
口座振替は一般的な支払方法として広く利用され、顧客ニーズも高く、幅広い世代になじみ深い決済方法です。口座振替を導入することで新しい顧客の獲得や、請求業務の手間を減らせる効果が期待できます。
一方で、導入コストや未払いの管理の手間などのデメリットもあるため、口座振替代行サービスを利用するのも方法の一つです。この記事では、口座振替の仕組みやメリット・デメリット、事例や口座振込との違いなどを詳しく紹介します。
口座振替とは
口座振替は、『口座自動振替』や『口座引き落とし』とも呼ばれる決済サービスで、日本では一般的な決済手段として根付いています。ここでは口座振替の概要についてご説明します。また、口座振替と混同しやすい口座振込との違いについても確認していきましょう。
口座振替の仕組み
口座振替は一般的に定期的な商品・サービスの購入に対し、顧客の金融機関から自動的に料金を引き落とす決済方法です。賃貸の家賃や公共料金の支払いで利用したことがある方も多いでしょう。支払代金は金融機関が顧客の口座から引き落とし、事業者の口座に移動する仕組みとなっています。
口座振替で決済する際には、金融機関に手数料を支払う必要がありますが、この手数料は、一般的には事業者が負担するため、決済を利用する顧客には手数料は発生しません。
口座振込との違い
口座振替と口座振込の違いは、資金を誰が移動するかという点にあります。
- 口座振替:金融機関が顧客に代わって振り替えする
- 口座振込:顧客自身が金融機関に振り込みする
口座振込は、商品・サービスの購入に対し、顧客が事業者の指定する金融機関口座に直接振り込む決済方法です。銀行振込とも言われます。口座振込は、支払いが発生するたびに顧客が銀行の窓口やATMに出向くか、ネットバンキングを利用して入金を行う必要があります。
口座振込の場合、事業者は振込履歴をチェックして1件ずつ内容を確認する必要があるため、入金管理に手間がかかる点がデメリットです。また、振込作業を行うのは顧客自身となるため、支払い忘れや振込先・振込額の設定間違いが起こることもあり、その際の顧客への連絡や売上の回収の遅れは事業運営上のネックのひとつになりえます。
ただし、銀行振込でもバーチャル口座と呼ばれる方法での決済であれば、取引と一対一で口座が紐づくため、1件ずつ内容を確認する必要はなく誤入金の心配もありません。
口座振替の流れ
ここでは、事業者が口座振替を導入する流れや手順などを詳しく解説します。
金融機関もしくは口座振替代行サービスと契約する
口座振替を導入するためには、金融機関と連携している口座振替代行サービスや信販会社と契約を行います。
なお、顧客によって持っている金融機関の口座が異なることから、複数の金融機関の口座振替ができる口座振替代行サービスや信販会社と契約を結ぶケースが多いです。契約の際には必要書類を提出して審査が行われ、クリアすると口座振替が利用できるようになります。
審査の内容は金融機関や口座振替代行サービスによって異なり、審査期間には数週間から1か月ほどかかる場合があります。
振替依頼書を顧客に記入してもらう
口座振替の審査をクリアしたら、次は紙面の振替依頼書やオンラインを通して必要事項を提出してもらいます。
振替依頼書に記入する内容は、金融機関名、口座番号、預金種目、口座人名義、住所、電話番号などです。振替依頼書のフォーマットは、金融機関や決済代行サービスが用意しているものをそのまま使うか、自社で作成したものを使用するかの2パターンあります。
振替依頼書は3枚つづりになっているのが一般的で、記入内容は2枚目や3枚目に自動で転写されますが、捺印についてはそれぞれの用紙に必要です。
振替依頼書を契約先に送付して結果を待つ
振替依頼書に記入と捺印ができたら、契約している金融機関や口座振替代行サービスに送付して結果を待ちます。
振替依頼書の内容に不備があった場合は顧客に書類を再送し、訂正して再提出してもらう必要があります。不備内容として多いのは、字が読み取れない、訂正印の漏れ、チェック漏れ、金融機関に提出している印鑑と振替依頼書の印鑑に相違があるなどです。
事業者が確認して問題ないと判断し、振替依頼書を提出したとしても、金融機関や口座振替代行サービスから不備を指摘されることもあります。内容に問題がなければ、事業者側でも顧客の口座情報を自社のシステムに登録し、金融機関や口座振替代行サービスに振替依頼書を提出します。
口座振替の事例
口座振替は、非常にさまざまなシーンで利用されている決済サービスです。ここでは、口座振替の事例をいくつか紹介します。
企業間の決済
口座振替は、BtoBの企業相手にも広く利用されている決済サービスで、リース料金の支払いなどに便利です。
それぞれの企業が売掛や買掛の経理業務を効率化できるため、事務にかかるコストをカットできるメリットもあります。また、自動的に振り込まれるため、取引相手が支払いを放棄するリスクも減らせるでしょう。
習い事の月謝
毎月一定の月謝が発生する習い事においても、口座振替は最適な決済サービスといえます。
習い事では、月謝袋で受講料を回収するケースもありますが、この場合だと1件ずつ確認作業が必要となり管理に手間がかかります。しかし、口座振替にすると確認作業がなくなり、管理の手間を大幅に減らすことができるでしょう。
また、子どもに月謝を現金で持たせると、紛失してしまうなどのトラブルが発生するリスクもあります。このようなトラブルやリスクを未然に回避するためにも、現金を持たせる必要がない口座振替はおすすめです。
学校での各種費用
給食費や教材費、積立金など、学校での各種費用の集金に口座振替を利用しているケースも多くあります。
学校で口座振替を導入するメリットとして挙げられるのは、お金を学校に持ち込む必要がなく、月謝同様に紛失や盗難などのトラブルを防げることです。また、学校での事務作業を減らせる点もメリットで、特に事務員が少ない学校においては教員の負担軽減につなげることもできます。
不動産賃貸会社
多くの物件を管理する不動産賃貸会社も、家賃を効率よく集金する方法として口座振替サービスが向いています。
不動産賃貸会社が口座振替を利用するメリットは、家賃入金の確認にかかる事務作業を減らし、人手不足の解消ができることです。
また、家賃の支払い方法としては最近ではクレジットカード決済も増えてきましたが、銀行振込や大家さん持参、コンビニ払いが必要であるというケースもいまだ存在し、いずれも入居者に手間がかかります。その点、口座振替なら自動で家賃が引き落とされ、入居者も支払いに行く手間が省けるため、双方にとってメリットがあるといえるでしょう。
サブスクリプションサービス
音楽のストリーミング配信や動画サイト、ソフトウェアの利用など、毎月定額でサービスを利用し続けるサービスにも口座振替がマッチする場合があります。
特に、若年層の利用者が多いサービスは、利用者がクレジットカードを持っていない場合も考えられるため、口座振替のように銀行口座だけで決済できるのは機会損失を防ぐうえで重要と言えます。
生活必需品の販売事業者
サプリメントや健康食品、コンタクトレンズ、化粧品など、毎日一定の量を消費する商材を扱う事業者にとっても口座振替は向いています。
顧客は基本的に一定期間で再注文が必要になるため、口座振替を導入することで、継続的な売上を得ることができ、都度の決済方法のみの場合よりも、事業の見通しが立てやすくなるでしょう。
口座振替のメリット
事業者が口座振替を導入することには、さまざまなメリットがあります。ここでは、口座振替のメリットを紹介します。
顧客の利用継続率が向上する
口座振替は、サービスの利用継続率がアップし、長期的な商品・サービスの利用が期待できるメリットがあります。なぜなら、口座振替は自動的に口座から料金が引き落とされるため、毎回の支払いが面倒だと感じることがなく、支払いにおけるストレスが軽減されるからです。
例えば、口座振込だと決済するごとに手数料がかかり、期日までにATMやインターネットバンキングで手続きを行う必要がありますが、支払いの手続きをしている最中に、「振込が面倒」「手数料がもったいない」と思ってしまうと、商品やサービスの解約を意識することもあるでしょう。
その点、自動で引き落とされる口座振替なら面倒さを感じることがなくなり、解約のきっかけを減らし、利用継続率の向上につながる可能性があります。
請求関連の管理コストが削減できる
事業者が口座振替を導入するメリットは、自動で引き落とすことで請求関連の管理コストを削減できることです。
口座振込の場合、期日までに代金が回収できないと請求書を再送したり、催促状を送ったりしなければなりません。この業務には書類の作成だけでなく、印刷や郵送、記録、管理など多数の負荷がかかり、人的なコストも発生します。
一方、口座振替ならシステムが自動で引き落としを行うため、これらの業務発生を最小限に抑えることが可能です。
回収率が向上する
事業者が口座振替を導入することで、顧客側が何もしなくても自動的に代金の回収ができるため、回収率が高くなるメリットがあります。
口座振込やコンビニ払いなどは、顧客が自らATMやコンビニに出向く、インターネットバンキングで手続きを行うといった行為が必要となるため、払い忘れが発生するケースも少なくありません。顧客に支払能力があっても支払いを忘れると未回収になるため、自動で引き落とされる口座振替の方が回収率は高くなります。
また、回収率が高くなると督促の手間も省けるため、前述した管理コストの軽減にもつながります。
請求業務の手間を減らせる
事業者が口座振替を導入することで、請求業務の手間が減り、人的工数の削減が図れるメリットがあります。人的工数の削減により、他の業務に従業員を集中させることも可能です。
口座振替の場合、メールやチャットなどで事前に振替日や金額を知らせることで、ペーパーレスでの請求を行うことが可能です。一方、払込票を用いて支払う方法だと顧客に用紙を郵送する必要があり、振替に比べると請求業務の負担が大きくなります。
顧客層の拡大につながる
口座振替を導入するメリットには、新しい決済方法として選択肢を増やすことで、顧客層の拡大につながることもあります。
近年はインターネットショッピングやサブスクリプションなどのサービスが身近となり、クレジットカードの利便性が増しています。そのため、事業者の中にはクレジットカード決済に力を入れているところもありますが、一方でクレジットカードを持たない人もいます。
基本的に口座振替は金融機関の口座があれば利用できるため、クレジットカードを持たない人を利用者として獲得するために重要な決済手段と言えます。
口座振替のデメリット
口座振替を導入する際には、入金までにタイムラグが発生することや、導入、未払い時に手間がかかるデメリットもあります。ここでは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
導入に手間がかかる
口座振替を導入する際にはさまざまな手続きが必要となるため、手間がかかるデメリットがあります。
具体的には、金融機関や決済代行サービスとの契約や、顧客の書類の受領・管理などです。インターネットを通して顧客と契約を行う場合でも、郵送やオンラインを通して手続きややりとりを行わなければなりません。
また、顧客側も手続きが必要になることから、途中で面倒と感じてしまい、サービスの利用をやめてしまう場合もあります。しかし、最初の登録に手間がかかるだけで、そのあとは自動的に引き落としができることから、長期的な視点でみると事業者にも顧客にもメリットが大きいと言えます。
事業者側は顧客に対して口座振替にはメリットがあることを説明し、スムーズに手続きをしてもらうように促すとよいでしょう。
未払い時に手間がかかる
未払い発生時に請求業務が発生し手間がかかるというデメリットもあります。
口座振替は回収率が高い決済方法ではあるものの、引き落とし日に口座残高が足りないことで未払いが発生するケースもあります。先払いにしておけば未回収のリスクは少なくなるものの、後払い方式のサービスだと未回収のリスクは常につきまといます。残高不足による未回収は事業者がコントロールできるものではないため、完全に防止することは難しいでしょう。お金の動きが少ない口座を指定している場合も、振替があることを忘れて入金ができていないケースもあります
口座振替の未回収の対策として、再振替サービスがあります。これは引き落とし指定日を過ぎたとしても、指定の口座に入金があると、自動的に引き落として回収できるサービスです。
入金までにタイムラグがある
口座振替のデメリットとして、振替から入金までにタイムラグが生じる点があります。
契約している金融機関や決済代行サービスによって異なるものの、振替の手続きから事業者の口座に入金されるまでに記述の通り1か月程度の期間がかかることがあります。入金までのタイムラグを把握しておかないと、キャッシュフローに問題を起こす可能性もあるため注意が必要です。
一方、口座振替サービスを提供する事業者によっては、オンライン申し込みによって即時の振替登録が可能になるサービスや、入金サイクルを事業者に合わせて設定できるサービスを提供している場合もあるので、口座振替を導入する際はそのようなサービスがあるかも確認しておくとよいでしょう。
引き落とし口座の情報を管理する必要がある
口座振替を決済方法として取り扱う場合、事業者は顧客から口座情報を受け取り、金融機関に口座振替依頼書を提出しなければなりません。
口座情報という重要情報を受け取り、管理する必要があるため、事業者は情報漏洩リスクに備え、セキュリティ対策を行う必要があります。
しかし、口座振替を提供する事業者の中には、口座振替依頼書の受領から金融機関とのやり取りも代行するサービスを展開している会社もあります。この場合、事業者は口座情報を自社で管理する必要がなくなり、自社での運用を行うよりも管理コストを下げることができます。
口座振替は口座振替代行サービスの利用がおすすめ!
口座振替の代行サービス
口座振替を導入する際、契約の手続きや振替に必要な顧客の情報管理にかかる手間を省く方法として、口座振替の代行サービスの利用をおすすめします。
口座振替代行サービスとは、口座振替で引き落とされた代金を代行サービス提供事業者が受け取り、事業者に送金するシステムです。
請求額の計算から回収までの手間を省くことで業務の効率化を図り、事務コストを減らせるメリットがあります。口座振替代行サービスの導入には手数料がかかりますが、口座振替にかかるコストを減らすことでそれ以上の効果も期待できます。
GMOペイメントゲートウェイの口座振替代行サービス
GMOペイメントゲートウェイが提供する口座振替サービスは、口座振替の契約に関する手続きを代行し、管理コスト削減や顧客の利便性向上を図ることが可能です。
また、顧客の引き落とし口座情報を事業者が管理することなく運用できるメリットもあります。
さらに、引き落とし日を5日、6日、23日、27日の月4回まで選ぶことができ、早期入金サービスにも対応していることから、導入いただくことでキャッシュフローの改善に繋げることも可能です。
口座振替にかかる手続きや管理を簡素化して業務の効率化を図るなら、GMOペイメントゲートウェイの口座振替サービスをご検討ください。
まとめ
この記事では、口座振替の仕組みやメリット、デメリット、口座振込との違いなどを解説しました。
事業者が口座振替を導入することで顧客の利用継続率を高め、回収率の向上や請求業務の手間を減らすことでコスト削減につながります。また、決済の選択肢を増やすことによって、顧客層の拡大も期待できます。
一方で、口座振替の導入や未払いが発生したときには手間がかかる、入金までにタイムラグが発生するなどのデメリットもあります。
口座振替の手続きや管理業務を減らすためには、口座振替代行サービスの利用がおすすめです。口座振替の代行サービスを利用することで、事業者は顧客の口座管理や手続きが不要となり、業務の負担を大幅に減らすことができます。
GMOペイメントゲートウェイでは、振替依頼書型とインターネット完結型の口座振替代行サービスに対応し、印鑑不要で即時登録を実現します。
ぜひこの機会に、口座振替の導入を検討してみてください。
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