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アプリ事業者必見!アプリ内課金とアプリ外課金の現状と最適な実装パターンとは?

アプリ事業者必見!アプリ内課金とアプリ外課金の現状と最適な実装パターンとは?

スマートフォンアプリを提供する事業者にとって重要な課題のひとつが、アプリを通じてどのように収益を上げるかという点です。収益化の方法のひとつとして挙げられるのが、「アプリ課金」です。アプリ課金には複数の方式があり、それぞれ収益の可能性や課金の仕組みに違いがあります。

本記事は、アプリ課金の主な方式と、それぞれのメリット・デメリットなどについて解説することで、事業者様が自社に最適なアプリ課金の形を考える一助となることを目的としています。

まずはアプリ課金の概要について確認しましょう。

アプリ課金とは?

アプリ課金は、顧客がアプリ内でサービス提供を受ける際に、対価として料金を支払うことを意味します。

混同されやすいですが、そもそもアプリのダウンロードに料金が必要な有料アプリ(買い切り形式のアプリ)とは異なり、あくまでアプリ内での課金行為のことを指します。そのため、無料で提供されているアプリにも、有料で提供されているアプリ同様「アプリ課金」が存在します。

その前提を踏まえ、事業者は、自社で提供するアプリについて、

  • 有料アプリとしてリリースし、アプリ課金は行わない
  • 有料アプリとしてリリースし、アプリ課金を行う
  • 無料アプリとしてリリースし、アプリ課金を行う

といったように、「提供形態を有料にするか無料にするか」と「アプリ課金を行うかどうか」などの設計が戦略上で非常に重要だと言えるでしょう。

アプリ課金には、アプリが提供されるプラットフォームの仕組みで決済を行う「アプリ内課金」が長らくスタンダードな方式でしたが、昨今はアプリ外の領域で課金(決済)を行う「アプリ外課金」も可能になっています。

アプリ課金の分類や、アプリ内・アプリ外の課金について、これまでの経緯や現状を確認しましょう。

アプリ課金の分類とその特徴

アプリ課金は、収益モデルの違いにより大きく4つのタイプに分けられます。

消耗型課金

課金に対して、1度切りの対価を得る方式です。同じ対価を得るためには、毎回の課金が必要になります。

たとえば、ゲームアプリなどで、ゲーム内で使うことのできる通貨や、1度だけ使えるアイテムなどを得る場合、この方式に該当します。ほかにも、新たなキャラクターを得るためのくじ引き(ガチャ)を行うような場合も消耗型課金に分類されます。

非消耗型課金

1回の支払いで永続的に利用可能なコンテンツや機能を提供する方式です。具体的には、無料でも利用できるアプリの追加機能であるとか、アプリ内に表示されている広告の非表示などがあたります。

また、電子書籍や動画の購入など、アプリ内でダウンロードして利用するコンテンツを購入した場合もこれにあたります。

非消耗型の課金の場合は、購入内容がApple IDやGoogleアカウント、またはアプリを提供する事業者の提供するIDに紐づけられるため、アプリを使っていたデバイスを変更した後にも、同じサービスを復元できる場合があります。

自動更新型サブスクリプション

月額や年額など、定期的な決済で契約が自動更新されるサービス提供方式です。ユーザーが明示的に解約手続きを行わない限り、継続的にサービスが利用できるため、動画や音楽のストリーミング、新聞・雑誌・定期購読型コンテンツ、読み放題の電子書籍のサービス、マッチングアプリや語学学習のサービスなどに利用されています。

課金することで同時に広告が非表示になる、画質が向上する、データの保存容量が増える、デバイスへのダウンロード(オフラインでのコンテンツ利用)など、ユーザー体験が向上する付加価値を持たせているサービスも存在します。

非自動更新型サブスクリプション

課金に対してあらかじめ定められた期間だけサービスを利用できる提供方式です。契約期間終了後は自動更新されないため、利用継続を望む場合はその都度購入が必要となります。これにより、ユーザーが意図しない継続課金のリスクを避けられ、事業者にとっても契約のキャンセルに関するトラブルを防ぐことができます。

これらはシーズンパスや期間限定のイベントコンテンツなどに適用されるケースが多いです。

アプリ内課金の基本

スマートフォンアプリの収益モデルの一つとして、アプリ内課金(IAP:In-App Purchase)が広く利用されています。

これは、ユーザーがアプリ内でデジタルコンテンツやサービスを購入できる仕組みであり、主にAppleの「App Store」Googleの「Google Play」を通じた決済が一般的です。

アプリ内課金の現状と課題

主要なアプリストアは、世界中のユーザーにアクセスできる巨大なマーケットであり、それゆえにアプリを提供する事業者にとっては欠かすことのできない収益プラットフォームです。

決済機能に関しては、アプリストアを運営する指定事業者が高度な決済処理や不正対策に加え、3Dセキュア必須化などの法令対応も行い、アプリの提供事業者への影響を最小限に留めるように運用されています。

しかし、こうした恩恵を受けるために、アプリ内で決済を行う場合には、手数料を各アプリストアに支払う必要があります。一般的に、アプリ内での決済手数料は取引額の15〜30%と、相応の負担になります。従来はストア外での決済の導入が制限されていたため、結果的に各ストアの決済システムを利用することとなり、事業者はこの手数料を支払う必要がありました。

新たな選択肢としての「アプリ外課金」

日本では2024年6月に「スマホソフトウェア競争促進法」が成立し、25年12月までに全面施行される予定ですが、その中で、アプリストアを運営する「指定事業者」は、アプリの提供事業者に対して下記のような制限を行うことを禁止されました。

  • 指定事業者の課金システムの利用をアプリストアの利用条件にすること
  • アプリの提供事業者が指定事業者以外の課金システムを使うことを妨げること

これにより、アプリの提供事業者は自社の課金サイトや外部の課金プラットフォームを利用することで、手数料の削減(利益向上)をはじめとした様々な恩恵を受けられる可能性が出てきました。

アプリ外課金の重要性

アプリ外課金とは?

アプリ外課金とは、もともとの決済システムを経由せず、自社サイトや外部プラットフォームを通じてユーザーに課金を行う手法です。これにより、事業者は、

  • プラットフォームの決済手数料の大幅な削減
  • プラットフォームにない決済手段の拡充
  • 顧客データの収集による各種施策の最適化

といったメリットを得られるようになりました。それぞれのメリットについて確認していきましょう。

プラットフォームの決済手数料の大幅な削減

前述の通り、アプリ内課金(IAP)を利用すると、指定事業者に対して通常15〜30%の手数料を支払う必要がありました。しかし、アプリ外課金を導入すれば、自社の決済の仕組みや外部決済プラットフォームを利用できるため、この手数料を大幅に削減できます。

例えば、EC事業におけるクレジットカード決済などの手数料は2〜5%程度に抑えられることが一般的であるため、同様の手数料率で決済を導入できれば、手数料が大幅に改善される可能性があります。

個別に手数料が発生していた消耗課金型の課金を行っていた事業者はもちろんですが、とりわけ定額課金型(サブスクリプション)サービスを提供する事業者にとっては、手数料が軽減されることで、大幅な利益向上につながると言えます。

アプリストアにない決済手段の拡充

アプリ内課金では、アプリストアが提供する決済手段に限定されますが、アプリ外課金を導入することで、より多様な決済オプションを提供できます。

日本ではクレジットカードやキャリア決済などが両プラットフォームで主要な手段として提供されていましたが、アプリ外課金においては、Amazon PayやPayPayをはじめとした各種Pay系の決済、口座振替、PayPal、BNPL(Buy Now, Pay Later。後払い決済)、暗号資産決済など、地域やターゲットユーザーの属性に合わせた決済方法を柔軟に選択できます。

特に、成年に達していないユーザーが多いサービスにおいては、クレジットカードではなく口座振替やコンビニ決済などのほうがフィットすると考えられます。アプリ外課金を活用すると、「希望の支払方法(決済手段)がないことによるサービス離脱」を防ぐことにもつながります。

顧客データの収集による各種施策の最適化

自社の課金サイトに誘導する場合、任意に顧客の情報を取得することができます。自社サイトへのユーザー登録や、アクセス解析ツールなどの併用によって、さまざまな面で顧客の解像度が上がることが期待でき、それまで顧客分析に課題感があった事業者にとってはメリットと言えるでしょう。

また、広告やメールマガジンなどにより、アプリ外で顧客とコミュニケーションを取ることが可能になるので、販促による更なる売上向上、サービス利用をやめてしまった顧客のリテンション、別のサービス・事業の案内など、CRM(Customer Relationship Management。顧客関係管理)にも有効であると言えるでしょう。

アプリ外課金の始め方とメリット/デメリット

アプリ外課金の始め方には、大きく分けて2つの方法があります。一つは、事業者自身が課金のためのサイトを構築する方法と、もう一つは外部の課金プラットフォームを利用する方法です。

事業者のアプリ、課金サイト、プラットフォームの関係を図にすると下記のようになります。

事業者のアプリ、課金サイト、プラットフォームの関係図

それぞれのメリットとデメリットを確認します。

自社課金サイト構築型でのアプリ外課金

自社で課金のためのサイトを立ち上げる場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

まずメリットは、前述の通り、大手のアプリストアの決済システムを利用するよりも手数料が軽減され、そのぶんサービスの利益率が向上する点です。さらに、自社サイトということで、ブランドイメージを崩さないためのデザイン、ユーザーに提示する情報などの自由度を確保できます。また、サイト経由で取得した顧客情報をもとに別のアプリやサービスへの利用促進を行うなど、クロスセルによる売上創出なども考えられます。

デメリットとしては、自社でシステム開発・運用を行うという金額的・時間的コストが新たに発生する点です。課金を行うためのサイトやWEBページの構築をはじめとして、そのデータを格納するサーバー、また決済サービスの仕組みなどのインフラ面の整備が必要になります。またアプリ側でも、購入した課金要素と実際のアプリの中での提供サービスを同期する仕組みを作るなどの改修が必要になります。

さらに、自社で顧客の個人情報を取得したり、決済に関わる情報を扱ったりする上では、悪意のある攻撃者による不正利用や、情報漏洩を防止するためのセキュリティ対策の必要性もあります。そのようなコストを広く考慮して、自社にとってプラスになるかどうかを吟味しましょう。

なお、さまざまな決済サービスを取り扱う決済代行会社であれば、大規模な開発の必要なしに決済を行えるサービスを取り扱っている場合もあります。開発・運用コストを押さえたい場合には、リンク型と呼ばれる方式での決済導入を検討してみるのもよいでしょう。

外部プラットフォーム参画型でのアプリ外課金

外部プラットフォーム参画型は、とりわけゲームアプリ事業者に向けたサービスであり、GMOアプリ外課金(GMO TECH株式会社)等のアプリ外部のプラットフォーム上で課金を行うパターンです。

メリット自社での開発よりも時間的・金額的コストが抑えられる点です。また、運用面でも顧客情報を自社で保有する必要がなくなるため、セキュリティリスクやそれにかけるコストが相対的に下がると言えます。さらに、プラットフォーマー自体のマーケティング(広告や提携メディアからの送客)やサービス改善により、集客上の恩恵を受けられる可能性もあります。

デメリットとしては自社で課金サービスを手掛けるよりは、手数料率が高くなる可能性がある点です。また、プラットフォーム内の規約や運用ルールによって、値付けやクリエイティブなどの自由度が制限される可能性もあります。取得できる顧客データもプラットフォームの規約に左右されます。

自社課金サイトまたは外部プラットフォーム参画を選ぶ基準

アプリ外課金の始め方は、初期開発と、中長期的な運用を加味した直接的なコスト面の良し悪しと、企業としてのブランディングやマーケティングなどの収益以外も含めた面での良し悪し、両面を考慮して決めると良いでしょう。

  • 自社課金サイトを構築する場合
    初期開発コストがかかるものの、長期的な収益改善に有利
    ブランディングやマーケティング面の自由度が高い
  • 外部プラットフォームへの参画
    初期導入が簡単で、収益化までの期間も短縮できるが、手数料率は高くなる可能性がある
    自社での構築よりも施策が制限される部分がある

まとめ

アプリ課金は、スマートフォンアプリ事業者にとって収益確保の鍵となる仕組みであり、アプリ内課金とアプリ外課金の2種類が存在します。

スマホソフトウェア競争促進法により注目されるアプリ外課金により、事業者は幅広い決済手段の提供、顧客データの活用が可能となり、収益最大化が期待されます。

アプリ外課金を始めるにあたっては、自社で構築するか外部プラットフォームを利用するかを判断する必要があります。初期投資や運用コスト、セキュリティ対策、そのほか事業戦略やブランディング・マーケティング面を十分に考慮した上で、最適な選択を行うのがよいでしょう。

自社に合ったアプリ外課金の導入をお考えの事業者様は、GMOペイメントゲートウェイの「PGマルチペイメントサービス」にお問い合わせください。

また、開発を最小限に抑えて決済をはじめたい事業者様は、開発ゼロでの決済利用が可能なリンクタイプPlusもあわせてご検討ください。

(by あなたのとなりに、決済を 編集チーム)

※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。

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