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脱炭素は企業が持続的に成長するために必要な経営問題 -キャッシュレスを増やすことが有効な環境対策になる-

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ビジネスの成長と社会貢献を両輪で回していくことは、現代社会において企業が求められる必須の事項となっています。持続可能な社会の実現に貢献すべく、温室効果ガス(以下、GHG)排出量の削減に向けた取り組みを積極的に推進しているのがGMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)です。20239月期は自社オペレーションによるGHG排出量(Scope1、2)を実質ゼロとする目標を達成し、20242月には国際的な環境非営利団体CDPの「気候変動レポート2023」において、環境課題の管理にベストプラクティスを行っている企業として「A-(リーダーシップレベル)」の評価を獲得しています。今回は、社内でESG活動をリードする企業価値創造戦略統括本部 グローバル管理企画部長 兼 ESG推進担当の三浦義之に、その取り組みの意義や経緯について聞きました。

▶参考:【プレスリリース】Scope1、2の温室効果ガス排出量実質ゼロを達成し、カーボンニュートラルを実現
▶参考:【プレスリリース】CDP「気候変動レポート2023」において「A-」の評価を獲得

企業価値創造戦略統括本部
グローバル管理企画部長 兼 ESG推進担当

三浦 義之(みうら よしゆき)

東京大学卒業。大手通信関連企業にて法人営業(金融機関担当)、財務、投資・M&A、新規事業開発を経て、2020年GMOペイメントゲートウェイへ入社。企業価値創造戦略統括本部グローバル管理企画部長に就任。海外事業の会計・財務・人事等を担当。2021年よりESG推進業務を兼務。

企業の成長を維持するために脱炭素へ全社で挑む

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▲ESG推進担当 三浦

―GMO-PGはオンライン化・キャッシュレス化・DXなどを支援する決済を起点としたサービスを展開していますが、決済をメインの事業とするGMO-PGが、どうして脱炭素に取り組むのでしょうか?

三浦 義之(以下、三浦):EUの観測機関から先日、2023年の平均気温が観測史上最も暑い1年となり、かつ地球の過去10万年の中で最も高い気温となった可能性が高い、との発表がありました。歴史的な最高気温を更新する中で、各企業においても気候変動対策への貢献が喫緊の課題となっています。そして、気候変動対策への取り組みは、すでにビジネスに大きな影響を与えるものになっており、企業自身が気候変動対策として何を実行しているかを取引先や投資家が評価する時代になってきました。気候変動対策に取り組まないことで、取引を失うリスクや投資対象に選ばれないリスクがある、ということです。
石油・石炭を含む化石燃料を使うことで二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出する製鉄、化学、電力などの産業は、国からの強い規制もあって、化石燃料からの脱却を含む業態変化が求められています。加えて、それ以外の産業でも、先進的な企業を中心に、環境への取り組みを積極的に進めています。例えば米国のAppleさんでは、自社の二酸化炭素排出量をゼロにするだけでなく、Appleさんに部品などを納めるメーカーまで含めたサプライチェーン全体のGHG排出をゼロにするカーボンニュートラルを2030年までに達成するという野心的な目標を立てています。そのような他社の高い目標と、その実現のために取られているプラクティスを参考にさせていただきながら、我々も自社の参考になるような部分は積極的に取り入れさせていただいています。

―GMO-PGは『平均25%の営業利益の成長を継続的に続けていく』ことを全社目標としてコミットしています。脱炭素を推進することは、そのための足かせにならないのでしょうか?

三浦:脱炭素の推進を含むESGは、単純に社会貢献を求めているものではなく、持続的な成長を実現するためのフレームワークであると考えています。その意味で、当社における営業利益の継続的な25%成長の目標とESGの考え方は、持続的な成長を求める点で合致していると考えています。企業としてさらに成長していくために、成長を妨げ得るリスクに対して先手を打ってアプローチし対処すること、社会の変化を機会ととらえてビジネスを創出していくことが肝要であるという考え方が、脱炭素を含むESGの根幹にあると思っています。我々としては、脱炭素を実現しないことによって当社が取引先として選ばれなくなるリスクを排除しなければなりません。むしろ、これを新しいビジネスチャンスとして捉え、意識的に取り組んでいます。

―実際に取り組んでみて、実現へのハードルはいかがでしたか?

三浦:当初は、どれぐらいの期間・金額を要するのかよくわからなかったこともあり、脱炭素への取り組みに若干尻込みするような気持ちもありました。ですが、Scope2の削減に必要な実際の予算を将来まで含めて見積もってみたところ、マネージできる範囲であること、対策には複数年を要することが分かったので、早期に取り組みを開始しました。ただ、Scope3に関しては、お取引様にもご協力いただく必要があり、自社だけでは達成できない領域になりますので、削減目標の設定に時間を要しました。パートナー企業様には長期の目標を共有させていただき、数年単位で回る商品サイクルのなかで、目標達成に向けた対策へのご協力をお願いしています。
新たな決済事業者を選定する際に、ESGへの取り組みの有無を選定基準にされている会社様、特に外資系企業の方々などから「脱炭素推進に対して、どのような取り組みをしているのですか?」と問われることが増えています。これは当社がScope1,2のGHG排出量を実質ゼロにすることが、お客様のScope3の削減につながるからです。

そのような状況下で、課題に対してプロアクティブに取り組むことにより、先行的なアドバンテージを作れるのではないかと考えています。また、当社がどのような目標を持って取り組んでいるのか、どういった対策をしているのか、ご確認いただきやすいように情報を開示することも大事だと考えており、自社ホームページなどで情報を定期的にアップデートしています。

▶参考:GMO-PGのESGへの取り組み。サスティナビリティ 環境(Environment)について

自社だけでなくパートナー(社員)とともに取り組むべき社会課題

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―改めてGMO-PGにおけるGHG削減への取り組みの状況と三浦さんの役割を教えてください。

三浦:GMO-PGの社内では、GHG排出量に関する担当者を主要な本部に任命しています。私はそういった人たちの協力を仰ぎながら、ESG主管の取締役である村松副社長と目標をすり合わせたり、社外取締役から当社が解決すべき社会的課題(マテリアリティ)についてのご意見をいただいたりしながら、会社として目指すべき中長期的の目標の設定と、達成への取り組みを主導しています。
これらの活動が実を結び、当社が2021年12月に立てた2023年9月期連結ベースで自社オペレーションのGHG排出量(Scope1、2)を実質ゼロとする、という目標を達成しました。

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▲GMO-PGの連結GHG排出量(Scope2)推移

サプライチェーン由来のGHG排出量である「Scope3」の多くは、対面決済サービスを提供している当社のグループ企業であるGMOフィナンシャルゲート(以下、GMO-FG)の主力商品のひとつである決済端末に由来しています。その製造プロセスにおいて発生する「カテゴリ1」と、その使用の際に消費される電力消費に由来する「カテゴリ11」が、当社のScope3の約8割を占めています。そこで、開発メーカーさんにもご協力いただいて、パリ協定に準じる形で『2030年9月期を期限として、「カテゴリ1」と「カテゴリ11」の排出量を、端末あたりで55%削減する』という削減目標を設定しています。

参考:【プレスリリース】Scope1、2の温室効果ガス排出量実質ゼロを達成し、カーボンニュートラルを実現

―さらに上の目標を達成するには、自社内だけでなく、パートナー企業や当社のサービスを利用されるお客様など、さらにターゲットを広げて対策することが必要となりますね。

三浦:国際的によく知られている環境非営利団体であるCDPさんの評価基準にありますように、それぞれの企業単体で脱炭素に取り組むだけでなく、お取引先、仕入先、販売店、購入いただいたお客様まで含めて、サプライチェーンを構成する全員が一体で対策をすることが大事と理解しています。GMO-FGで販売している決済端末を製造しているメーカーの方々とは、目標を共有させていただいて、達成に向けて取り組んでいます。同様に、お取引いただいているシステム開発会社の方々にも、GHG排出量の適切な測定・削減に向けたご協力のお願いをしています。
まだ対策の営みとしては途上ですが、CDPさんからは、2023年9月期の評価として、最高評価である「A」に次ぐ「A-」の評価をいただくことができました。目標を設定することでやるべきことが明確になりますし、その目標に向けて取り組んだ結果として外部機関から良い評価を得られるようになったことが、取り組むパートナー(社員)にとってもポジティブなモチベーションとなっています。

参考:【プレスリリース】CDP「気候変動レポート2023」において「A-」の評価を獲得

―脱炭素への取り組みはどのように評価しているのでしょうか?

三浦:CDPさんによる目標達成の評価は年に1回ですが、自社の電力消費量は月単位で確認するようにしています。また、半期ごとにその電力消費に見合った再生可能エネルギーを調達しています。全社で課題意識を共有しながら進捗を見える化し、数値達成に取り組んでいくためのサイクルを回しています。

キャッシュレス化の推進は環境負荷の低減に直結する

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▲現金とキャッシュレスの二酸化炭素排出量の比較(千円あたり)

―視点をGMO-PGの事業領域に広げて、今後の脱炭素の状況を見るとどうなるでしょうか?

三浦:GMO-PGにおける主要事業の1つに「キャッシュレス」事業があります。この事業を推進すること自体が、環境負荷の低減に貢献しています。現金決済においては、まず現金自体を製造する工程から始まり、現金の運搬、ATMの稼働などの流通の過程でも、二酸化炭素を排出しています。決済をキャッシュレスに転換することによって、こうした現金決済を代替し、現金に由来する二酸化炭素の排出を削減できるのです。2023年にキャッシュレス推進協議会さんが発表したレポートによると、キャッシュレスと現金を比較した場合、キャッシュレス由来の二酸化炭素排出量は現金の場合の約3分の1となっています。キャッシュレスをはじめとする我々の事業を進めていくこと自体を通じて、脱炭素社会の実現に貢献できるのではないかと考えています。
これからも引き続き、社会の持続的発展に向けて、関係するパートナー企業や加盟店様にご協力いただきながら、環境課題を解決するためのアクションを取っていきます。

用語集

CDP

2000年にイギリスで設立された国際的な環境非営利団体。当初は「Carbon Disclosure Project」として脱炭素を働きかける団体でしたが、現在は森林保全や水質保護にまで活動の範囲を広げており、単に「CDP」という名称で活動をしています。CDPの活動目的は、世界の企業の気候変動対策について情報を開示し、投資家が正しく企業を評価できるようにするための仕組みを構築すること。
また、CDPはSBT(Science Based Targets:パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定するGHG排出削減目標のこと)やRE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ)の設立や運営に携わる団体でもあり、環境保護に関する複数の国際基準の設定に関与しています。数値化が難しい環境への取り組みに関する客観的な評価ができるCDPの活動は世界中の機関投資家から支持されています。

ESG

ESGとは、「環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)」の略で、これらの要素を重視した投資や経営活動のことを指す言葉です。
もともとESGは投資活動から始まりました。ESG投資においては企業の財務情報だけでなく環境、社会、企業統治への対応状況を考慮して投資判断を行います。それに伴い、企業の経営活動においてもESGに配慮するESG経営を行う企業が増えています。

GHGプロトコル

GHG(Green House Gas:温室効果ガス)の排出量を算定・報告するために定められた国際基準。ものがつくられてから廃棄されるまでのサプライチェーンにおけるGHG排出量の捉え方として、「Scope1」「Scope2」「Scope3」とする分類方法。

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▲もののサプライチェーン上流から下流まで(Scope)
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▲2つのもののサプライチェーンの例

Scope3カテゴリ一覧

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▲Scope3の15のカテゴリ分類と該当する活動例(クリックで拡大表示)

出典:環境省
出典:内閣府
出典:資源エネルギー庁
出典:キャッシュレス推進協議会

※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。

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