
オンライン決済の導入を検討しているEC事業者や実店舗の経営者に向けて、決済手数料の仕組みや導入費用の相場、費用を抑える方法について、わかりやすく解説します。
本記事を読むことで、自社に最適な決済方法を選択するための知識と判断材料を得られます。さらに、導入コストやセキュリティ対策、各決済手段の特徴もあわせて理解することで、顧客満足度の向上や売上機会の拡大につなげることができるでしょう。
この記事のポイント
- オンライン決済には決済手数料やその他のコストが存在する
- 決済手段や導入方法ごとに決済手数料は異なるため、比較検討が重要
- 選定にあたっては、コストだけではなく、実績やセキュリティなど多角的に考慮が必要
決済手数料とは?
オンライン決済における「決済手数料」とは、商品の代金を支払う際、利用される決済手段に応じて発生するコストのことです。
たとえば、クレジットカード決済を行うと、売上の数%が決済手数料として決済代行会社やカード会社に支払われます。複数のプレイヤーが関与する料金体系であるため、導入時には詳細な理解と比較が必要です。
また、決済手数料は「定率(%)」で発生することが一般的である一方、「定額(1件あたりの料金)」のケースもあります。導入する決済手段によってコストが大きく変わるため、商材の単価や取引件数によって最適な選択肢が異なります。
事業者側の決済手数料
事業者側における「決済手数料」について見ていきましょう。事業者が商品やサービスの代金を受け取る際には、決済サービス提供会社に手数料を支払います。たとえばクレジットカード決済では、1回の売上に対して3%〜5%程度差し引かれるケースが一般的です。
この手数料は、決済手段の種類や契約内容、事業者の月間売上高によって変動することがあります。同じサービスでも事業規模によって実質的なコストは異なるという点に注意が必要です。
利用者側の決済手数料
利用者、すなわち商品を購入する消費者にとっては、決済手数料が目に見える形で加算されるケースはあまりありません。しかし、一部の決済方法(たとえばコンビニ支払いや後払い決済など)では、支払い時に別途手数料が発生することがあります。
また、銀行振込の場合には振込手数料が発生することもあり、これは利用者の負担となります。このように消費者が選ぶ決済手段によって、実際の支払い総額が変わることもあるため、導入する決済手段を選択する際には注意しましょう。
クレジットカード決済などのオンライン決済の種類と手数料の相場
オンライン決済の手段は多様化しており、それぞれに応じた手数料体系があります。事業者が自社のビジネスモデルに適した決済手段を導入するためには、それぞれの方式の特徴と相場を理解しておくことが重要です。
代表的なオンライン決済としては、「クレジットカード決済」「コンビニ決済」「QRコード決済」「銀行振込」「キャリア決済」「電子マネー決済」「ID決済」「後払い決済」などがあり、それぞれ手数料の仕組みが異なります。
たとえば、クレジットカード決済では3%〜5%前後の定率手数料が発生します。コンビニ決済や後払いでは1件ごとの定額手数料を設定していることが多数です。
また、顧客の利便性や売上単価、決済の即時性といった視点から選択肢を考えることも大切です。たとえば、学生などを含む若年層にはスマホ対応のQRコード決済やキャリア決済、社会人層ではクレジットカードや銀行振込の方が利用につながりやすいといった傾向があります。
このセクションでは、それぞれの決済手段についての概要と手数料の相場を見ていきます。
クレジットカード決済
オンライン決済の中でもっとも利用されているのがクレジットカード決済です。「Visa」「Mastercard」「JCB」「American Express」「Diners Club」などの国際ブランドが存在し、事業者側は幅広いユーザー層に対応できます。
手数料は通常、売上の3%〜5%程度で、決済代行会社や取扱高によっても異なります。また、導入後すぐに使える手軽さや、入金までの期間が比較的短い点もメリットです。
コンビニ決済
コンビニ決済は、クレジットカードを持たない利用者にも対応できる決済手段です。ユーザーは全国のコンビニで支払いが可能なため、利便性が高い一方、事業者側には1件ごとに100円〜200円前後の手数料が発生します。また、入金まで数日かかることが多く、キャッシュフローにも配慮が必要です。
QRコード決済
PayPayや楽天ペイ、メルペイといったQRコードを用いた決済手段です。リアル店舗での利用シーンの広がりとともに近年最も利用者が伸びており、オンライン事業者でも特に若年層を取り込みたい場合には最適です。手数料は商材によって異なる傾向があり、3%〜7%程度が一般的です。
銀行振込
銀行振込は信頼性が高く、法人間取引でも根強い需要があります。手数料は固定ではなく、金融機関や振込金額によって異なり、数百円程度であることが一般的です。多くの場合、利用者が手数料を負担します。ただし、入金確認に時間がかかるため、即時性が求められるサービスには不向きです。
キャリア決済
携帯電話料金と一緒にまとめて支払うキャリア決済(d払い、au PAY/auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払い)は、若年層に人気です。事業者には導入のしやすさと高い利用率が魅力な反面、手数料は5%〜10%とやや高めに設定されています。また、入金までの期間が長い場合もあるため、事前の確認が重要です。
電子マネー決済
「楽天Edy」「Suica」などの電子マネーは、スピーディーな決済処理が可能で、ユーザーの利便性も高い手段です。手数料はクレジットカード決済と同程度で、3%〜4%が一般的です。ただし、専用端末やゲートウェイの導入が必要な場合もあり、初期投資が必要になります。
ID決済
ID決済は、Amazon Payや楽天ペイに代表されるサービスのアカウント情報を用いて支払う方式で、特徴は煩雑な入力が不要で購入までのコンバージョンが高くなる点にあります。手数料はおおむね3%前後で、導入も比較的簡単です。しかし、サービス提供元との契約条件や審査基準が異なるため、複数比較して選定することが大切です。
後払い決済
後払い決済は、ユーザーが商品を受け取った後に支払いを行う方式で、購入ハードルを下げる効果があります。手数料は4%〜6%と高めですが、代金未回収リスクを保証会社が引き受ける仕組みを選べば、事業者のリスクを軽減することができます。具体的なサービスにはアトカラ、GMO後払いなどがあります。
オンライン決済の決済手数料以外の費用
オンライン決済を導入する際には、決済手数料だけでなく、さまざまな付帯費用が発生します。これらの費用をあらかじめ把握しておくことで、総合的なコスト管理が可能となり、導入後のトラブルを防止できます。
初期費用には、サイト側でのシステム構築が必要なケースもあり、開発内容によっては数十万円のコストがかかる場合もあります。また、導入後も継続的に発生する月額利用料や売上金の振込手数料といったランニングコスト、通信回線やSIMなどの通信費といった間接費も見落とせません。
このセクションでは、オンライン決済を導入する上で「決済手数料以外」に着目し、初期費用、月額利用料、通信費といった代表的な費用項目について詳しく見ていきます。
システム導入費用などの初期費用
オンライン決済を導入する際に必要となる初期費用にはシステム導入費用やアカウント開設費用などが代表されます。また事業者側でシステム開発が必要な場合はそのコストの負担も発生します。
意外と見落としがちな費用のため、事前の確認や見積もりが重要です。
月額利用料金、振込手数料などのランニングコスト
オンライン決済の利用にあたっては、毎月発生するランニングコストを支払う必要があります。代表的なのは、決済サービスの月額利用料金や売上金の振込手数料です。月額費用は数千円程度が一般的で、機能やサポート体制によって異なります。
振込手数料は、1回ごとの入金ごとに数百円発生することが一般的です。頻繁に入金処理をする場合はコストがかさむ可能性もあります。
通信費などそのほかの費用
オンライン決済を行うためには、安定したインターネット接続環境が欠かせません。そのため、通信費やWi-Fi・モバイルルーターなどのインフラ整備費用も間接的に発生します。
こうした費用も、初期導入の検討時に加味しておくと良いでしょう。
オンライン決済の手数料を安くする方法
オンライン決済の利便性は高いものの、手数料の負担が大きく感じられることも少なくありません。そこで、手数料を抑えるためのいくつかの方法を紹介します。
まず有効なのは、複数の決済代行会社を比較検討することです。手数料率や入金サイクル、対応している決済手段などは会社によって大きく異なるため、自社の販売形態や顧客層に最適なサービスを選ぶことで、適切なコスト管理をしましょう。
次に、取扱高が一定以上ある場合は、交渉によって手数料の引き下げを依頼することも可能です。とくに中〜大規模な事業者では、交渉余地が生まれるケースも多いため、定期的な見直し、相談を行うと良いでしょう。
また、1回あたりの決済金額が少額になりがちな場合は、定額手数料のサービスを検討するのも一案です。定率型ではなく一定額で手数料が固定されることで、利益率の改善につながることもあります。
さらに、手数料の安い支払い方法を利用者に選んでもらえるような工夫も有効です。たとえば、銀行振込や電子マネーなどの比較的手数料が低い決済手段を購入導線で目立たせることで、コスト負担の軽減が期待できます。
オンライン決済サービスを選ぶときのポイント
オンライン決済サービスは多種多様で、それぞれに強みや特徴があります。事業者が自社に最適なサービスを選定するためには、従前から解説してきたコストだけでなく信頼性や使いやすさ、顧客層との相性、セキュリティ対策なども踏まえ多角的に比較することが必要です。下記のポイントを踏まえて、適切な決済サービスや決済代行会社を選定しましょう。
実績の有無
オンライン決済サービスを選ぶ際は、まずその決済サービスの提供会社や決済代行会社の導入実績や業界での信頼性を確認しましょう。実績が豊富なサービスは、安全性やサポート体制が整っていることが多く、トラブルリスクを低減できます。
利用者数や客層
自社の顧客層やターゲットと合致している決済手段を扱っているかが重要です。若年層が中心ならQRコード決済、年配層にはクレジットカードなど、利用者数が多い決済手段を導入することで、離脱率の低減や購入率アップが見込めます。
導入時の初期費用やランニングコスト
導入コストや月額費用、決済手数料などのコスト面も比較ポイントです。特に中小企業や個人事業主は、初期投資を抑えつつ、必要最低限の機能が備わったサービスを選び、事業が大きくなった際の柔軟性も考慮しましょう。
入金サイクル
売上代金が事業者の口座に振り込まれるタイミング(入金サイクル)も、キャッシュフローに直結するため要チェックです。運転資金に余裕がない場合は、入金が早いサービスを優先的に検討すると良いでしょう。
契約内容
最低契約期間や途中解約の違約金、利用制限などが明示されているかを確認しましょう。サポート体制や管理画面の使いやすさも重要です。中途解約時に予期せぬコストがかからないよう、利用規約や契約書を必ず読み込みましょう。
セキュリティの堅牢さ
個人情報や決済情報を取り扱うオンライン決済では、セキュリティが非常に重要です。SSL対応や不正利用検知システム、2段階認証など、最新のセキュリティ対策が講じられているかを確認し、補償制度についてもチェックするのがおすすめです。
オプションサービスの豊富さ
決済代行会社によっては、入金サイクルの早期化や不正検知など、様々な決済周辺オプションを用意していることがあります。これらのオプションサービスは、事業成長や人的な運用コスト低減につながる投資と捉えることもできます。
サービス内容とコストを確認し、自社に適切なオンライン決済サービスを導入しよう
オンライン決済の導入は、事業の成長に欠かせない要素です。ここまで解説してきたように、導入を検討する際には、単に決済手数料だけでなく、初期費用や月額利用料といったランニングコストも含めた総合的な費用を把握することが重要です。
また、クレジットカード決済、QRコード決済、コンビニ決済など、それぞれの決済手段が持つ特徴や手数料相場、そして自社の顧客層との相性を深く理解することで、最適なサービスを選べます。費用を抑えるための比較検討や交渉も積極的に行い、コストパフォーマンスの高い選択を目指しましょう。
適切なオンライン決済サービスを導入することで、業務の効率化はもちろん、顧客の利便性向上による売上機会の拡大にもつながります。ぜひ、本記事で得た知識を活かし、貴社のビジネスに最適なオンライン決済サービスの導入を進めてください。
(by あなたのとなりに、決済を 編集チーム)
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