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未来ビジネス倉庫

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デジタル化で農業の未来を探る!!

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クラウド、スマホ、ソーシャルメディアを呼吸するかのように使いこなすデジタルネイティブなベンチャーがさまざまな産業に劇的な変化を起こし、既存のプレーヤーが突然のゲームチェンジを宣告されることもある。そんな大きな変化が、さまざまな業界に押し寄せている。農業にもそんな変化が訪れたらどうなるのか? 今回はそんなシミュレーションをしてみたい。

働く喜び、体験する喜びをシェアする新しい農業

 朝食後、コーヒーを飲みながらスマホの画面をのぞき込むと、以前訪れた動物園からの通知だった。動物園が参加する世界的な野生動物共存プラットフォームへの寄付が完了したというのだ。渡辺さん一家が動物園に支払った対価の一部が、この仕組みで動物たちの生態系保護のために使われたことになる。世界の動物園の2/3が参加するプラットフォームでは、動物たちはアンバサダーと位置付けられ、来場者に魅力を伝えるとともに、スタッフと協働して野生動物の保全・繁栄に取り組むという考え方だ。渡辺さんは動物園の楽しい思い出を改めてかみしめ、明日に控えた新たな体験に期待を膨らませていた。明日は義母とオープンしたばかりの「農業体験空間 アグリシェア」に出掛ける予定だ。

IoTやクラウドを活用したアグリシェア

 農業は今、ICTと出会い、新しい方向性を模索しようとしている。他の多くの産業同様農業も課題は、高齢化、後継者不足、人手不足であり、根本的な解決方法が見い出せていない。しかし、IoTセンサーを使って作業を効率化したり、経験豊かな匠の知恵をクラウド上でデータベース化し、新規就農者支援にいかしたりと、次世代にシフトしようとしている。

 これをシビックテックの力で実現しようというのが、「アグリシェア」を立ち上げた、とある市民グループ。その市民グループの代表は千葉の農家の長男で、大学を出たあと農業を継がずに銀行に就職、3年後にコンサル会社に転職してアメリカに留学、MBAを取得して2年ほど働いたあと退職、実家に戻って農業を始めた人物だ。この代表がシビックテックで自分たちの農村が抱える問題を解決する市民グループを立ち上げ、ネットワークを広げながら「アグリシェア」の提案を仲間たちと練り上げたのだ。その後企画をクラウド上に公開。市民や自治体、省庁、学校、企業を巻き込みながら計画を煮詰め、クラウドファンディングで資金を調達して開業までこぎつけたのだった。

 渡辺さんがこの活動を知ったのは1年前。ネットで見つけて共感し、彼らがつくったアプリをインストールしたのが始まりだ。このアプリは、考え方やライフワークがシンクロするユーザーと自分に有益な情報を交換したり、課題の設定やイベント企画を行い、達成に向けてプロジェクトを管理したりするのに便利なアプリだ。優秀な翻訳APIのおかげで海外ユーザーも多い。

 「アグリシェア」も準備段階からこのアプリでグループを形成しており、いつも活発に意見が交換されている。また、アプリ上で決済情報を登録できるため、有料セミナーやイベントの参加申し込みも行える。渡辺さんは農業に興味のある義母を誘い、アグリシェア設立シンポジウムに参加したりして、「アグリシェア」は二人の共通のテーマになっていた。

農業 × ドローン × 虹彩認証

 都内から自動車で1時間半。「アグリシェア」に着いた二人は最初に虹彩情報の登録を行った。これをアプリの登録情報にひも付け、施設の利用料や物品の購入もすべて虹彩認証で決済する。ここには主催者の思いがあった。虹彩を登録した来場者は、ロッカールームで着替え、その際スマホやカメラ、サイフなどあらゆる持ち物をロッカーに置いていく。アグリシェアでは、手足をフリーにして五感をフルに使って大地を感じてほしい、というメッセージだ。

 広大なアグリシェアには常時300人内外のスタッフが働いている。そのうち30人ほどがセンターハウスでシステム監視やEC対応、広報宣伝や経理、総務、経営企画などに従事し、他はシェアリーダーとしてフィールドに出て、休日ともなると1日数千人に見込まれる来場者に対応する。シェアリーダーの主な役目は、案内や農作業の指導、そして日々の農作業だ。独特なのは伝承係という存在だ。地域の熟練した農業従事者の中から、自ら実践してきた農業の知恵や経験を言語化するのが得意な人を選び、いつも田畑を回って来場者への説明やシェアリーダーへの指導を行っている。

 最初のアクティビティとして渡辺さんたちが選んだのは稲刈りだった。稲田に着くと、前の時間枠の来場者とシェアリーダーが半分ほど刈り取り、はぜ掛けを終えたところだった。渡辺さんたちと一緒にこれから作業するのは、大阪から来た一家と、農業体験希望の男女合わせて10名ほど。4名のシェアリーダーの指導で作業開始となった。

 興味深いのは、来場者も300名にもおよぶ従業員と同じシフト管理のダッシュボードを共有していることだ。アプリを見れば、来場者も従業員も、同じ農作業をシェアしていることを実感できる。

 今回渡辺さんたち二人は、まず稲刈りに1.5時間取っていた。前半30分ほどで鎌による手作業を体験し、そのあと手押しの稲刈り機で作業を進めた。最後は稲を束にしてはぜ掛けを終えると、過去に収穫されて十分に乾燥の進んだ稲を電動の軽トラックに積み込んだ。時折笑いが起こる和やかな作業は楽しく、稲の懐かしい匂いが鼻腔をくすぐった。稲は敷地内の精米施設で脱穀・精米ののち出荷される。

 見ればこうした作業が、あちこちの稲田で行われている。今日は休日で来場者も十分なためリソースは足りているが、平日は渡辺さんたちのような来場者は望めない。だが、平日は就農を目指す体験希望者のプログラムが組まれており、その申し込みで埋まっているのだという。近隣の農業高校や大学の農学部、また海外からの視察も多い。彼らの目当ては実際の農作業だけでなく、センターハウスで行われている運営管理のオペレーションや、クラウドに上がった膨大な顧客のデータを分析して次の施策を練る戦略立案のプロセスだ。「アグリシェア」ではこれらをすべてオープンにし、人材の育成にも力を注いでいる。すでに第2の拠点を準備していることも発表済みだ。

 施設内には水田や野菜畑、果樹園のほかに環境制御型ハウス(植物工場)があり、そこでは糖度の高いトマトやイチゴなど、より付加価値の高い作物をつくっている。こうした作物は直売所、ECで販売する一方、道の駅やスーパーにも卸され、運営の大きな収益源となっている。渡辺さんたちは稲刈りの後、昼食をはさんで植物工場での収穫&トマトとイチゴの試食プログラムを予約していた。二人は自動運転の電動シャトルバスに乗って植物工場まで移動。聞けば場内の乗り物はすべて電気自動車で、20台あるシャトルはすべて自動運転という。電気の一部は敷地内にある太陽光発電で賄っている。シャトルバスは大手ITメーカーとの共同実証実験だ。

 植物工場は出荷と入荷を扱う市場の隣にあった。クリーンな室内で収穫作業を手伝ったが、驚きはトマトとイチゴの試食で、糖度が際立ってとても美味しい。東京を中心に都市部の女性に好調な売り上げを見せているという。

テクノロジーにより資本主義に新しい価値を見出す

 ところで、SNSに慣れた人にとって、手ぶらで楽なのはいいが、体験の写真を撮れないと不満が出るのでは? と考えるがそこには一工夫が仕込んであった。来場者1グループに1機、小型のセーフティドローンが準備され、アクティビティの最中、あらゆる角度からグループの様子を撮影し、それをリアルタイムでクラウドにアップしてくれるのだ。全体を捉えた画像から、個人個人の顔を自動でトリミングしたものまで、バラエティーに富んだ画像を保存し、SNSのグループに「笑顔素敵です!」など、コメント付きで良い画像を投稿してくれる。そのため膨大な写真を見る手間も省ける。

 ドローンはプロペラの甲高い音が気になるが、「アグリシェア」で使用しているドローンは、プロペラ音とは逆位相の音を発生させてプロペラ音を相殺する機能がついているため、トンボが飛んでいる程度の印象で気にならない。自律的に障害物を避けてさまざまな角度から撮影を行い、終了したら自らステーションに戻って充電を行う。

 午後3時。夢のような一日を終えてセンターハウスまで戻った。ロッカールームには大浴場が併設されており、そこで汗を流して元の服装に着替える。チェックインとチェックアウトは並びあっているが、導線が完全に分離され流れはスムーズだ。帰りはゲートをくぐるとアプリとセンターが通信し、自動的に決済が完了。あっけないほどだ。昼食の後に購入した野菜もチェックアウトゲートに届いていて、すぐに受け取ることができた。

 アプリの精算画面をスマホで確認すると、施設利用料をはじめ、食事代、野菜の購入費などが並んでいる。その最後に「感謝50ポイント」と印字されている。スタッフに聞くと、企業や団体が感謝や共感を消費者と分かち合う仕組みで、以前訪れた動物園も「アグリシェア」も、この仕組みに賛同しているため表示されているらしい。説明によれば、後日、今日の感謝や感動共有のポイントが加算されるはずだという。このポイントは、本人とポイントを付与した企業の双方が利益になる活動やスタートアップの資金に充当されるという。

 企業はCSV経営SDGsESG投資などの概念で、資本主義に新しい価値を見出そうとしている。顧客とより長く意義ある関係性を築きたい思いがのぞく。この仕組みも同じ文脈で捉えることができる。渡辺さんは、人と企業がつくるこの関係性が子供達の生きる未来の希望となると感じながら、帰路についた。

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