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決済におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実例【AWS Innovation Week】

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2021年6月21日(月)~30日(水)に開催されました「AWS Innovation Week」のDAY4にてお話しした、「決済におけるデジタルトランスフォーメーションの実例」に関してお届けします。

GMOペイメントゲートウェイCTOの三谷と申します。よろしくお願いします。

私からは決済におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実例ということで、今コロナ禍における状況を踏まえた決済業界の実際のDX事例、取り組み等々について紹介させていただきたいと思います。

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目次としましては、まずはじめに私から会社紹介を簡単にさせていただいた後に、実際のDXの事例ということでいくつかのエリア、ちょっと駆け足になるかもしれませんけれどもいろいろなものを紹介させていただきたいと思います。最後に我々がAWSを活用している目的であるとか背景であるとか将来像とか、そんなあたりを説明したいと思っております。

会社紹介:GMOペイメントゲートウェイとは

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まず始めに簡単に会社紹介ですが、我々GMOペイメントゲートウェイはキャッシュレス、FinTechといわれる決済のエリア、特に決済代行といわれる領域では業界シェアナンバーワンをいただいておりまして、年間大体現在6.9兆円(2021年3月末時点)ぐらいの決済を取り扱っております。右側にここ十数年の弊社の営業利益の推移をグラフで示しておりますけれども、毎年25パーセントという営業利益成長の継続を目標に、増収増益を達成しているという状況でございます。
この高い成長を支えているのは内製化に非常にこだわったエンジニア集団と思っていまして、現在180名ほどのエンジニアが在籍しております。オンプレとクラウド両方を使ったハイブリッドな環境でサービスを提供しております。

決済におけるDXの実例

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さてここから本題に入りますけれども、決済領域において我々自身がDXサービス或いはDXプラットフォームを各種提供しておりますが、現在このコロナ禍において決済視点で見ると、非常に企業間の格差がより一層拡大していると、日々感じております。これは著しい成長をこんな中でも示す企業と、非常に停滞して苦しい企業の二極化が進んでいると感じます。
その中でいろんな企業様と一緒にDXを推進しておる中でも、実際の企業様が伸びている会社の特徴としては、以下3点が上げられます。

1つはニューノーマルへの追随ということで、こういう状況ですので、ニーズがいろいろ変化して購買活動とか消費活動、いろんなものが変化していますよね。
こういうものにいかに追随できているかという点と、2点目は「データドリブンの判断」と書きましたけれども、「KKD」これは経験とカンと度胸で、これまで意外と大事にされてきたもので、これも今のご時世、私自身もまだまだ大事だとは思っているんですが、これにプラスして数字に基づいた判断を下すかどうか、そういうあたりが実際にうまく成長していけるかどうかにすごく紐づいてきたと感じます。

それから3点目は「サービスの提供スピードと品質の両立」ということで、これまでですと新しいサービス、プロダクトを設計してアーキテクティングを全体的にするようなことが非常に重要なミッションでしたが、そのやり方も徐々に変わってきてるかなと。特にすべて1から作る時代から、どんどん既存のサービス、これは自社だけじゃなく最近ではクラウドを始め他社のものを組み合わせて、いかに効率よくスピーディーにしかも実績のあるものを組み合わせて品質高くつくれるか、こういった組み合わせセンスが問われる時代になってきたと思います。

①決済手段の多様化

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さてここからDXの実例のいくつかとなります。1つ目のくくりは決済手段の多様化ということで、これは実際に決済手段であるとか決済方法、こういうものの網羅性を追及することで実際に取りこぼしを防止して、売り上げを上げようというアプローチです。

マルチ決済

こういったマルチ決済において、店舗には特に端末が乱立してしまっているものを一本化するであるとか、○○Payに代表されるようなマルチQRの決済へ対応。こういうものが進んでいます。
「stera」という名前で、新しいオムニチャネル決済ネットワークを三井住友カード様、ビザ・ジャパン様と3社でアライアンスを組んで提供をしており、引き合いを非常に沢山頂いているという状況にあります。
ECにおいては、同じように各種Payへの対応もあるんですけれども、新しい決済手段を追加するといったことも進んできています。それからネットで支払いはするんだけれども受け取りは店舗でといったOMOの事例もどんどん増えてきています。

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これはその中でもマルチQRコード決済を我々ワンストップで提供するDXの事例的なサービスになりますけれども、「GMO Cashless Platform」というサービスになります。これは3つの接続形態をサポートしておりまして、既存のPOSからの直結、あるいはマルチ決済の端末を含めて提供するというスキーム。それから3点目は、既存のお店等にタブレット、iPad等があるという場合にはそこにアプリを導入するだけ、といったパターンの3つから選択できるものになります。これは昨今○○Payもすごく広まってますので、これをまとめて導入したいというお客様だったり、今後のアフターコロナを見据え、海外からの来日ニーズに備えてAlipayやWeChat Payを入れておきたいである。とか、すでにPayPayは導入したが他のいろいろなPayにも対応したい、そのようなお客様から非常に多くの問い合わせを頂いているサービスになります。

【参考記事】PG流キャッシュレスのシクミ作り~新サービス提供に向けた早くて安定した決済システムをつくる~

新しい決済手段対応

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それから2つ目ですけれども、新しい決済手段対応ということで、こちらは新しいお客様の層を獲得するために、新しい決済手段に対応してビジネスを伸ばすというエリアになります。我々ですと「GMO後払い」ですとか「こんど払い byGMO」というもので、オンラインでリアルタイムに与信をはかることで、商品を先に受け取って支払うのは後というサービスになります。

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この一つであります「こんど払い byGMO」のご紹介ですけれども、我々こういう決済のど真ん中をやっていると、ECサイトの中でも商品によっては3割ぐらいの方がクレジットを利用しないといわれているんですね。ですのでそういった方に何かしら適切な新しい決済手段を提供する必要性があると感じていました。誰でも今スマホは持ってますよね。ですので、これを使って簡単にまとめ払いができれば便利じゃないかなっていうことで開発したものになります。
こちらはAWSを活用している一例で、構想から数カ月でリリースしている商品です。左側に×点マークが四つありますけど、会員登録がいらない、アプリインストールもいらなくて、事前のチャージもいらない、クレジットカードもいらない、ということで本当にスマホだけということです。非常にそういうコンセプトに共感いただいて採用事例も増えています。現在、デジタルコンテンツ関連のお客様中心に導入が進んでおります。

【参考記事】「スマホで完結、後払い型決済「こんど払い byGMO」【事業責任者に聴く誕生秘話】
【参考記事】決済サービスをコンテナ+クラウドで運用するということ(運用半年編)

サブスクリプション対応

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それから3つ目は、もう言わずもがなですけれども「サブスクリプション対応」ということで、弊社でいいますと「PGマルチペイメントサービス」ですとか「マルチビリングパッケージ」というような商品でサービス提供している継続課金の仕組みです。もともとは物販中心だったんですが、昨今ではデジコンであるとかユーティリティといった幅広いエリアにこのようなサブスクリプションが展開されています。

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それから多様化の4つ目、ここからは多様化の応用編ともいえるんですけれども、「現金とか現物のタッチポイント見直し」といった観点でのDXも進んできています。
これまでは紙でやっていた払込票であるとか商品券、こういったものをデジタル化してスマホに対応するというようなもの。我々でいうと「GMO デジタル請求サービス」であるとか「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」。こんなものを提供しております。
またキャッシュレスが非常に進んで現金との接点というのにも、ちょっと違いが表れています。例えばコロナ禍においては、チケット業界とかイベントの中止とかで返金業務というものが非常に増えて、返金の手段としての現金のタッチポイントのニーズが高まっていたり、先程からもQR決済の話をしてますが〇〇Pay、こちらへのチャージという意味での現金との接点など。このようなニーズに即して、我々としては「GMOどこでもキャッシュポイント」というような例えば駅の券売機を使って入金できるような仕組みであるとか、「送金サービス」といったもののサービスを組み合わせて提供させていただいております。

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これはその中の一つの事例ですけれども、「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」ということで、主には地方自治体様等がコロナ禍においてプレミアム商品券を発行したりしていますよね。こういうことに対して、非常に簡単に開発もいらずに導入できてDXを実現できるプラットフォームとして、多くの引き合いを頂いているものです。エンドユーザーにとってもスマホだけで簡単にプレミアム商品券が購入できて、デジタルですんで「商品券、あれ?どこにしまったっけな」とかよくありますよね。そういったこともなくてスマホの中に必ず残っているというようなところや、決済も非接触で安心といった声を頂いている商品になります。

無人決済市場への展開

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それから応用編の2つ目は「無人決済市場への展開」ということで、自販機をはじめとした無人決済の市場もIoTデバイスが非常に進化して、安くなってきているんですよね。ですので、こういった中で多様な決済に対応することをはじめとして、自販機等々の中の集中管理であったりとか、売上傾向をリアルタイムに集計して次のアプローチをするような、そういうDXが進んでいるエリアです。
我々もグループ会社のGMOフィナンシャルゲートという会社が安価なIoTデバイスをはじめとした、組み込み決済のサービスを提供しておりまして、非常にこれも引き合いの多いサービスとなっております。

セキュリティ・不正利用対策

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またDXにおいては、デジタル化することによって新たなリスクもいろいろ発生するということも忘れてはいけません。弊社もセキュリティ対策、特に不正利用等々、こういうところには力を入れていまして、オルタナティブデータであるとか AI であるとか、そういったテクノロジーを作った未然防止策を提供しています。さらに、チャージバック保険というような有事の際に補償するようなサービス、このようなものも併せて提供しています。守りも固めないといけないのがDXのもう一つの側面だと思います。

②新たに決済エリアへ進出

自社ブランドQR決済、プリペイドの取り組み

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ここから少し毛色が変わるんですけれども、別事業体のお客様、要は決済は本業ではないというお客様が、自分たちの経済圏やお客様の輪、そういうものを生かして決済エリアに進出するという動きも多く見られてきています。
その一つが自社ブランドのQR決済導入ですね。弊社でもこういうQR決済のプラットフォームを提供しておりまして、ゆうちょPayさんをはじめとした銀行様向けを主にご支援をさせていただいております。
それから自社のウォレットサービスを作る。そのようなことも非常に増えていまして、これに対しても我々各種ブランドのプリペイドの仕組みであったり、先ほどもありました送金サービスの仕組みでそういうウォレットへの入出金を行うようなサービスとして活用いただいております。

【参考記事】「年間3,000億円超」送金するシステムをサービス停止なしでシステム更新

アクワイアリング(加盟店管理)事業への進出、自社ブランドでビット・クレジットの低コスト発行

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それからさらに新たに決済エリアに進出する事例といたしましては、新しく自社のクレジットカードを発行するとか加盟店を管理するアクワイアリング事業、そういったエリアに自分たちの店舗網であるとかお客様のお得意様など経済圏を既に持っていることを生かし事業進出することで、これからのキャッシュレス時代に備える、そんなお客様も増えてきてます。
そういうニーズをとらえて我々SaaS型のプロセシングプラットフォームというものを提供、クラウドサービスとして提供することで、非常に多くの引き合いを頂いているものになります。

③決済に関わる資金の有効活用

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決済に関わる資金の有効活用という観点。これはまたちょっと毛色が変わりますけれども、いわゆるBSとかPL、こういったものを好転させるようなDXの取り込み事例というのがいくつかあります。

売上金の有効活用

1つは売上金を使って購買するということで、売上連動型のビジネスカードというのを提供しております。それから早期に売上を資金化するという意味では、我々のサービスを使っていただいているECサイトの方々には、その売上をいつもよりも早いサイクルで入金する早期入金サービスでありますとか、売掛金自体を我々で買い取るようなサービス「GMO BtoB早払い」。あるいは弊社の決済代行を利用いただいている企業様においては、我々が売上を把握できてますので、その枠内での融資を行う「GMO-PGトランザクションレンディング」、こんなサービスも実施しております。

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その中の1つですけれども、VISAビジネスカードの「Cycle byGMO」というのを最近作りました。設立から間もないとか、利益がまだ少ないとかいろいろなことで与信が通りにくい。それからビジネスカードにも年会費、手数料の問題があったり、「あれ、ポイントつかないんですか?」など言われたり。そういった弱点をすべてを補うべく、売上金から自動チャージして売り上げが上がってその次の日から使えるような仕組み。しかも年会費も無料で利用金額に応じてキャッシュバックもある、こんなお得なサービスを作りました。しかもVISAカードと同じように使えますので、ネット広告とかクラウドの利用料とか、どうしてもカード払いが必要なサービスってありますよね。そういうときに売上金から差し引けるというのは、非常に便利なカードでございます。文字通り売上が増えると利用可能額が動的に増えますので、それによって仕入れとか攻めの利用ができて、さらにECサイトの売上が上がる。まさにいいサイクルを実現するサービスかなというふうに思っております。

【参考記事】BS・PL・CFを好転させるDX支援サービス
【参考記事】担当者に聴く、入金を待たずに売上金を使えるEC事業者のためのビジネスカード「Cycle byGMO」とは

企業での購買活動DX

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それからDX事例の最後ですけれども、請求書支払いのDXというのも1つございます。

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こちら「GMO掛け払い」という名前なんですけれども、請求書払いって非常に根強く日本にもあります。こういうものの与信ですとか、請求して、もしかするとお金が入らず督促して、そういうノンコア業務をDXによって排除し、我々に委託してもらう。我々がそれを保証してお金も払いますというような仕組みですね。しかもリアルタイムに審査がされますので勝機も逃さない。こんなものも非常に引き合いを沢山頂いております。

【参考記事】担当者に聴く、リアルタイム与信を武器に企業間取引の未回収リスクを解消「GMO掛け払い」とは

AWS活用の概要

AWS利活用の目的と効果

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ということでDXを駆け足で紹介しましたが、「AWSの活用の概要」ということで我々がどんなふうに取り込んでいるかを紹介したいなと思います。我々の目的として、1つは開発とか構築スピードの向上ということで、スピードアップのために使うというのですね。さっきの「こんど払い byGMO」の例ですと、わずか3カ月ぐらいでできています。これは右側にあるのが実は「こんど払い byGMO」のアーキテクチャー図なんですけど、そういうスピード感をもってできていると。

それから2番目に「コスト効率化」。何でもかんでもクラウドが安いわけではないのですよね。ただ非常に少ないスモールスタートから成功するかどうか分からないような業務であったりとか、非常にピーク性が高くてスケーリングするところで費用がそれに従って高くなってしまう、そういう場合動的に増やしていらないときには減らすみたいな、そんなあたりが非常にあるかなと。「こんど払い byGMO」の例では、30%ぐらいの低減がはかれました。3つ目はデプロイ効率向上、これは自動化によるデプロイの効率化ですが、「こんど払い byGMO」の例だと4割ぐらい向上させられました。

4つ目が実は最も重要だと思ってまして、エンジニアは新技術に触れたいという欲求って非常に強いですよね。そういう環境とか機会を実際にプロジェクトで提供して、エンジニアがワクワクしてもらいながら新しい挑戦をしてもらうということで、プロフェッショナルなエンジニアの育成だったり内製の強化、さらにはこういうことやってるぞっていうことで、エンジニアの採用にも繋がっているかなというふうに感じております。
右側の絵は「こんど払い byGMO」の例ですけれども、我々の使い方の特徴としてはEC2を基本使ってないんですね。ECS/Fargate、Auroraなどフルマネージドなサービスを利用することで、管理コストを低減しています。またAWSを使っているメリットとして、我々はお客様側もAWSを使う場合には、VPC同士を接続して非常にセキュアで低レイテンシーな決済接続、こういったものを実現する事例も非常に増えてきております。

【参考記事】オンプレ勢がAWSで月300万件の決済システムを作った話
【参考記事】共に成長するパートナーシップで決済サービスを構築する

AWS利活用の取り組み状況と将来像

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最後に私どもがAWS利活用の取り組みをどういうふうにしてきたかということで、初めはWorkSpacesとかSageMaker等々のそのまま使える便利なサービスから始めて、PoCとか開発環境に利用。さらには本番環境適用のフェーズでは、我々PCI DSS等のセキュリティ準拠も必要でした。そのようなフェーズを踏まえて、我々現在は本丸の決済システムに本格的に利活用する、そんな段階に来たかなというふうに思っています。
決済って非常に当たり前に存在するものですので、これ自体にフラストレーションやストレス、そういうものを感じさせないサービスというのをこれらAWSを活用しつつ、タイムリーに提供していきたいなと思っております。以上、駆け足でしたけれども、私からの説明になります。ご清聴ありがとうございました。

【参考記事】インフラ目線で見た、初めてコンテナでサービスをリリースするときのセキュリティポイント

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