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サブスクビジネス成功のためのオンブと決済洗替(洗い替え)

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サブスクリプションビジネスが日本で注目を浴びたのは2017年〜2018年頃のこと。「所有から利用へ」「ダウンロードからストリーミングへ」といったコンセプトとともに、動画や音楽などのデジタルコンテンツが隆盛し、2019年には流行語大賞にノミネートされるなど、一気に知れ渡りました。
この記事では、日本におけるサブスクリプションビジネスの展開について振り返り、ビジネスモデルの類型や、個々のサービスの正否を左右する条件、サービス進化を支える決済の仕組み、今後の進化の方向性について考えていきます。

「会員制」「定期購入」を軸とするサブスクリプションビジネスの3つのフェーズ

サブスクリプションビジネスが普及した今日から振り返ってみると、消費者の自宅に薬箱を無料で設置し、定期的に訪問して使用した薬の代金を集金し、新たな商品と置き換える「富山の置き薬」もモデルの一つとして捉えられるのかもしれません。ただし、この記事では、現代のサブスクリプションビジネスの大きな特徴である「会員制」「定期購入」という軸を重視し、3つのフェーズに分けて捉えてみたいと思います。

第1のフェーズ:「定期通販」

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第1のフェーズは、一定額の料金を払っている会員に対して、消費財を定期的に販売する「定期通販」です。初期の代表的な事例としては、健康食品やサプリメントの単品通販や、雑誌や新聞などが挙げられますが、最近は、旬の食材や季節の花を定期的に宅配する「頒布会モデル」も人気を集めています。

第2のフェーズ:「会員制」

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第2のフェーズは、一定額の料金を定期的に支払う会員に対して、サービスやコンテンツを利用する権利を与える「会費制」のビジネスモデルです。動画や音楽などのデジタルコンテンツや、24時間営業のフィットネスジムが代表的な事例ですが、最近のユニークなサービスとして、家具のレンタルサービスが挙げられます。
これは、ライフステージの変化が大きい若者世代、特に独身男性をターゲットにしたビジネスモデルですが、「サブスクリプションビジネスを創り上げた方がユーザーのためになる」という創業者の熱い思いから、便利で、役に立つサービスを立ち上げた好事例といっていいでしょう。

第3のフェーズ:「パーソナライズ」

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そして、第3のフェーズは、一定額の料金を定期的に支払う会員に対して、一人ひとりのニーズに合ったモノやコト、体験を提供する「パーソナライズ」というビジネスモデルです。例えば、数万通りの処方から一人ひとりの髪質に合ったシャンプーを宅配するヘアケアサブスクリプション。
それから、過去には専用アプリ及びマシンを使ったパーソナルスキンケアシステムもありました。これは専用アプリによって肌の状態(水分や皮脂、毛穴、キメ)を測定。自動収集した環境データとともにクラウド上で分析することにより、その日の最適なケアを決定し、ユーザー宅の専用マシンから、その日の肌に最適な美容液が抽出されるサービスでした。

サブスクリプションビジネス成功の肝「ONB(オンブ)」

さまざまな企業がサブスクリプションビジネスに挑戦する中で、成功と失敗を分ける要因も明らかになりつつあります。私がスポンサー執行役として参画している一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会では、サブスクリプションビジネスの成否を分ける要因を「ONB(オンブ)」としてまとめています。すなわち、「お得(O)かどうか」「悩み(N)の解決に役立つかどうか」「便利(B)かどうか」という3つの要因をすべて満たすことができるかどうかが、成功のカギを握っているということです。

ちなみに最も陥りがちな失敗パターンとしては、「ONB」の「O:お得かどうか」にばかりフォーカスしたサービスが挙げられます。一昔前の飲食業界で流行した、一定額を払った会員に対して食べ放題・飲み放題プランを無制限で提供するサービスは、まさにその典型で、ほとんどが撤退を余儀なくされました。安さだけを売りにしたサービスはなかなか長続きしないのです。

ライフ・タイム・バリューを向上させる決済サービスの役割

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ここからは少し視点を変えて、サブスクリプションビジネスを舞台裏から支える決済・課金の仕組みについて探ってみましょう。

クレジットカード情報を自動更新する「洗替(洗い替え)」

現代のサブスクリプションビジネスでは、クレジットカード決済が主流となっています。クレジットカード決済に当たっては、定期的に各カード会社に問い合わせを行い、利用者の与信情報を照会するのですが、その際、問題となるのがクレジットカードの有効期限です。カード会社やカードの種類によって違いはありますが、クレジットカードの有効期限は概ね5年。月額制の料金プランを採用している事業者にとっては、毎月60分の1の顧客のクレジットカードの有効期限が切れてしまう計算です。

サブスクリプションビジネスを展開する事業者にとってみると、これが実は大問題なのです。というのは、カードの切り替えのタイミングに合わせて、ユーザーには新たなカード情報を登録し直してもらうわけですが、このことがサービスを継続して利用するか否かを決断する機会を創り出してしまうからです。端的に言えば、解約のきっかけになるということです。また、ユーザーにとってもカード情報をいちいち入力するのは面倒でしょう。

こうしたデメリットを抑えるための手法として、私たちのような決済代行事業者が、登録されたクレジットカードの有効期限等の情報を自動で更新する「洗替」という処理があります。
ちなみに、多くの決済代行事業者で、この「自動更新」はできず、実際は「洗替」機能を搭載しているとしつつも、ユーザーに通知メールを送る機能を指しているケースもあり注意が必要です。

この自動更新可能な「洗替」はサブスクリプションビジネスを展開する事業者にとってはLTV(ライフ・タイム・バリュー)の向上につながりますし、ユーザーにとっても確認や入力の手間が省けます。非常に有益な仕組みといっていいでしょう。
この仕組みを私たちはECの黎明期から、お客様と一緒に作り上げてきました。

クレジットカード以外の決済手段

一方、このような決済・課金の仕組みによって、サブスクリプションビジネスを展開する事業者をより十全な形でサポートすることは可能なのでしょうか。決済インフラを預かる事業者にとって、最大のミッションは、ユーザーの安全かつ安定的な取引を守ることです。

長年にわたって培ってきた技術と経験を最大限に活かして、安定的な決済インフラを維持していく。これは私たちに課せられた、変わることのない使命です。その上で、若年層をはじめとするクレジットカードを持たない方々もサブスクリプションサービスを享受できるよう、クレジットカード以外の決済手段への対応をどんどん進めていく必要があります。当社はキャリア決済やコンビニ決済、PayPayやLINE Pay決済のほか、BNPL(Buy Now , Pay Later)に対応した後払い決済サービス等にいち早く対応してきましたが、今後もスピーディにアップデートを進めていかねばなりません。

サブスクリプションビジネス進化の方向性

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サブスクリプションビジネスはまだまだ進化していくでしょう。今後はSDGsへの取り組みがますます重要になってくるはずです。例えばSDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」を実現するためには、ゴミの減量やリユース、リサイクルが欠かせませんが、こうした消費スタイルは、売り切りモデルよりもサブスクリプションビジネスとの親和性が高いとみて間違いないでしょう。アパレルの余剰在庫を廃棄せずに、サブスクリプションビジネスとして展開する仕組みなど、新たなサービスによって社会的課題を解決していく発想がこれまで以上に求められるのではないでしょうか。

われわれのような決済代行事業者としては、このような新しいサブスクリプションビジネスを開始されるような企業様を全面バックアップできるように、自動更新できる「洗替」のような、エンドユーザーにも事業者にも喜んでもらえるような仕組みを拡充・アップデートしていきます。時代の変化を先読みし、「決済」という企業様とお客様をつなぐ重要な接点において満足度を向上できるように、サポートしていければと思います。

また、最後になりますが、こうした話題にご興味のある方は一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会に奮ってご参加ください。毎月開催している定例勉強会では、サブスクリプションビジネスで活躍中の事業家に、サービスの立ち上げから、スケールさせるまでのストーリーを話してもらっています。自社の製品やサービスをサブスクで展開するのであればともかく、プラットフォームの構築を目指す事業家は皆さん、泥臭く、血が滲むような努力をしてビジネスモデルを創り上げていることがわかります。

【筆者】

GMOペイメントゲートウェイ イノベーション・パートナーズ本部
日本サブスクリプションビジネス振興会 スポンサー理事
山本 拓也

2010年GMOペイメントゲートウェイ株式会社に新卒入社。2013年グループ会社のGMOペイメントサービス株式会社に立ち上げのタイミングで出向。セールスマネージャーとして黒字化を経験し2019年に帰任。現在、大手小売・流通担当部門に所属しライフスタイルに密接に関係するリテール領域に対して決済サービスを軸にクライアントの成長支援に従事。

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(by あなたのとなりに、決済を編集チーム)

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