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オンライン総合決済サービスのリモデリングでレガシーから脱却──エンジニアとしてFinTech業界の成長に挑む意義とは?

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決済業界のリーディングカンパニーであり、増収増益を続けているGMOペイメントゲートウェイ。オンライン決済の主力サービスにPGマルチペイメントサービスがあり、今年の5月にメジャーアップデートを実施。既存のシステムをリモデリングし、国際標準仕様のAPIを採用した新接続方式「OpenAPIタイプ」を発表した。本アップデートにより、決済サービスの導入工数は従来の10分の1になり、手軽に導入できる環境となった。今回は、市況と業界に長く携わるGMOペイメントゲートウェイから見た、オンライン決済システムの現状と課題、メジャーアップデートの開発経緯や改良ポイント、加えて同社の開発現場で重視していることや、成長し続けるFinTech業界にエンジニアとして挑む意義などについて、同社システム本部 決済サービス統括部長 鈴木隆志氏に訊いた。

この記事は2023630日にCodeZineに掲載されたものです。

決済サービスが多様化したことで発生した課題とは?

まず、今回のPGマルチペイメントサービスのメジャーアップデートでは、多様化する決済サービスに対して日本でECを行う事業者が抱える課題に応えることを目指して、プロジェクトが遂行された。特に以下2点の大きな課題があった。

  • どの決済サービスを導入すればよいのか選ぶのが難しい
  • 決済サービスを導入するのに約1か月工数がかかる

これに対し、新接続方式「OpenAPI タイプ」は、導入工数を10分の1に削減、決済サービスを手軽に導入できる環境を実現した。事業者は、試験的な導入も可能になったことから、決済サービスの選択がこれまでよりも容易になった。鈴木氏は「決済サービス選びはABテストの時代に入った」という。

ECサイトだけでなく決済のインフラを支えるGMOペイメントゲートウェイ

経済産業省が20228月に発表した「電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、2021年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は20.7兆円(前年比7.35%増)、EC化率(物販系分野での商取引市場規模に対する、電子商取引市場規模の割合)は8.78%(前年比0.7ポイント増)、いずれも増加傾向にある。国はさらに高い目標を掲げており、決済のオンライン化やキャッシュレス化はこれからも成長が見込まれる領域だ。

近年では(コロナ禍の影響もあり)日常生活でECサイトやアプリからオンライン決済やキャッシュレス決済を経験する機会が増えているのではないだろうか。GMOペイメントゲートウェイ システム本部 決済サービス統括部長 鈴木隆志氏は「2012年と直近を比べると、日本のEC化率は約3倍近くに伸びています。実際に我々の決済プラットフォームで扱う規模や流量で見ても毎年着実に伸びているのを肌で感じます」と言う。

GMOペイメントゲートウェイは決済業界のリーディングカンパニーであり、さまざまな業界・業種、規模の事業者に対して適した決済を軸としたサービスを世に送り出してきた。オンライン決済関連のサービスには、後述するPGマルチペイメントサービスセキュリティソリューションが潤沢にそろっている。

他にも同社が提供しているサービスには、金融機関や事業会社向けBaaS支援サービスや事業者のキャッシュフローを改善する金融関連サービスなどがある。またグループ会社では、決済サービスの後払い(BNPL)や対面決済など、決済にかかわるサービスは多岐にわたる。

同社のビジネス成長は目を見張る。2005年の上場(東証マザーズ)以来、17期連続で増収増益を続けている。それも加速度的にだ。GMOインターネットグループにジョインした2004年と2022年で事業規模を比較すると、稼働店舗数は6837店舗から142396店舗へ、決済処理件数は3700万件から48.6億件へ、年間の決済処理金額は1200億円から11.3兆円へと急伸している。(連結数値)

これほどまでの成長を支え、同社の強みとなっているのが営業力、開発力、サポート力である。営業は業界ごとに特化した体制でオプションを含めたソリューションを提案しており、開発は高品質かつセキュアなシステムを内製化できるほどの技術力があり、カスタマーサポートは外部認証機関から高い評価を得ている。鈴木氏は「多くの事業者さまに年間10兆円を超える決済をご利用いただいていますので、安全なプラットフォームを作ることに使命を感じています」と話す。

article-104_thumb01.jpgGMOペイメントゲートウェイ株式会社 システム本部 決済サービス統括部長 鈴木隆志氏

なお、鈴木氏が入社したのは2012年。入社当時を振り返り「まだFinTechやキャッシュレスという言葉が日常的ではないなか、現金を持ち歩かない生活スタイルに未来を感じていました。当時はSIerのアプリケーションエンジニアでしたが、GMOペイメントゲートウェイのビジネスモデルと働いている人たちの人柄に魅力を感じ、転職を決断しました」と話す。

お客さまの生の声を収集して実装 ──メジャーアップデートの特徴は?

GMOペイメントゲートウェイの主力サービスの1つであり、鈴木氏も長らく開発に関わっているのがECサイト向けオンライン総合決済サービスの「PGマルチペイメントサービス」。クレジットカード決済のほかにも、コンビニ決済、スマホ(QRコード)決済、後払い決済、口座振替、代引決済など30種類以上の決済サービスを導入できるのが特徴だ。現在国内で利用可能な決済サービスのほとんどを網羅している。また決済サービスだけでなく、事業者に適した必要なソリューションを提供できるのも強みとなる。

近年ではECサイトにおける決済方法が多岐に広がりつつある。かつてのようにクレジットカード一択ではない。利用者の多いECサイトになると、クレジットカード決済に加え、コンビニ決済、スマホ決済、後払いなど、自分の使いたい決済方法を選べることが多くなった。

一方でECサイト運営側からすると「決済サービスを次々と増やすのは簡単ではない」のが正直なところだろう。決済サービスにより契約方法や技術的な接続仕様などが異なるため、個別に実装しようとするとそれぞれ開発が必要になってしまう。もちろん導入コストもかかる。戦略的に決済サービス数を絞るとしても、多種多様な決済サービスが乱立するなか、商材や顧客層ごとの傾向や、決済サービス事業者が展開するキャンペーンも考慮すると、何が最適か判断が難しい。

その点、PGマルチペイメントサービスは多種多様な決済サービスに対応していたり、各業界の事情にも詳しい営業担当者がいたりすることで、ECサイト運営側に適切だと考えられる決済サービスが提案されてきた。しかしながらシステムそのものは、決済サービスの選択という点では、前述の課題があり、今回大きな改良に着手することになった。当初は一部の事業者が使いやすくなるように、一部の決済サービスのAPIをまとめることを想定していた。しかし、エンジニアが顧客へのヒアリングを進める中で「今回の改良をより多くの事業者にも適用できるようにしたほうがいい」という声があがり、より本格的な刷新へと舵を切ることにした。

そうしてメジャーアップデートとしてローンチしたのが、PGマルチペイメントサービスの新接続方式「OpenAPIタイプ」だ。

メジャーアップデートの特徴の1点目はモデルの正規化・標準化だ。決済サービスが多岐にわたるなか、用語や仕組みがバラバラで難解になっていたため、「いったん全て分解して、モデリングし直しました」と鈴木氏は言う。内部的には大きく刷新したことになる。

article-104_thumb02.jpgメジャーアップデートの特徴を語る鈴木氏

特徴の2点目は要素技術の標準化・最新鋭化だ。鈴木氏は「これまで提供していた仕様書とAPIはモダンではありませんでした。最新のWeb開発における世界標準技術へと刷新することを目指しました」と話す。この経緯でエンジニアチームが「世界で標準的に使われている技術は何か」を徹底的に調査し、「OpenAPI Specification(OAS)」を採用した。

特徴の3点目は乗換のための仕組みだ。要素技術を最新鋭化するにあたり、古くからのAPIを使用しているECサイトが最新鋭のAPIに簡単に乗り換えられるよう、乗り換えのための仕組みも搭載した。

今回のメジャーアップデートは、国内外の多くのお客さまとコミュニケーションをとり、課題にコミットする営業力と、お客さまの声から最適なシステムを熟考したうえで、最新技術を取り入れながら実現する確かな技術力によって結実したものとも言える。鈴木氏は「このメジャーアップデートにより、決済サービスの導入工数は従来の10分の1になり、決済サービスをまずは試してみることが可能になりました。これを新たな始まりとして、さらに世界レベルに高めていきたいです。その結果として、消費者の皆さんにオンライン決済やキャッシュレス決済の便利さをさらに広めていきたいです」と意気揚々だ。

そして、冒頭に記した「決済サービス選びはABテストの時代に入った」という鈴木氏の発言につながる。鈴木氏は、このメジャーアップデートは同社のサービス内で完結するにはとどまらず、決済業界の新たな潮流を巻き起こすきっかけになると予見する。そうした社会的にインパクトを持つプロジェクトに携われることは、GMOペイメントゲートウェイの特長のひとつだろう。

成長し続けるFinTech領域、エンジニアとして働く意義とは?

エンジニア視点で見る時、幅広い決済サービスに対応するオンライン総合決済サービスを手がけるGMOペイメントゲートウェイに加わることはどのような魅力があるだろうか。

鈴木氏は「まず、今後大きな成長が見込まれる決済・FinTech領域に身を置き、お客さまと共に成長していけること」と将来性を挙げる。冒頭に挙げたように、FinTechや決済ビジネスは今後ますます成長が見込まれる。お客さまと共に時代の変化を体感できることは大きなやりがいになるだろう。

続いて鈴木氏は「我々がやっているようなインターネット上の決済は国境がありません。ですので、グローバルのテック企業が競合他社となります。アメリカやヨーロッパ、最近だとインドにも、高い技術を持つ"イケてる"FinTech企業がひしめいていて、私たちはそうしたところと戦います。世界のすごいライバルたちと同じ土俵で戦えることはなかなかないチャンスかと思いますよ」とグローバル競争に参画する醍醐味を挙げる。

決済分野における厳しさで鍛えられる部分もあるだろう。鈴木氏は「お金を扱う以上、1円の間違いも許されません。品質やセキュリティに関する高い技術が求められて難しいところではありますが、視点を変えれば、成長につなげられるところだと思います」と挑戦と成長の可能性を挙げる。

そうなると、12年前に鈴木氏が転職を決断したように、FinTech領域に高い興味や関心を持つエンジニアにはやりがいのある職場となりそうだ。さらに鈴木氏が言うように、世界を相手に「自社と顧客企業のビジネスを成長させていきたい」という意欲を持つエンジニアであれば、またとない職場となるだろう。やりがいと成長が期待できそうだ。

なお同社では内製化率も高いため、(請負や受託開発ではなく)自社ビジネスの成長に積極的に関与したいエンジニアにも適している。積極性や自主性に関して、鈴木氏は「他責も自責」というキーワードを挙げた。これは他人の分まで責任を被らなくてはならないというネガティブな意味ではない。普段から仲間を信頼し、連帯感を持ったうえで、チーム内で問題が起きたらみんなで解決していこうという、いい意味での積極性や責任感を表している。ここで見られるように、同社には自主性や責任感を重視する風土がある。

エンジニアから見て、気になるのがリモートワークの実態ではないだろうか。鈴木氏は「リモートワーク勤務制度はあります」と前置きした上で「いろんな状況を考慮しながら、出勤も重視しています」と述べる。これは特に若手教育のためでもある。

鈴木氏は「エンジニア歴が長いベテランであればリモートでも問題なく仕事をこなせるでしょう。しかし若手だと、教育の機会を損ねてしまうリスクもあります」と話す。実際に入社直後の若手がリモート勤務だと、職場の雰囲気がつかめず、スキルが身につかず、メンタル不調に陥る場合もある。

すぐそばに先輩がいれば、何気ない質問もしやすい。先輩の働きぶりを近くで見るだけでも、会話の進め方や働き方など学ぶことは多いに違いない。そのためGMOペイメントゲートウェイは、戦略的にリモートワーク勤務を認めつつ、対面でのコミュニケーションによる組織活性化を進めている会社だ。

エンジニア育成については「過渡期でもある」と鈴木氏は言う。少し前までは意欲にあふれるエンジニアの自主性に任せていたところもあったが、企業規模が大きくなるにつれて自主性だけに頼るのは限界が見えてきたため、今では研修や勉強会の仕組みなどエンジニア育成のための制度は改めて整えているところだ。

最後に鈴木氏は今後の展望について次のように語る。「私自身はPGマルチペイメントサービスのプロダクトマネジメントをしており、他にも社内には多種多様なサービスがあります。個人的には若手はもとより、プロダクトマネジャーも育てていくことで会社全体の成長にもつなげたいです」

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