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事業者が理解すべきクレジットカード決済の仕組み【各社の役割と関係性】

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クレジットカードとは、支払いの際に現金がなくとも決済が可能なカードのことをいいます。クレジットカードでの決済を導入することで、消費者・事業者ともに様々なメリットがあります。本記事では事業者が理解すべきクレジットカード決済の仕組みについて解説します。

そもそもクレジットカードとは

クレジットカードとは、買い物での支払いの際に、現金がなくとも決済が可能なカードのことをいいます。店頭での支払い以外にも、公共料金や税金、インターネットショッピングの支払い等様々な場面での利用が可能です。
クレジットカードで決済した金額は、使用した分だけ期日にまとめて銀行口座から引き落とされる等の後払いシステムによって請求されます。

日本のクレジットカードの利用状況

2021年の一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、国内でのクレジットカードの発行枚数は2億9,531万枚にのぼります※1

これを同年の成人人口と比較して考えると、国内の成人1人あたり平均2~3枚はクレジットカードを持っていることになります。
2枚以上クレジットカードを持つことには、以下のような理由が推測されます。

・生活費用とビジネス用で分ける等、用途によってカードを使い分けている
・クレジットカード会社によって提供しているサービスが異なるため、複数のサービスを受けようとしている

また、日本におけるキャッシュレス決済比率は2021年時点で32.5%であり、日本政府は将来的に世界最高水準の80%まで上昇させることを目指し、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいます。中でもクレジットカード決済はキャッシュレス支払額のうち85.3%※2と多くを占めています。

このような状況から、クレジットカードは社会における重要な取引インフラとして機能し、キャッシュレス決済の中心であるといえるでしょう。

※1:一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード発行枚数調査結果の公表について」
※2:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2022」

クレジットカード決済とは

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クレジットカード決済では、保有者(カードホルダー)の信用に基づき、支払う代金をクレジットカード会社が立て替えて支払います。
カードホルダーとなる消費者は現金を用意していなくても商品の購入が可能になるため、現金での決済に手間がかかるECサイトでは、クレジットカード利用率が非常に高くなっています。そのため、ECビジネスを展開する上でクレジットカード決済の導入は必要不可欠といえるでしょう。

クレジットカード決済の仕組み

現金が手元になくても信用に基づいてサービス提供を受けることができるクレジットカード決済は、どのような仕組みなのか解説します。

6つの関係者

クレジットカード決済には以下の関係者が存在します。クレジットカード決済の導入を検討する事業者は、クレジットカード会社(アクワイアラー)と決済代行会社について特に理解を深めるとよいでしょう。

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①クレジットカード会社(アクワイアラー)

アクワイアラーとはVisaやMastercard、JCBなどの国際ブランドからライセンスを取得し、クレジットカード決済を導入する事業者の開拓、加盟審査や管理を行う機関です。

②クレジットカード会社(イシュアー)

イシュアーはクレジットカード会員の獲得、クレジットカードの発行、クレジットカード会員の管理を行う機関です。国内大手のイシュアーとしては、三井住友カードや三菱UFJニコス、トヨタファイナンスやクレディセゾン、ライフカードなどがあります。
なお、JCBとAmerican Expressは国際ブランドですが、イシュアーでもあります。

③国際ブランド

VISA、MastercardJCBAmerican ExpressDiners Clubなど、日本国内だけではなく世界の加盟店で使えるクレジットカードのブランドです。それぞれの国際ブランドは独自の決済システムネットワークを提供し、イシュアーにそのライセンスを発行しクレジットカード決済を可能にしています。

④事業者(加盟店)

アクワイアラーが審査を行い、国際ブランドに認められた事業者はアクワイアラーと加盟店契約を締結し、加盟店(カード取扱店)となります。クレジットカード決済で商品やサービスの提供が可能となりますが、一方でアクワイアラーが定める各種ルール(加盟店規約)に従う必要があります。

⑤カード会員(保有者、カードホルダー)

イシュアーが発行したクレジットカードを貸与されている消費者(個人、法人)を指します。イシュアーが定める審査に合格し、信用が担保されると申請者のもとにクレジットカードが届き、カード会員となることが可能です。
最近では物理的なプラスチックのカードを発行しない「カードレス」と呼ばれる新しい形態も登場しています。

⑥決済代行会社

決済代行会社は、加盟店とクレジットカード会社を含む決済サービス提供会社(コンビニ決済、携帯キャリア決済、電子マネー決済、〇〇Payなどを提供する事業者)の間に立ち、契約・システム・お金の流れを整理し、より便利につなぐ役割を持つ会社です。
決済代行会社により加盟店は、各クレジットカード会社だけでなくそのほかの決済サービス提供会社との契約も可能になるため、手続きやシステム構築などの対応が決済代行会社に一本化できます。
また、直接契約方式の場合では決済サービス提供会社ごとに対応しなければならない入金処理業務などの事務作業を削減できたり、各決済サービス提供会社が定める入金日よりも早く売上金を受け取れたり、キャッシュフローの改善や業務コストを削減できるなどのメリットがあります。

クレジットカード決済の契約のパターン

ここでは、事業者がクレジットカード決済を導入する際の2パターンの契約に基づくクレジットカード決済の仕組みを解説します。
主に契約関係とお金の流れ、システムの構築などに差があります。

1.直接契約方式:4者間決済の仕組み

カード会員・加盟店・アクワイアラー・イシュアーの4者間で決済が行われます。

1-1.事前準備:加盟店契約の締結

クレジットカード決済での取引を行うために事前に行っておくべき手続きが、クレジットカード会社(アクワイアラー)と事業者間での加盟店契約の締結です。アクワイアラーが事業者を審査し、カード決済を提供しても問題ないと判断され、承認されることが必要です。

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1-2.直接契約方式における決済の流れ

4者間の決済では、以下のような流れで決済・入金処理が行われます。

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A.商品の売買

まず、カード会員と加盟店の間で商品の取引が行われます。カード会員が加盟店のECサイトなどでクレジットカード情報を提示して商品を購入します。その際、クレジットカードの利用情報がアクワイアラー経由でイシュアーへ転送され、利用可否が判断されます。
利用情報に問題がなければ決済が行われ、商品の提供へ進みます。

B.イシュアーからカード会員に対する請求

クレジットカードの利用情報に基づき、イシュアーからカード会員にその月のカード利用代金が請求されます。支払いの方法としては、銀行口座からの引き落としやコンビニ支払いなどがあり、支払い日の前にはイシュアーからカード会員に対して利用明細書が発行されます。

C.加盟店へ売上金を入金

商品の売買が成立した後、加盟店が立て替えた売上金を、イシュアーからアクワイアラー、アクワイアラーから加盟店に入金します。立替払いでは、取り決められている決済手数料が差し引かれます。

1-3.直接契約方式の注意点:複数クレジットカード会社との契約が必要

クレジットカードの国際ブランドには、VISA、Master Card、JCBなど複数の種類があります。それぞれのブランドを利用するためには、各社のライセンスを持っているアクワイアラーとの契約が必要です。複数のアクワイアラーとの契約をする場合、個別に契約手続きを行ったり、支払いサイクルが異なったりと、導入時や利用開始後の運用時にカード会社の社数分の工数が発生します。また、国際ブランドやカード会社によって加盟店規約の詳細やシステム仕様が異なるケースもあるため、相応のコストが発生することにも注意が必要です。

2.包括加盟店方式:決済代行会社を含めた5者間の決済の仕組み

直接契約方式のときの4者に「決済代行会社」を含めた5者間で決済が行われます。加盟店は決済代行会社と契約することで、各アクワイアラーとの契約手続きやシステム対応を決済代行会社に一本化することができ、支払いサイクルもそろえることが可能です。詳しく解説していきます。

2-1.事前準備:加盟店と決済代行会社での契約締結

決済代行会社を通じてクレジットカード決済を導入する場合、加盟店は初めに決済代行会社へ希望する国際ブランドやクレジットカード会社と加盟店契約を結びたい旨を申請します。各国際ブランドから審査に必要なライセンスを授与されているアクワイアラーが承認すると、加盟店にてカード決済の導入が利可能となります。

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2-2.包括加盟店方式の決済の流れ

加盟店が決済代行会社と契約を締結した場合、決済はカード会員・加盟店・決済代行会社・アクワイアラー・イシュアーの5者間で行われることとなります。
決済の流れは4者間と似ていますが、申込手続き、入金タイミングなどで決済代行会社が仲介に入ります。

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具体的な決済の流れとしては以下の通りです。

A.商品の売買

カード会員と加盟店の間で商品の取引が行われます。カード会員が加盟店へクレジットカード情報を提示して商品を購入します。その後、クレジットカードの利用情報が決済代行会社のシステムを通じて、アクワイアラー、イシュアーの順に伝送され、利用可否が判断されます。
利用情報に問題がなければ決済が行われ、商品の提供へ進みます。

B.加盟店への入金

加盟店契約上で取り決めたスケジュールに応じて、決済代行会社が加盟店に対して加盟店が立て替えた売上金を入金します。アクワイアラーごとにバラバラの入金日も、希望に応じて統一したり分散したりすることが可能です。
一般的に、入金の際には契約時に取り決めた各種手数料を除いた金額が支払われます。

C.イシュアーからカード会員に対する請求

クレジットカードの利用情報に基づき、イシュアーからカード会員にその月のカード利用代金が請求されます。支払いの方法としては、銀行口座からの引き落としやコンビニ支払いなどがあり、支払い日の前にはイシュアーからカード会員に対して利用明細書が発行されます。

D.決済代行会社への入金

イシュアーがカード会員から受領した売上金は、アクワイアラーを経由して決済代行会社へ支払われます。

まとめ

〇〇Payや後払い決済など多様な決済サービスが登場し、キャッシュレス化が進む中であってもクレジットカードは日本国内で最も利用される決済手段です。
クレジットカード決済を自社サイトに導入する場合など、その仕組みを理解しておくことは重要です。特に国際ブランドやクレジットカード会社であるアクワイアラー、イシュアーなど、消費者としてクレジットカードを使っているだけではその違いの理解は難しいでしょう。クレジットカード決済の仕組みを理解し、消費者が求める最適なクレジットカード決済の導入を行いましょう。

クレジットカード決済の導入にあたって、クレジットカード会社ごとの違いなど疑問点がある場合は、まずは決済代行会社に相談してみるのもよいでしょう。

なお、決済代行会社の選び方については以下で紹介しています。

▶決済代行会社の選び方|GMOペイメントゲートウェイ


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