
教育現場における集金業務を支援するSaaS型プロダクト「enpay byGMO (以下、enpay)」を提供するGMOエンペイ株式会社(以下、GMOエンペイ)。
GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)とは2020年に業務提携を、2023年に資本提携をそれぞれ行い、「enpay」の保育・教育業界の顧客基盤や知見とGMO-PGの決済サービスを掛け合わせ、保育・教育業界へのキャッシュレス普及をともに推進してきました。
そして、2025年1月、株式会社エンペイ(現:GMOエンペイ)はGMO-PGにジョイン。
今回はエンペイ創業者の森脇社長と田野取締役CTOに、「enpay」についてや、保育・教育業界における課題、サービス内容を聞きました。
現場負担の大きい現金集金をキャッシュレス化するサービス
2020年にローンチし、教育業界のDX・キャッシュレス化を促進する集金業務支援サービスとして注目を集める「enpay」。これまで多くの人手を介して行われてきた教育現場での集金業務をデジタル化し、効率よく正確な集金を実現するSaaS型プロダクトです。
学校・教育現場では現金集金の慣習が多く存在しています。先生から子どもに集金袋が配られ、保護者は指定された金額ぴったりの現金を入れ子どもに手渡します。子どもから集金袋を受け取った先生は一つひとつ開封し、記載の金額と封入金額が合致しているかを確認、消込作業をし、校務へ現金を渡すなどといったフローが一般的な集金業務でした。
「enpay」はこうした流れを大きく変え、保護者と教育機関をダイレクトにつなぎ、キャッシュレスによる集金実現および関連業務を大幅に効率化する仕組み。従来型の現金集金における現場の先生の負担や保護者側の現金の用意といった課題を解決し、さらに集金のみならず集金前の請求から集金後の会計といった関連業務までワンストップで運用が可能なサービスです。
集金業務における課題を解決する、というアイディアは、創業者の森脇社長の実体験から生まれたものでした。
「前職で保育園向けのプロダクトを担当、数多くの保育園へ足を運びました。どこに行ってもあるのが集金袋。玄関に集金袋を差し込むところがあったり先生が受け取ったりと、大量の小銭を集める大変さは想像に難くありませんでした。その後自分の子どもが保育園に入り、今度は保護者の立場として集金の現場に遭遇。この現金集金は課題が山積していて、解決が求められているものではないかと思いアイディアを作りあげていきました」(森脇社長)
▲森脇社長
「キャッシュレス化・デジタル化することにより生産性の高い環境が築け、ミスの起こらない仕組みができるのでは」という思いから立ち上がったenpay。
現在は川口市をはじめとする地方自治体単位での導入のほか、各保育園・幼稚園・こども園・小学校・学童クラブ・習い事教室・発達支援教室・部活動(大学など)・PTAなど、多岐にわたり導入されています。
今までの業務に替わるものではなく「集金から解放する」プロダクト
「enpay」の思想は「現場の先生が関わっていたものを0にする」(森脇社長)。
「enpay」における集金業務は、教育機関の担当者が保護者へLINE経由で請求を実行、保護者はそのままスマートフォンなどからオンラインで決済、担当者は管理画面上で集金状況を確認する、というもの。従来は保護者と教育機関の中間で先生がやらなければならない業務や、子どもが一部担っていた役割をオンライン決済とデジタル化により削減。これにより圧倒的な業務時間削減を実現しています。
「多くのSaaS型プロダクトは新たに導入する際に反対する人が出るもの。しかし『enpay』に関してはそうではありません。なぜなら先生方にとって、従来の集金業務が『enpay』に切り替わるのではなく、集金業務そのものから解放されることになるので」(森脇社長)
「enpay」は集金のみならず、前後の業務までカバーするという点で独自性のあるポジションを確立。業界特化型SaaS型プロダクトとして認知を拡大してきました。
enpay導入で削減された業務時間と、増えたポジティブな効果
「enpay」の業務時間削減には驚くべき数字があります。
ある施設では、集金にまつわる業務時間が月30時間かかっていたところ、「enpay」の導入によって月35分に大幅に削減。
集金後に10時間ほど要していた集計と領収書発行業務は、「enpay」導入ですべて自動化されたため所要時間は0分に。
またある保育園では作業時間が減ったことにより「園独自の新しい企画を考える時間や保護者満足度向上に向けた取り組みを練る時間に充てられるようになった」との声も出ています。
ローンチからの解約数はわずか。森脇社長も「一度入れていただくことがまずは重要。入れていただくともう(これまでの集金業務には)戻れないと思います」と自信をのぞかせます。
もう一方のユーザーである保護者からもサービスは好評。過去実施したアンケートでは継続利用したいと答えた保護者は95%にのぼりました。
「enpay」を利用することで「スマホでいつでも支払える」、「現金を用意しなくてよくなった」、「カードで支払いが簡単。ポイントも付く」、「ペーパーレスでいつでも履歴を見返せる」など、好意的に評価する声が多く届いています。
すべての人が支払えるよう複数の決済手段をワンストップで提供
▲田野取締役CTO
サービスローンチ時より集金に用いられる決済システムにはGMO-PGのPGマルチペイメントサービスを採用しており、現在はクレジットカード決済・コンビニ決済・PayPay・au Payに対応しています。
共同創業者の田野取締役CTOは、決済手段について「集金という特性上、すべての方が支払える手段を導入することが大切」と考えています。
ローンチ時はクレジットカード決済・コンビニ決済のみでスタート、ユーザーや保護者の声を反映し徐々に決済手段を追加してきました。「今の手段だけでも決済できない方はほぼいないと思いますが、できる限り種類を揃えていきたいと思っています」。
教育現場のDX化・キャッシュレス化の現状は
この数年でデジタル化は急速に進み、飲食店や対面での物販店でもキャッシュレス決済の導入は顕著となりました。「飲食店でPayPayを利用できるお店はかなり増加していると実感できますよね。教育業界は徐々に進んではいるものの、まだその変化には追い付けていない印象です」(田野取締役CTO)。保育・教育業界はキャッシュレス化の余地がある数少ない領域。
「教育現場のDX化・キャッシュレス化は今後も大きなテーマになってくると思います」と森脇社長。その一方でDXやキャッシュレス化する際の必要なコストに対する理解が少なく、さまざまな変化に対する抵抗も根強い業界でもあると感じているとのこと。「だからこそ小さな変化から世の中を変えていくというアプローチを草の根的にやっていかなければならない。その難しさもあります」。
保育・教育業界はなり手がいない、先生の負担が大きいなどのニュースを目にされたことがある方も多いのではないでしょうか。そんななかにあって、お二人は今後に期待をしているそう。「人がやらなくても良い業務をまだ手作業で行っている場合も多い。そこを変えていくことで生産性の高い環境を作ることはできます。それを実現する一つが『enpay』。ローンチ時から比べればこのサービスを知ってくださる方は少しずつ増えてきています」。最近では教育者同士の横のネットワーク、利用者からのリコメンドを受け問い合わせされる教育機関も増えているといいます。
GMO-PGと伴走し飛躍と革新を続ける
2020年にGMO-PGと業務提携。アライアンスを組む際には、GMO-PG CTO三谷も含めたディスカッションを行い、各ガイドラインに準拠した独自のセキュリティチェックシートを作成しました。
「現在はチェックシートをベースに、該当部分変更の際には具体的な変更点やセキュリティ的に問題ないかの素案をこちらから持ち込み、相談するという運用。『enpay』も進化のスピードが速いので新しい機能を試行する際に照らし合わせ安全性が担保できるか、などを検証しています。三谷さんからも的確なフィードバックをいただいています」(田野取締役CTO)。
業務提携には別のメリットもあったといいます。「規模の大きな先などでは、スタートアップからの提案で不安に思われることも。そこでGMO-PGとのアライアンスや、求める条件をクリアしているプロダクトであることをお伝えすると安心してもらえるんです」。
システム面以外でも連携を強化し両社で教育業界におけるキャッシュレス化を進めています。「『enpay』導入を検討中の施設へGMO-PGの営業の方と一緒に伺うこともあります。会話の中でキャッシュレス領域・決済のプロフェッショナルとしてお力添えいただいていました」(森脇社長)
そして、2025年1月、これまでの協力関係を経てGMO-PGへのジョイン。
「『enpay』の魅力は社会を大きく変えられる可能性のあるプロダクトである、ということ。今後は教育業界の現状やマーケットを一気に変えられるような仕掛けを、より近い距離になったGMO-PGと一緒にできたら。そして『enpay』をもっと世の中に広めていきたいですね」と森脇社長。
スタートアップとしての軽やかさと教育業界へ革新をもたらす、"やさしいフィンテック"を掲げる同社の躍進はGMO-PGとよりシームレスに連携することで、これからも続きます。
▶ enpay byGMO: https://www.enpay.co.jp/
(by あなたのとなりに、決済を 編集チーム)
※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。