GMOペイメントゲートウェイはインドでのCSR活動の一環として、環境NGO「Green Yatra」が進める植林プロジェクトを支援しています。今回、インド法人の駐在員として現地を訪れ、実際の植林を視察するとともに、Green Yatraの方々から取り組みの背景や工夫について話を聞く機会を得ました。
本記事では、私自身が現地で見て、聞いて、感じたことを軸に、インドの都市に「森」を取り戻すこの取り組みについてお伝えします。
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GMOペイメントゲートウェイ
企業価値創造戦略統括本部 アジア事業統括部
アジアMSB推進部 インド課 課長
鈴木 大岳
2013年NTTコミュニケーションズに入社し、2015年にインド駐在を経験。その後博報堂にて海外M&Aを担当。2022年GMOペイメントゲートウェイ入社。2023年6月よりインド駐在。
CSRとして、なぜ「植林」を選んだのか
インドにおけるCSRの対象は、教育、医療、環境保全など幅広く、寄付という形で拠出することも認められています。その中で私たちは、単に資金を拠出するだけではなく、現地で事業を行う企業として、実際の取り組みの様子を自分たちの目で確かめ、理解を深められる活動を選びたいと考えました。
そうした議論の中で選んだのが、環境保全に直接つながり、実際に現場を訪れて理解を深めることができる「植林プロジェクト」でした。
日本生まれの「宮脇方式」がインドで響いたわけ
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出典:「Biodiversity Assessment Report of Jawaharlal Nehru Port Authority, Navi Mumbai, Maharashtra December, 2025」 by Green Yatra
インドでは急速な都市化が進む中で緑地が減少し、その影響としてヒートアイランド現象や大気汚染、土壌の劣化といった環境課題が、都市部で同時に深刻化しています。実際に駐在して生活していると、幹線道路沿いでは排気ガスのにおいを強く感じることが多く、街中ではごみが当たり前のように捨てられている光景を目にする機会も少なくありません。そうした日常の風景に触れるたびに、都市の中にもう一度「森」を取り戻す取り組みには、大きな意味があるのではないかと感じるようになりました。
今回、実際に現地の植林地を訪れ、生い茂る木々を目にしてまず驚いたのは、その品種の多様性でした。Green Yatraの担当者に詳しく話を聞く中で、この植林には「宮脇方式」が採用されていることを知り、都市環境の課題に対して、ここまで緻密に設計されたアプローチが取られていることに強い印象を受けました。
宮脇方式とは、その土地本来の在来種を密植し、低木から高木までの多層構造を持つ「自然の森」を短期間で再生する手法です。都市環境においても、生態系の回復と気候変動の緩和を同時に目指せる点が特徴だと説明を受けました。
私にとって印象的だったのは、日本生まれの「宮脇方式」が、いまインドの都市で実践されているという点です。日本では歴史的にスギやヒノキの単一植林が広く行われてきた背景があるため、宮脇方式の採用は限定的です。
一方で、インドでは都市課題への解決策として、その価値が理解され、実行に移されています。日本発の思想が、インドの都市で「森」として根付き始めている。その事実に、不思議なつながりと、新鮮な驚きを感じました。
森づくりは、土から始まる--Green Yatraの準備と設計
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視察では、実際の植林プロセスについても詳しく説明を受けました。都市部の土壌は劣化していることが多いため、まず土壌検査を行い、必要に応じて改良を施すところから始めるそうです。有機物を加え、植物が根を張りやすい環境を丁寧に整えていきます。
また、植林前には水源や電線の有無、周辺環境などを含めた17項目のチェックリストを用いて、条件を確認すると聞きました。単に「植えられるかどうか」ではなく、「森として育つかどうか」を見極める工程だと理解しました。
40〜50種の在来種で編む都市の生態系
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出典:「Biodiversity Assessment Report of Jawaharlal Nehru Port Authority, Navi Mumbai, Maharashtra December, 2025」 by Green Yatra
植林では、在来種を使うことを何よりも重視しているそうです。40〜50種もの在来種を混植し、低木・中木・高木・キャノピーといった多層構造を意識することで、生態系として機能する森をつくっています。
実際に植えられている樹種は、パラシュやニーム、アムラ、マンゴー、サグワン、カダムなどがあり、1つの現場では約1エーカー(約4,000㎡)に13,000本もの苗木を植えているとのことでした。
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出典:「Biodiversity Assessment Report of Jawaharlal Nehru Port Authority, Navi Mumbai, Maharashtra December, 2025」 by Green Yatra
現地を実際に歩いてみると、半年前に植えたという苗木がすでに生い茂っており、その成長の早さには驚かされました。
また、この森ができてから見かけるようになったという蝶が飛んでいるのも印象的で、夜にはさまざまな哺乳類も訪れるそうです。都市の中に小さなジャングルが生まれていることを実感しました。
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出典:「Biodiversity Assessment Report of Jawaharlal Nehru Port Authority, Navi Mumbai, Maharashtra December, 2025」 by Green Yatra
こうした話を通じて、自然資本における多様性がいかに重要かを理解できた気がします。
生物多様性の重要性を重視するTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の考え方とも整合する形で、インドにおいてこうした取り組みが進められていることは、持続可能な成長を目指す先進的な動きといえます。
植えて終わりじゃない、2年間のケアと「見える化」
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植林後も、現地では継続的な管理が行われているとのことです。
苗木には竹で支柱を立て、根鉢を傷つけないように管理しながら、約2年間は週2回の水やりなど、細やかなケアを続けるとのこと。根がしっかり定着した段階で、自然の成長に委ねていくそうです。
また、センサーによる現状把握や、生物多様性のレポートの提供など、自然資本への貢献を可視化する仕組み整えられていました。寄付企業ごとに四半期レポートが発行され、植林面積や苗木の生存率、CO₂吸収量といった定量的な成果が共有されほか、リアルタイムで進捗を確認できるダッシュボードの構築も進められているとのことです。
こうしたデータ提供体制については、将来的に当社のESGレポーティングやCDPへの回答にも活かしていきたいと、副社長の村松から話がありました。私自身も、取り組みの成果を数字として把握できることで、自然資本への貢献に参加できている実感を持ちやすいと感じ、この設計自体が非常に参考になると感じています。
現地で感じた「森のちから」
工業地帯の道路沿いにある植林地で、木々が成長した区画に一歩入ると、確かに空気が変わりました。涼しさだけでなく、森の中に生命の循環が戻ってきていることを、肌で感じた気がします。
また、プラスチック製品の持ち込みを禁止するなど、環境への配慮が徹底されている点にも驚きました。「都市の中に再び生命の営みを取り戻す」というGreen Yatraの理念を、言葉だけでなく現場で身をもって理解できたと感じています。
学びを、次へ循環させていくために
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今回の視察を通じて、事業と社会価値は決して切り離されたものではないと改めて感じました。
GMOペイメントゲートウェイは今後も、投融資事業を通じてインドの経済成長を支えることと、自然資本の再生を通じて社会的価値を生み出すことを、両輪として進めていきたいと考えています。
また、海外事業者を通じて得た知見を日本の事業に生かすという私たちの考え方は、ビジネスに限りません。自然資本への貢献という観点でも、この学びを日本へ循環させ、次の取り組みに活かしていきたいです。
そしてもう一つ、村松がいつも言っていることなのですが、インドという人様の国で事業をさせていただき、利益を出せていることへの感謝を忘れてはいけないと、強く感じました。今回の視察で得た情報や気づきを社内外に共有し、気持ちや学びが循環していく形をつくれたら、これほどうれしいことはありません。
(by あなたのとなりに、決済を 編集チーム)
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