未来ビジネス倉庫

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テクノロジーでビジネスコミュニケーションの
慣習が変われば働き方も変わる

chatwork

仕事メールの書き出しは「いつもお世話になっております」など定型のあいさつから始めるのが常識。本題から入れば、送る方も受け取る方も手っ取り早いと分かっていながら、多くの人がこれに倣っています。ChatWork株式会社は、メールをはじめ電話や対面での会議など、誰もが「当たり前」と考えているビジネスコミュニケーションを、ITで徹底的に合理化する企業です。2011年にリリースされたビジネス向けのチャットサービス「チャットワーク」は、すでに17万社(2018年3月末日時点)を超える企業に導入され、ビジネスコミュニケーションの慣習が変わりつつあります。「インターネットは全ての人に光を与えるツール」と語るCEO 山本 敏行氏に、自身が思い描く未来のビジネスコミュニケーションの姿を伺いました。

山本 敏行

――世の中にチャットサービスと呼ばれるものはいくつも存在しますが、「チャットワーク」がこれだけ注目されている理由は何でしょう。

山本:サービスの機能そのものは他と大きく変わりませんが、日本にまだビジネス用途のチャットもなかった時代に、明確にビジネス向けをうたったサービスを提供したことが評価につながっているのだと思います。同時に単にサービスを提供するだけでなく、チャットを使って働き方そのものを変えていこうという創業以来の考え方が受け入れられたのではないでしょうか。
当社では2000年の創業時から、社内でのコミュニケーションにメールを使わないというのをポリシーにしています。スタートアップ企業ですから、少ない人手で最大限の効果を上げるため、作業を徹底的に効率化していかなくてはなりません。そこで当時あったICQというインスタントメッセンジャーやMicrosoft Messengerなどのサービスを使って、チャットを使うとどれくらい生産性が上がるか、また仕事でチャットをどう活用すべきかということを、全員で探求していたのです。
しかし、どれも個人向けツールのため、仕事では使いにくかったり、退職した人がチャットのログを簡単に持ち出せたりといったセキュリティー面での懸念もありました。そこで2009年頃に、ある大手チャットサービスの日本法人トップに「ビジネス向けのサービスを作るべきです」と提案したのですが、本社にその意向がないと聞かされて、じゃあ自分たちで開発しようと考えたんです。

社内のコミュニケーションやコラボレーションをいかに活性化するか

――社内でチャットを実際に使ってみて、やはりビジネスに特化したチャットサービスが必要だという確信が始まりだったのですね。

山本:当時から現在に至るまで、当社の社内コミュニケーションは全てチャットで行っています。基本的に社内メールは禁止です。メールは誤送信のリスクが付いて回りますし、迷惑メールも届きます。また過去のメッセージをたどりにくく、添付ファイルの容量にも縛られます。こうしたつまらないことに、時間や考えるエネルギーを奪われていくのは本当に無駄です。
もちろんメールのログを証跡として残していく必要がある組織なら、そのようなやり取りのみ、従来通りメールでやればいい。ただ当社の場合は、社内のコミュニケーションやコラボレーションをいかに活性化するかを強く意識した結果、チャットがベストの選択肢になったのです。

山本 敏行

「チャットワーク」は
ビジネスコミュニケーションの効率化を追及して得た“気付き”の集大成

――2011年に自社開発のサービス「チャットワーク」をリリースされて、すでに国内で17万社を超える企業に採用されています。このサービスがビジネスのコミュニケーションに与えたインパクトや変化にはどんなものがありますか。

山本:ビジネスの現場で当たり前と思い込んでいることも、よく見直すと無くてもよいことや替えた方がよいことがたくさんあります。例えば、メールならメールを書くのが仕事ではなくて、それを使って意思決定や意思疎通ができることが目的です。ですからビジネスメールに付き物の「いつもお世話になっております」みたいなお約束のフレーズを書くのはどう考えても無駄です。また会議にしても、じっくり企画を出し合うとかプロジェクトのキックオフなら全員で集まる意味もありますが、普段の情報共有ならビデオ会議の方がお互いに効率が上がります。
チャットワークというサービスは、僕たち自身がITを活用したビジネスコミュニケーションの効率化を追及して得た“気付き”の集大成です。それをユーザーの皆さんが利用されることで、誰もが「当たり前」と思っていたビジネスの慣習を変え、働き方をより効率的で快適なものに変えていってほしいと思っています。

数字でみるチャットワーク

コミュニケーションの
インターフェースそのものが変わり、業務が効率化

――実際に利用されたお客様からは、生産性が向上したなど感動の声がいくつも報告されていると伺いました。

山本:ある大手ネット広告企業からは、全社導入したら平均すると1人につき1日1.26時間の時間が削減されたと評価をいただきました。また税理士事務所のお客様からは、年間2本のプロジェクトしかこなせなかったのが、月間2本できるようになったと伺っています。同時並行のプロジェクトのやり取りをメールですると、それだけでものすごい労力と時間を取られますが、グループチャットにすれば情報共有なども一瞬です。これはコミュニケーションの仕組みを変えた結果、生産性が飛躍的にアップした好例です。
これらの例は、メールをチャットに変えたこと、すなわちツールの変化がもたらした成果です。普段のメールを使っている職場やお客様に「チャットみたいに簡単にやり取りしましょうよ」と言っても、お互いに「○○様、いつもお世話になっております」みたいな枕詞を省く勇気がなかなか出ませんよね? でも逆にチャットでそんな枕詞を付けたら、かえっておかしい。つまりチャットというコミュニケーションの道具を変えることで、インターフェースそのものが変わり、業務を効率化できるようになるんです。

チャットワークユーザーテスト

頑張った人が報われる社会を作りたい

――最後に、2030年や更にその先に向けた、未来ビジョンをお聞かせください。

山本:ちょうど今、日本にもシリコンバレーのように人を育てて送り出す場所があったらいいなと考えて、神戸の谷上(たにがみ)という地域でコミュニティづくりのプロジェクト(http://news-ja.chatwork.com/2018/03/chatwork1.html )を進めています。何の変哲もない場所で、ここでやると言ったら、地元の人たちも「山本さん、どうかしてるんとちゃう?」みたいな反応でした(笑)。でも、新神戸から電車で8分、神戸空港や関西空港からもアクセスできるという、実は世界中から集まりやすい場所なんです。

谷上プロジェクト キックオフの様子

少子化と言われているけれど、日本のあちこちの地域や組織には、まだまだすごい能力や意欲を持った人がいるはずです。でも独りにしたままでは何も始まらない。谷上にそうした人たちを集めて“化学反応”を起こさせ、各地域に戻った後もグループチャットでコミュニケーションを取りながら、日本のあちこちでいろいろなプロジェクトを立ち上げてもらうのが目標です。僕の仕事の根本にあるのは「頑張った人が報われる社会を作る」というミッションであり、この谷上プロジェクトをはじめ、そうした人々の頑張りを形にして、社会に送り出していく手助けができればうれしいです。

山本 敏行
山本 敏行

プロフィール:
ChatWork株式会社
CEO
山本 敏行 氏

1979年3月21日大阪府寝屋川市生まれ。
中央大学商学部在学中の2000年、留学先のロサンゼルスにて中小企業のIT化を支援する株式会社EC studioを創業し、2004年法人化。2011年にクラウド型のビジネスチャット「チャットワーク」を開始。2012年に社名をChatWork株式会社に変更し、米国法人をシリコンバレーに設立。自身もシリコンバレー在住経験を持ち、現在は日本や海外の拠点を行き来しながら、日夜マーケティング活動に奔走している。
神戸市北区谷上を拠点として、変化を起こすコミュニティづくりを推進する「谷上プロジェクト」の発起人としても活動中。

※本コンテンツ内記事・画像などの著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。

協力:JBpress

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