グローバルEC戦略セミナー

~セミナーレポート~

2015年7月2日、CaN International、GVA法律事務所と弊社の共催セミナーを渋谷ヒューマックスビルにて実施した。今回のセミナーは「グローバルEC戦略セミナー」と銘打ち、東南アジアをはじめとする海外での事業展開を検討されている方、アジアでのEC事情に興味がある方を対象として開催された。

セミナー概要

セミナー名

グローバルEC戦略セミナー

開催日時

2015年7月2日(木)14:00~16:00

会場

GMO東京・渋谷 ヒューマックス渋谷ビル7階

講師

第一部 GMOペイメントゲートウェイ株式会社 グローバル・ビジネス戦略室 井本 康夫

第二部 GVA法律事務所 代表弁護士 山本 俊 氏

第三部 CaN International 国際税務担当 山岡 靖 氏

【第一部】アジアEC事情と海外展開成功のポイントについて

GMOペイメントゲートウェイ株式会社 グローバル・ビジネス戦略室 井本 康夫

【第一部】アジアEC事情と海外展開成功のポイントについて

昨今新聞やテレビのメディアでも、「越境」や「インバウンド」という単語を毎日のように目にするが、実際に弊社にも多くの問合せがある。第一部では弊社グローバル・ビジネス戦略室井本からアジアのEC事情と海外展開成功のポイントについてお話させていただいた。

■東南アジアのEC規模

東南アジアのEC規模

グローバルEC市場の中でも、特に成長目覚しいのが東南アジアである。
東南アジアの小売EC売上規模は現在2兆3000億。4年間に3倍もの急成長を見せている。

ではなぜ東南アジアのEC規模はこのような急成長を見せているのだろうか。
そのポイントは3つある。

①人口ボーナスの規模が大きい
・東南アジアの人口は6億人以上(中国の約半分、米国の約2倍)

②携帯・ネットインフラ環境の整備
・携帯電話普及率:112%
・インターネット普及率:32%(利用者数は約2億人)

③EC市場拡大の伸びしろが大きい
・EC普及率 Top3(6カ国平均:0.2%)
・シンガポール:1.0%
・フィリピン:0.3%
・マレーシア/タイ:0.2%
(参考 中国:8.0%, 米国:8.7%, 日本:3.3%)
<Source: Financial Times Article, USB report>

次に、日本・中国・アメリカ間の越境EC市場規模や、海外の消費者は日本のECサイトでどのような商品を購入しているのかの説明があった後、弊社がどのようなサービスをご提供できるのか紹介した。

■弊社サービスのご紹介

弊社サービスのご紹介

弊社では「GMO-PG Global Payment」サービスを通して、現在5カ国において海外でビジネスを行うお客様のサポートを行っている。また随時対応国を追加していく予定だ。

「GMO-PG Global Payment」は、各国ローカルの事業者との協業により、その国で最も利用されている決済手段を提供している。また、決済システムを提供するだけではなく販売代行サービスや集客支援を通して、多方面から海外進出に挑むお客様のサポートも行っている。

以上、第一部では、アジアのEC事情と海外展開成功のポイントについて、また弊社がどのように支援できるかについてお話させていただいた。

https://www.gmo-pg.com/

【第二部】“グローバルEC法務戦略” について

GVA法律事務所 代表弁護士 山本 俊氏

【第二部】“グローバルEC法務戦略” について

第二部ではベンチャーやIT企業のサポートを主にされているGVA法律事務所 代表弁護士 山本 俊氏から<グローバルEC法務戦略>につき、以下の3点に沿ってお話しいただいた。

  1. 1.グローバルEC法務総論
  2. 2.越境取引紛争リスクとその解決方法
  3. 3.進出の各段階における各国規制

■越境ECで起こりうる法務リスク

グローバルECとは当事者が国境を越える売買契約である。それに伴って通常の売買契約では起こりえない問題が発生する。たとえば、「日本の法的ルールが通用しない」、「相手方が遠すぎて問題解決が困難」などだ。

越境ビジネスにおける進出形態(下記参照)を例にあげ、「初期段階はタイプAで売れ筋を把握した後にタイプBに移行すれば、許可手続も少なくて済む」といったように、進出にあたっての具体的なアドバイスもあった。

■越境ビジネスにおける具体的な二つの進出形態

A.日本でWEBサイトを立ち上げ、海外向けに販売する形態
  • メリット:初期コストが小さい
    • 起こりうるリスク:
    • ⇒配送トラブル・代金回収トラブル
      ⇒越境取引特有の紛争リスク
B.海外で現地法人を設立し、現地のWEBサイトで現地に販売する形態
  • メリット:国際紛争になった場合解決が比較的容易
  • 起こりうるリスク:⇒設立・事業の規制をクリアしなければならない

続いてタイ・ベトナム・マレーシアを例に挙げて各国のルール概要について説明があった。
それぞれの国に独自のルールがあるものの、3カ国とも共通しているのは「現地にもたらされた紛争は現地で解決する」ということである。しかし、もしも国際紛争が発生した場合どのような弊害があるのか、その解決方法についても具体的に説明していただいた。

本格的な海外サービス拡大を目指すのであれば、相応のコストを払ってでも「現地法人の設立」が望ましいが、一番大切なことは、「現地の法律をしっかりと理解し、紛争を未然に予防することである」という点を最後に付け加え、話しを結んだ。

http://gvalaw.jp/venture/

【第三部】東南アジアにおける税務実務について

CaN International 国際税務担当 山岡 靖氏

【第三部】東南アジアにおける税務実務について

第三部では、CaN International 国際税務担当 山岡 靖氏から<東南アジアにおける税務実務>について講義していただいた。

■マーケットとしての東南アジア

まず山岡氏は、「これまでは東南アジアのクライアントといえば製造業がほとんどだったが、今は業種やサイズなど多種多様になってきている。これからも更なる伸びしろが期待できる市場であることは間違いない」と話した後 ECサイトの運営形態(下記ご参照)および現地法人を設立し、自社ECサイトを展開する際の留意点について触れた。

■二種類のECサイトの運営形態について

  • 1)
  • 既存のECモールに出店
    ①現地のECモールへの出店
    ②日本の既存現地向けECモールへの出店
  • 2)
  • 自社ECサイトに出店
    ①日本から現地向け自社ECサイトを展開
    ②現地法人を設立し、自社ECサイトを展開

次に現地で生じる税務コストについて具体的なケーススタディをあげながら、「台湾でワインを販売する場合、営業税と酒税の二つが関税としてかかり、インドネシアでは付加価値税や奢侈品販売税が追加でかかる」といったことなど、マレーシア、台湾、ベトナム、インドネシアの税務コストについて詳しく説明していただいた。

一概にアジアといっても、国ごとによっても法的規制や関税のかかり方、禁止商材についても全く異なることが理解できた。実際に越境ビジネスを行う際に税務実務の問題は避けては通れないものだ。参加者も終始熱心に耳を傾けている姿勢が印象に残った。

http://www.caninternational.co/

■総括

今回のセミナーでは、第一部で東南アジアの市場規模とさまざまな決済手段について、第二部では実際にビジネスを始める際に気をつける法務的リスクとその解決方法、第三部では東南アジア各国における税務実務についてと、実際に越境ECビジネスを始める際に欠かせない情報を一度に提供することができた。セミナー終了後も、講師陣に個別にご質問やご相談されるお客様も多く、大盛況のうちに幕を閉じた。