「スタートアップ」とは、アメリカを中心に広まった、いくつかの特徴を持つ企業のことを示す言葉です。例えば、GoogleやAmazon、Facebook、Appleと呼ばれるGAFAはスタートアップのなかでも大きな成長を遂げたテック系のスタートアップ企業でしょう。
本記事では「スタートアップ」についてその意味や、どういう特徴を持つ企業が「スタートアップ」と呼べるのかについて、解説します。
なお、「ベンチャー企業」という言葉も「スタートアップ」と同じような文脈で使われていますが、「ベンチャー企業」は日本で生まれた和製英語で日本では「スタートアップ」が浸透する以前より使われています。実際、両者に明確な大きな違いはなく、併用されているようです。
1.スタートアップとはどんな企業?
スタートアップを一言で表すとイノベーションを支援するビジネスモデルを持つ若い企業といえるでしょう。まだ存在しない製品・サービスなど、現在利用可能な選択肢よりも優れた問題解決方法を提供し、急成長する可能性を秘めています。
スタートアップの中でもよく耳にするのは、テック系の企業でしょう。例えば、Webに散らばった情報(Webサイト)にアクセスするために、小窓に質問を投げかければ目的のWebサイトにたどり着けるようにしたGoogleは、それまで探すことが非常に困難だった特定のWebサイトを見つけ出すという「未解決の問題」を解決できるようなユニークなソフトウェアを開発しました。併せて、広告による収益化のビジネスモデルを確立したことで、外部からの資金を調達しつつ、企業規模を拡大し急速に成長しました。
このようなスタートアップの創業者は、世の中に良い影響を与える製品やサービスについて、自ら行動を起こしていくためのビジョンを持っていることがあり、破壊的なイノベーションを起こすなど注目を浴びます。
2.スタートアップの3つの特徴
スタートアップの主な特徴として次の3つを挙げることができます。
- ビジネスの初期段階
- イノベーションを起こす
- 急速に成長する
詳しく解説していきます。
1.ビジネスの初期段階
スタートアップは若い企業であり、そのビジネスは初期段階といえます。製品やサービス、ビジネスモデルも未熟な状態のため、短期的な利益を生み出すのは困難です。経費が収益を上回ることが通常で、外部からの資金調達が必要となります。資金がなければ、革新的な製品やサービスを開発し、販売、改善していくことはできないからです。では、どのように資金を調達するのでしょうか。
資金調達には主に2つの方法があります。
- 融資や社債発行などによる資金調達である「デットファイナンス」
- 新株や新株予約権付社債の発行による資金調達である「エクイティファイナンス」
この2つを駆使して資金調達を行い、ビジネスを推進していきます。
資金を集められるスタートアップは、将来爆発的な成長を達成する可能性を秘めていることを投資家に認識してもらうことで、エクイティファイナンスでの資金調達が可能になりビジネスを軌道に乗せていきます。
なお、資金調達においては、投資家がスタートアップに対して投資を行うフェーズを表す「資金調達ラウンド」が存在します。
ラウンドは、アイデアの段階の「シード期」、ビジネス開始直後の「アーリー期」、製品やサービス改良時期の「ミドル期」、黒字経営が安定化する「レイター期」に分類され、それぞれ「シード」、「シリーズA」、「シリーズB」、「シリーズC」などと呼びます。
それぞれのラウンドで、投資家の種類や調達する資金規模などが変わっていき、スタートアップは成長していきます。
2.イノベーションを起こす
スタートアップは、創業者が市場に出したいと考えている1つの製品やサービスに焦点を当て、社会に存在しない新しい技術やアイデアを市場に提案しビジネスにしていきます。
問題は提案しているアイデアや技術、商品が市場に受け入れられるかどうかです。競合がいない中スタートできることもありますが、資本力のある企業に模倣されないように、スピードや技術・アイデアの革新性が求められます。
ただし、スタートアップという言葉がここまで浸透したのは、やはり破壊的なイノベーションを実際に起こし資本力のある企業ではできなかったことを実現できたからこそともいえるのではないでしょうか。
また、仮に1つ目の製品やサービスがうまくいかなかったとしても、事業を転換する「ピボット」を行うことで失敗を学びに変え、2つ目以降のアイデアが実を結ぶこともありますし、既にある業界や市場に対して新たな角度で切り込むことでイノベーションを生むこともあるでしょう。
とにもかくにも、スタートアップの爆発的な成長や成功を生むのは、これまでにない技術やアイデアなのです。
3.急速に成長する
スタートアップの大きな特徴が急速に成長するということです。スタートアップの創業者は、これまでにないアイデアや技術を使い破壊的イノベーションにチャレンジします。リスクはありますが、その可能性を示すことができれば投資家から注目され資金が集まり、さらに社会に受け入れられれば新たな市場がうまれ、売上規模を急拡大することができます。
なお、設立10年以内の非上場企業で、企業評価額が10億ドルを超えるスタートアップを、「ユニコーン企業」と呼びます。もちろん設立から10年以内に企業評価額が10億ドルを超えることは非常に困難で、2022年3月時点において世界でわずか1000社ほどしかありません。また、2013年に「ユニコーン企業」という言葉が生まれたころは39社しかありませんでした。
ユニコーン企業とまでとはいかなくとも、スタートアップはスピード感をもって成長していくか、失敗に終わり撤退するか、または別企業に買収されていきます。
3.スタートアップの種類
はっきりとした区別は難しいですが、スタートアップには創業者の起業目的による種類があるといえそうです。
多くのスタートアップは、「スケーラブル・スタートアップ(拡張性のあるスタートアップ)」であり、アイデアやコンセプトをもとに、ビジネスを急成長させ、できるだけ早く最高益を達成しようとする成長志向を持った企業といえるでしょう。
また、成長の先には自ら株式上場するIPOがありますが、上場前に売却を目指すケースもあります。これは、将来的に買収されることを想定して事業を起こすということであり、創業者が引退の時期が来るまで事業を自ら成長・拡大させるのではなく、早い段階で技術やビジネスモデルを必要とする別の企業に売却することを目指します。
最近では、ソーシャル・スタートアップ(社会起業型スタートアップ)と呼べるスタートアップも出てきました。ソーシャル・スタートアップの創業者は社会起業家とも呼ばれ、周りの世界に良い影響を与えることを目的にスタートアップを設立するため、前者2つのような他のスタートアップのイメージとは異なり、最大限の利益を得るために設立されるわけではありません。非営利組織でない限り、利益を得ることは可能ですが、社会起業家は、あくまでも社会に対してポジティブな変化を生み出すことを求めます。
4.まとめ
イノベーションを起こすようなアイデアや技術をベースに、資金調達しビジネスを急速に拡大していくスタートアップ。
もちろん失敗する企業もありますが、世の中に受け入れられ、市場を生み、新たな時代を創る企業もあります。社会が発展していくためにもスタートアップの存在は欠かせません。アメリカや中国だけでなく、インド、東南アジア、もちろん日本国内からもテクノロジーやアイデアを軸にしたスタートアップが多数生まれています。
自らスタートアップを起業するのもよいですし、応援する立場になるのもよいでしょう。未来のためにもスタートアップを知り、社会の発展に目を向けていきましょう。
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