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決済業界を牽引するGMOペイメントゲートウェイ CTOに訊く、多様な決済システムを創るエンジニア組織と開発の実態とは?

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数あるFinTech企業の中でも決済サービスを主力に幅広い事業を展開し、決済業界のリーディングカンパニーとして名高いGMOペイメントゲートウェイ。公共料金の支払いやEC決済の裏側を支える決済代行業として長い歴史を持ち、業界における高い経験値を得ているが、今後も新しいことに挑戦をし続けるべく、直近ではキャッシュレス決済やBNPL(後払い決済)などの決済システム5種類リリースするほど破竹の勢いだ。ここで常務執行役員CTOを務めているのが三谷隆氏。「事業会社の内製化やグローバル展開にチャレンジしたい」と5年前にGMOペイメントゲートウェイに入社した三谷氏に、同社の開発スタイルや社風について語ってもらった。

この記事は2021年9月27日にCodeZineに掲載されたものです。

銀行のスマホアプリ決済から次世代決済プラットフォームなど次々にリリース

ここ数年でスマートフォンアプリからのキャッシュレス決済、クレジットカードを使わない後払いなど、新しい決済方法が次々と登場している。このような新しい決済方法は、初めて試した人にとって「こんなことができるのか」と新鮮な驚きをもたらしている。
次世代の決済システムを次々と世に送り出している決済業界のリーディングカンパニーにGMOペイメントゲートウェイがある。例えば銀行が提供している決済サービスに「ゆうちょPay」や「はまPay」がある。スマホアプリのQRコードやバーコードから決済できて、代金が銀行口座から即時引き落としされる。ここで使われているのがGMOペイメントゲートウェイが提供する「銀行Pay 基盤システム」だ。
また三井住友カードが、ビザ・ワールドワイド・ジャパン、GMOペイメントゲートウェイ、GMOフィナンシャルゲートと共に進めている次世代決済プラットフォームに「stera」がある。これは決済のセンター機能となる。同社はグループで取り組んでおり、クレジットカード、電子マネー、QRコードなどあらゆる決済手段に対応し、リアル店舗とECの連携を実現する。店舗向けにはオールインワンの決済用新端末も提供している。
他にもクレジットカードを使わずに後払いができる「こんど払い byGMO」、各種カードの発行や取引処理に使う機能をAPIで提供する「GMO-PG プロセシングプラットフォーム」など、GMOペイメントゲートウェイは最新鋭の決済サービスを次々とリリースしている。
GMOペイメントゲートウェイ CTO 三谷隆氏は「日本においてキャッシュレス決済比率は30%弱、EC化率は10%弱。決済領域ではまだデジタル化やDXが進んでいないのが実情です。同時に決済は経済活動そのもの。私たちは日本における決済のDXを推進しており、またその責任も担っていると自負しています」と話す。

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GMOペイメントゲートウェイ CTO 三谷隆氏

同社は決済領域で多くの顧客や実績を保有しているため、現場からの声を直接聞く機会も多く、いい好循環が生まれている。三谷氏は「何事も現場で起きているので、答えは現場にあります」と言う。ニーズを直接把握し、タイムリーに提供できることが強みになるという。
また会社全体が決済のプロ集団である。三谷氏は「システムを形にするエンジニアだけではなく、営業、企画など、アイデアや要望をタイムリーにプロダクトに仕上げる人財がそろっています」と胸を張る。
エンジニアはどうか。現在在籍しているエンジニアは200名弱。半分強がアプリケーション開発、残りがインフラ、セキュリティ、テクニカルヘルプデスクなど。毎年2030人ほど増えている。三谷氏によると「考えるよりコードを書いたほうが早い人が多く、決済領域のシステムなら短期でサービスインにこぎつけられる」。
使用している技術スタックだと、開発で使用する言語はJavaが多く、フロントエンドはJavaScript、Python、PHP、Perlなど。OSはLinuxが中心で、ミドルウェアはNGINX、Spring Boot、Vue.js、Apache Tomcat、データベースはPostgreSQL、MySQL、商用のOracle Databaseも使う。インフラはオンプレとクラウドのハイブリッドで、パブリッククラウドのマネージドサービスやサーバレスも使う。クラウドでは柔軟性を持たせるためにコンテナで実装することがほとんどだという。
特徴的なのはほとんどのエンジニアが手を動かし続けていること。そこそこの会社規模だと年齢が上がるにつれて、プログラミングや現場から徐々に離れていく。ところがGMOペイメントゲートウェイはプレイングマネージャーもいるし、開発に専念しながら役員の一歩手前となるヴァイスプレジデント層まで登りつめるエンジニアもいる。「手を動かすのが好きで、テクノロジーに触れていたい」という人には居心地がいい会社となるだろう。
それぞれが責任感を持ち、仲間に協力的である態度も社風が生み出しているのだろう。三谷氏は「質問すれば(完全な回答でなくても)何か答えてくれます。『他責も自責』を実践し、誰もが責任感を持って取り組んでいるからです」と説明する。言うはやすく行うは難しである。
それぞれが自立しているのだろう。細かく管理すること・されることは忌避されるような空気があるという。三谷氏は「全員社長主義」と言う。言語やフレームワークなど技術選定もエンジニアそれぞれに任せることもある。
「できるだけやりたいことの比率が増えるようにしています。わくわくしながら仕事できるほうがパフォーマンス向上につながりますから。自分で選ぶと責任持って取り組めますし、本人の成長につながります。自由闊達に働いてもらいたいですね」(三谷氏)
裁量の大きさは放任というよりは、エンジニアの成長を促すため。三谷氏はおよそ3カ月に一度はそれぞれと1on1を実施しているそうだ。「できるだけ悩んでいること、困っていることを聞き出したり、逆に期待していることを伝えたりしています。雑談だけで終わることもありますね(笑)」とコミュニケーションも欠かさない。

在宅勤務が不利な若手には勉強会やコミュニケーションの場を設けてサポート

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最近ではコロナ禍で働き方に影響を受けつつも、柔軟に改善が進められている。実はコロナ禍の数カ月前に、近距離ではあるものの本社オフィスを移転した。フリーアドレス化や災害対策を施し、社員が使うパソコンはデスクトップからVDI(仮想デスクトップ)へと移行。インフラとデバイスが整ったところだったため、在宅勤務への移行はスムーズだったという。
とはいえ、全く影響がなかったとは言い切れない。在宅勤務となり、自己管理ができて生産性を高められた人がいる一方、逆にすぐそばに相談できる人がいなくなり戸惑う人もいた。そこでチームで朝会や夕会を開くようにして「何かある?」と聞くようにしているという。
「オンボーディングやコミュニケーションの課題は解消し切れていないですね」と三谷氏は言うものの、いくつかのベストプラクティスが見いだせてきているようだ。コロナ禍の初期にはオンライン飲み会が流行ったものの、会社のメンバーだとさほど盛り上がらない。その代わりに勉強会開催の頻度を高めている。
最近では月次でLT(ライトニングトーク)会を実施している。これが100人ほど聴講が集まるほど好評だそうだ。ほかにも、ただ雑談のために任意でオンラインで集まれるカフェタイムも設けている。こうした自宅で孤独にさせないような取り組みは特に独り暮らしのエンジニアにとっては貴重になるだろう。

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在宅勤務で特に困難な状況に陥りがちなのが若手や入社間もないメンバーだ。仕事のやりかたを学ぶ、社内の雰囲気をつかむ、人脈を築くことは在宅勤務では難しい。そこで新卒や転職直後のメンバーがいるチームでは、コロナ感染拡大の状況を見ながら、本人と周りのメンバーが同時に出社する日を設けるようにしている。「そうはいっても通勤時間をシフトするなど感染予防を心がけています」と三谷氏。
エンジニアの採用面接も今では初期の段階ならリモートが標準となった。リモートなので日程調整がしやすくなったという。採用面接で三谷氏が意識しているのは「エンジニアの目標とのフィット感」。誰しも転職には何か達成したい目的があるはずだ。それぞれの希望がGMOペイメントゲートウェイで叶えられるかは気をつけて聞くように心がけている。
GMOペイメントゲートウェイは内製開発にこだわる事業会社であり、スピードや品質にこだわり、全員社長主義で個人の裁量を広く認めている。そのため事業会社でベンダーや委託先をコントロールすることを期待している応募者だとしたら、ミスマッチとなりうる。
またGMOペイメントゲートウェイは上流から下流までフルフェーズでシステム開発に携わることになる。例えば「ずっとテストばかりで嫌になった。最初から最後まで開発に幅広く携わってみたい」という応募理由ならGMOペイメントゲートウェイは合いそうだ。しかし「上流だけに専念したい」なら不向きだろう。三谷氏は「それならコンサルがいいのでは」と正直に伝える。エンジニアの採用を増やしたいところではあるが「やりたいことができないと、いいパフォーマンスを発揮できないですから。フィットしてこそ活躍できます」と三谷氏は言う。フィット感は妥協しない。
フィンテック領域での働きがいについて、あらためて三谷氏は「フィンテックもキャッシュレスもまだ伸びしろがある世界です。決済は経済活動そのものであり、社会活動を支えているという実感があります」と話す。この領域が持つポテンシャルは計り知れない。
その一方で決済サービスには社会インフラとしての責任も担うことになる。トラフィックが増えたとしてもサービスが止まることは許されない。1円であろうとも間違えは許されない。またクレジットカードや銀行口座番号など重要な個人情報を扱うため、最も高いセキュリティへの配慮が求められる。高い技術力が求められるため、簡単ではない世界だ。しかしそれで躊躇するのではなく、「難しいからこそ、挑戦して成長したい」と意欲を持つなら、絶好のフィールドではないだろうか。
なおこれまでGMOペイメントゲートウェイに限らず、金融機関など高いセキュリティが求められる企業が技術者向けイベントで発表することは遠慮される傾向にあった。内部のシステムを明かしてしまうと、攻撃されやすくなることを懸念するためだ。しかし、それは一昔前の考えになりつつある。
「開発者が使う技術スタックを明かしたところで、直接のリスクにはならないと考えています。むしろ最先端技術を活用していることを伝えることでファンが増えるので、近年では積極的に技術者向けイベントや勉強会に参加する機会が増えています」(三谷氏)
GMOペイメントゲートウェイであれば最先端の決済システムを提供しているので、興味あるエンジニアはきっと多そうだ。

GMOペイメントゲートウェイ エンジニア登壇イベント

【過去開催】
エンジニア登壇イベント記事一覧
AWS Innovation Week

【予定】
・2021年11月11日~12日:AWS Security Roadshow
・2021年11月21日: JJUG Cross Community Conference 2021

まだまだ将来の飛躍が期待できるGMOペイメントゲートウェイ。三谷氏は「私たちは個人の生活が便利に、企業活動が効率的でスピーディーになるものを提供していかなくてはなりません。特に決済は意識しなくなるのがゴールだと思います」とビジョンを語る。最近のスマートフォン決済は便利ではあるものの、やはりアプリの起動やコード読み取りなど多少の手間がかかっている。より自然に、より便利に決済ができるように、まだ工夫の余地は大いに残されている。
「将来は『昔はお財布を持ち歩いていたっけ。カードはプラスチックだったんだよなあ』なんて言うようになるかもしれませんね」と三谷氏は笑う。

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