎない。かといってこれらの技術を、余すところなく表現するのもまた難しい。なぜなら、これらのテクノロジーが、開発に関わる当事者でも定義できないほどの可能性を秘め、爆発的な進化を遂げつつある予測不能な“怪物”だからだ。その範ちゅうで捉えるべきテクノロジーは他にもある。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、ドローン、またはクラウドなどもそうだろう。3Dプリンター、ビッグデータも一隅を占める。そして、それらを支える基盤技術としてペイメント(決済)があることを忘れることはできない。あらゆるテクノロジーをサービスとして私たちが享受する瞬間に、なんらかのペイメントが走っている。普段は格別に意識することもないが、その技術もまた、恐ろしいスピードで進化している。

 さて、渡辺さん一家に戻ろう。“入園料問題”は解決していないが、楽しい一日が始まった。事前エントリーで必要事項を入力しておいたため、見たい動物とその園舎の配置、気温、天候、入園者の年齢などから “スマートZOO”がAIを使ってレコメンドしてくれたモデルルートに従って園内を回ることにした。

 昨日チェックした時は最初にパンダを見に行くようになっていたが、条件が変わったため最初にキリンを見に行くよう薦めていた。表示されたコメントを見ると、どうやら、開園と同時にパンダ舎に直行した入園者が集中し、今向かうと20分以上待たないとパンダの赤ちゃんにたどり着けないかららしい。それでも入力条件によっては真っ先にパンダを見に行くルートがレコメンドされたかもしれないが、渡辺さんは子どものことを考えて、許容できる待ち時間を5分以内としていた。それが影響しているようだ。入口に比較的近いところにあったキリンの飼育舎に向かう途中、あと100メートルほどというところで、プッシュ通知が表示された。見れば「ただ今レストハウスにて、キリンを見たお客様にスペシャルアイスを提供中!」とある。渡辺さんがアプリの園内マップを確認すると、キリンの園舎のすぐ近くにレストハウスがあり、そこでアイスを売っているようだった。レストハウス近辺の動物にちなんだ商品をレコメンドするようプログラムされており、来園者が該当する動物の飼育舎に近づくと、その動物に合わせた通知が表示される。園内の気温はすでに30度。たしかに何か冷たいものを食べたい気分だ。

 入園者は、アプリか入園時に配られるステッカーに貼り付けられた使い捨てのICチップと園内各所に設置されたセンサーやカメラによって位置を捕捉され、アプリのユーザーにはそれを踏まえた情報を適切に発信する仕組みになっている。当然その情報は、来園者の動態分析に役立てられ、混雑緩和のための誘導にも使われている。

 レモンシャーベットとチョコを用いたキリン柄のアイスは非常においしく、キリンもストレスなく見ることができた。子どもは大満足。しかもアプリのスタンプラリーでキリンのスタンプをゲットしていたので、自動的に50円引きになった。 支払いはひも付けたウォレットで完了した。こうしてAIが気温や天候に応じたコメントの発信や、アプリのチャット機能を通じて来園者への問いかけに答えることで、入口付近にあるショップや園内に3カ所あるレストハウスの売り上げ増加が期待でき、その上データの蓄積によってさらに効果のある施策を打てる。これらのマーケティングを、飼育員などのリソースを必要以上に割くことなく実施できるのは、本業の価値向上に役立つに違いない。

 この動物園ではほかにもテクノロジーが各所で効果を発揮している。動物が病気やケガなどで檻にいない時でも、スマホをかざすと元気な姿がARで見られるようになっているのもその一つ。これは、人気があって常時来園者の目にさらされている動物にも適用される。AIが動物たちの負荷状況を監視、ストレス係数を割り出し、数値が高まっている動物の公開を一時休止し、その間はARで対応する。その動物をルートに組み込んでいた来園者には、「動物のストレス軽減のため」と理解を求め、別のルートをレコメンドするなどのBプランをAIが即座に用意する。これはもちろん動物のためでもあり、「動物とともに生きる」をキーメッセージにするこの動物園のBCP(事業継続計画)の一環にもなっている。

 さて、渡辺さん一家はどのように入園料を支払ったのか。実は、この動物園ならではの「オンデマンド課金」という方式を選択、楽しんだ分だけ退場した後に決済したのだ。この方法なら従来の定額支払いと異なり、子供がぐずりだしてどうしようもなくなったり、気に入った動物の前から離れなくなったりしても無駄がない。また、そうした利便性とは別に、「感動の対価を支払う」という現代の志向性にもマッチしたペイメントといえる。

 「オンデマンド課金」の動物園は、実際は在在しない。しかし、AIにしろIoTにしろフィンテックにしろ、時代を強力にドライブするであろう魅力的なテクノロジーがあったとしても、キャッシュポイントで適切かつスマートに対価を得るテクノロジー、即ち優れたペイメントが伴わなければ、ビジネスとして成立しない。今後もテクノロジーとそれを支えるペイメントのベストな組み合わせが、時代にインパクトを与えていくことになるだろう。これからも新しいトレンドの誕生に、意識を払っていきたい。

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