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ゼロからわかる、決済手段導入に「OpenAPIタイプ」が必要な理由

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GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)は、1995年より決済代行事業を始め、現在では年間決済処理金額が連結で15兆円超、連結加盟店舗数は15万店舗以上にまで拡大しました。

本記事では、GMO-PGが実施したアンケート調査やサービスを利用されている加盟店様の声などを通して、決済手段ごとの利用動向や事業者様が抱える課題を浮き彫りにするとともに日本特有の決済事情や、その打ち手「なぜOpenAPIタイプが必要なのか」について紹介します。

※2023年12月末時点

決済手段の利用動向

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2022年と2023年における、「よく利用する決済手段」の比較

20239月にGMO-PG は、様々な年齢層を対象に「現在のEC決済市場を取り巻く状況に関するアンケート調査」を行いました。
その結果、年代が上がるにつれてクレジットカードの利用率が高まっていることが分かりました。一方で、若年層ではPayPayや現金でのコンビニ決済の利用率が高いことが明らかになりました。また職業別での決済手段の利用率を見ると、学生はクレジットカードの比率が低く、PayPayやコンビニ決済の利用率が高いこと、クレジットカード以外の決済手段の利用率が増加していることが分かりました。

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▲年代ごとの、よく利用する決済手段2023年上位5つ。かっこ内は2022年比。

近年、PayPayで送る・受け取るといった新たなお年玉のスタイルも登場し、年代を問わず、QRコード決済やPayPayの利用率が増加している傾向にあります。
具体的に年収別で見ると、一般的に高年収層ではクレジットカードの利用率が高い一方、PayPayの利用は年収にかかわらず比較的均一に分布しており、年収1500万円程度のゾーンでも約29%PayPayを利用していることから同決済手段の普及が見て取れます。
商材別では、食品や飲料においてPayPayの利用が増加しているほか、楽天ペイの利用率も高いことが確認され、日常的に購入する商品へのポイント付与が影響していると考えられます。
購入金額別では、1000円以下の少額決済の場合クレジットカードのみならず、PayPayAmazon Pay、楽天ペイ、電子マネーなどに利用傾向が分かれる一方で、高額決済ではクレジットカードや銀行振込の利用が増える傾向にありました。これは、ECサイトの商品価格によっても決済手段の選択が重要であることを証明しています。

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ECサイトで利用したい決済手段がない場合にどうするか

20229月の「決済手段不足による離脱率に関する調査(GMO-PG実施)」では、72.1%の回答者が「希望する決済手段がなければ購入を断念する」と回答しており、44.1%が「別のECサイトで同商品を購入する」と述べています。これらは、ECサイトにおいて顧客が希望する決済手段を提供することの重要性を示しています。

しかし、多様な決済手段の導入はコストと時間がかかるという課題があります。この課題を解決するためGMO-PGがリリースしたのが総合決済プラットフォーム「PGマルチペイメントサービス」の新たな接続方式「OpenAPIタイプ」です。これにより、決済手段の実装とテストにかかるコストや学習時間などを大幅に削減できる可能性が広がります。

OpenAPIタイプ」が決済手段導入を変える

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2007年時点の「PGマルチペイメントサービス」サポート決済手段

OpenAPIタイプ」の必要性については、日本における決済手段の多様化と複雑化が進んでいる現状が背景にあります。「PGマルチペイメントサービス」では、30種を超える決済手段(細かく分けると50種以上)をサポートしています。この急激な進化と多様性の拡大は、とくにここ5年で加速しています。

PGマルチペイメントサービス」の前身は2000年頃から存在し、当初はクレジットカード決済から始まり、2007年には5種の決済手段をサポートしていました。まさか、およそ15年でここまで決済手段が増えるとは、誰も予想できなかったのではないでしょうか。

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PGマルチペイメントサービス」において加盟店様がシステムを接続する場合、主にWebAPI型とリンク型(リダイレクト型)の二つの接続方式があります。「OpenAPIタイプ」はWebAPI型に含まれており、APIを頻繁に使用する大手企業やグローバル企業、ECプラットフォーム提供者を主な対象として開発を行いました。

WebAPI型に関して見えてきた課題

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これまでのWebAPI型には複数の課題がありました。とりわけ、決済手段の増加に伴う概念のばらつき、処理の順序、用語の不統一が大きな問題でした。また、2000年頃の技術仕様をそのまま採用していたため、時代遅れのイメージを持たれがちでした。これらの課題を解消するため、世界標準の技術仕様「OpenAPI SpecificationOAS)」を採用した「OpenAPIタイプ」の開発に着手することとなりました。

前提として、加盟店様は幅広い顧客ニーズに応えるため、数多くの決済手段の中から何を追加するか検討されます。この検討から導入に至る過程での課題感を、従前、加盟店様から多く頂戴していました。なかでも「簡単に決済手段を導入したい」といった声が多く、この課題を具体化し対応策を検討するにあたり、GMO-PGでは約10社のカートベンダー様や大手加盟店様の事業担当者、開発責任者へインタビューを実施しました。
インタビューを通して、とくに決済手段の選定に関する課題や、1つの決済手段を導入する際の時間とコストの問題が明らかになりました。平均して1つの決済手段を導入するのに約1ヶ月の期間と約100万円のコストがかかることが判明し、加盟店様は導入後に選択した決済手段にニーズがなく別の決済手段へ変更することに躊躇する傾向があることが分かりました。

これらの課題を受け、GMO-PGは加盟店様が決済手段を容易に追加・削除できるよう、柔軟性を持たせた「OpenAPIタイプ」の開発を進めていきました。

OpenAPIタイプが工数削減できる肝は「リモデリング」

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「顧客に成長と満足をもたらす『思いやりと優しさ』」を開発コンセプトに掲げ、加盟店側の開発負担を軽減し、かつベンダー様にも価値を感じてもらえるものを理想としました。現在、30種の決済手段のうち12種の手段に対応しており、今後さらに対応範囲を広げる予定です。

決済手段の特性ごとにリモデリング

OpenAPIタイプは、決済手段追加を簡単にするという特徴を持ちます。例えばPayPayを既に導入している加盟店様がd払いを追加したい場合、パラメーターを1つ変更するだけで対応可能です。契約上の注意点はありますが、開発の観点からは手間を大幅に軽減しています。これは、本来1つの決済手段を追加する度にそれぞれ個別開発が必要だったものを、似た特徴を持つ決済手段ごとに分類分けすることで、ある分類の決済手段を追加開発した後は、追加工数を10分の1にできるようにしたものです。これはただ、API仕様をOpenAPIタイプにするだけでは実現できないものであり、決済手段を分類する「リモデリング」の概念が重要でした。

OpenAPI Specification (OAS)で世界標準仕様

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開発コンセプトの具体化としてもう一つ、Web標準であるOASを全面採用したことで、開発者の学習コストや開発時間の短縮を可能にしました。新しい決済手段の導入にあたって、従来は「PGマルチペイメントサービス」のAPI仕様を学ぶ必要がありました。グローバルスタンダードである技術仕様を取り入れることで、過去にOASを扱った経験があるエンジニアであれば、このためだけの学習が不要になりました。

OpenAPIタイプの核となるOASは「OpenAPIイニシアチブ」によって策定されたもので、ここにはグローバルなテック企業が多数参加しています。この仕様に基づくAPIの定義ファイル(OASファイル)は人間にも機械にも読み取り可能な形式で提供されており、開発者はこれを基に実装を進めていきます。またこの定義ファイルは、自動的にAPIリファレンスを生成するツールなどにも利用可能です。

GMO-PGOASファイルとAPIリファレンスページを提供することで、加盟店様の開発者は「PGマルチペイメントサービス」への接続開発を、ドキュメントを参考に効率的に進めることができます。

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さらにセキュリティ面では、従来の高い水準を維持しつつ、より一層の強化を図っています。例えば、暗号化強化やAPI認証方法のOAuth 2.0に基づいた方式変更です。
また既存の仕組みを利用している場合、既存の決済データとの互換性を保持することに重点を置くことで、加盟店様がスムーズにOpenAPIタイプへ移行できるような設計としています。

OpenAPIタイプ」今後の展望

GMO-PGが提供するOpenAPIタイプによって加盟店様が利便性を感じる声が広まれば、自然とOASの普及が進むと考えています。先行する海外では、主要なプラットフォームがOASに対応したことで広がりを見せているためです。
加盟店様への普及にあたっては、ECプラットフォームやカートシステムベンダー様との連携が不可欠です。現在、GMO-PGの加盟店様や関連企業からの反響については、大手物販ECサイト様をはじめ数社が既に接続済みであり、パートナーであるベンダー様での対応も進んでいます。

最近では新しい決済手段の提案場面で、複数のベンダー様から「『OpenAPIタイプ』に対応していますか?」と問い合わせを頂戴することがあります。加盟店様の意向として、決済手段の導入にあたっての必須条件だと言うのです。これらの評価を踏まえ、GMO-PGは今後の展開を準備していきます。

補足:「PGマルチペイメントサービス」とは

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PGマルチペイメントサービス」は、総合決済プラットフォームとしてEC事業者様などに多様な決済手段を一括で導入いただけるサービスです。決済手段には、クレジットカード決済、コンビニ決済、このところニーズの高まりを見せているQRコード決済など、日本国内で利用される決済サービスの多くを網羅しています。加盟店様の利用者ニーズに合わせた決済サービスの提供が可能です。

GMO-PG が多くのお客様に利用されている理由には、主に3つのポイントがあります。
まず1つめは、業界内でナンバーワン規模を誇る実績があることです。これにより、多くのお客様と多くの件数を処理できることが安心感に繋がっています。
2つめは、サポートの充実です。導入前から稼働後まで、決済代行業界で初めてHDIサポートセンター国際認定(七つ星認定)を取得したカスタマーサポート部門により、手厚いフォローを行っています。
3つめは、高品質なシステム運用とセキュリティによる安全・安心な取引環境です。行政機関や大規模な取引を行うお客様にも採用されています。
様々な業種の事業者様に「PGマルチペイメントサービス」を利用いただいており、ECサイトにとどまらず、動画配信、保険、寄付、公共料金の支払いなどにも採用されています。導入企業様の一例としては、カジュアルファッションを中心としたSPA(製造小売業)会社のアダストリア様、教育現場における集金業務を支援するエンペイ様、クラウドファンディングのREADYFOR様です。

PGマルチペイメントサービス」はインフラの側面を強く持っているため、システムが安全かつ堅牢に稼働することを重要視しています。

セキュリティ面では、とくにクレジットカード関連のセキュリティ対策に注力しており、市場や法規制に適応するための対策を講じています。20254月からEMV-3Dセキュアの導入が義務化されるため、対応に向けた加盟店様支援も行っています。

詳しくは以下、「PGマルチペイメントサービス」サービスページよりご覧ください。

※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。

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