Powered by

インドネシアの経済成長を後押しするFinTech企業「FinAccel」【FinTech Debt Finance Business担当パートナーに実態を聞いた】

article-020_top.png

インドネシアのジャカルタにある企業「FinAccel」をご存じだろうか。

バイタリティーあふれる経営者と、AIを駆使したデータ分析に裏打ちされた与信テクノロジーを武器に、インドネシアのファイナンシャル・インクルージョンを牽引している注目のFinTech企業だ。
GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)は、インドネシアの激戦を勝ち残る会社と見ぬき、FinAccelへのデットファイナンス(借入金融)を通して事業拡大のお手伝いをしている。
本記事では、FinTech企業FinAccelについて、ASEAN(東南アジア諸国連合)の40%の人口・35%のGDP割合を占めるインドネシア※1という環境も含めて、そのサービスが支持される理由や、GMO-PGが関わる理由についてアジアMSB推進部のFintech Debt Finance Business(Fintech向け融資ビジネス)担当パートナーに聞いた。
※1 出処:アジア太平洋局地域政策参事官室「目で見るASEAN-ASEAN経済統計基礎資料

インドネシアのEC購買を後押しするFinAccel

article-020_thumb01.jpg

--FinAccelはどのようなサービスを展開しているのですか?

インドネシアで後払い決済、分割払い、キャッシュローンサービスを提供している会社です。
FinAccel の後払い決済サービスや分割払いは、EC サイトでの購入時の決済手段として利用されていて、都市部に住む若者であり比較的所得のあるアーバンプロフェッショナルと呼ばれる人々や、Underbanked(銀行口座は持っているが十分な金融サービスにアクセスできない人)やNew to Credit(これまでクレジット系サービスを利用したことがなく、与信の元となるデータがない人)と呼ばれる人を中心に支持を得ています。
それだけ聞くと普通に聞こえますが、インドネシアで後払い決済を提供する会社は幾つかあるものの、FinAccelは技術力が圧倒的に強く一人勝ちをしています。その証拠に、大手銀行やアメリカのファンドなどからも評価され、融資を受けています。

--インドネシアではECの利用は進んでいるのですか?

はい。まず、インドネシアについて簡単に説明すると、人口は約2.7億人で、日本の人口の2倍以上と人口の多い国です。しかも平均年齢は29歳と若く活気があります※2
2019年のGDPは1.2兆ドル(約122.7兆円)で、2009年からの10年で約200%増と伸長しています(日本は同期間で約3%減)※3。また、ECのGMV(流通取引総額)は、2019年時点で約230億ドル(約2.4兆円)になり、2025年には約5倍の1,010億ドル(約11.1兆円)に達するとの予想も出ています※4
※2出処:マイナビMG-HUB「インドネシア人の特徴とは?性格や価値観・日本への印象を紹介」
※3出処:THE WORLD BANK
※4出処:redseer「Report On Indonesia ECommerce | Metamorphosis In A Post Covid World

後払いを支える新しい与信の仕組み

--なぜ後払いサービスが利用されるのですか?

インドネシアのクレジットカード所有率は、2019年時点て約7%※5です。これは、クレジットカードの場合審査基準が厳しかったり、紙書類の提出が必要で時間もかかることにより、持てる人が少ないためです。
そもそも、クレジットカード会社が審査を厳しくしているのには理由があります。返済能力がない消費者にクレジットカードを発行すると、元金の回収ができず、企業として存続できなくなるからです。
そこに登場したのが、FinAccelです。AIを駆使したテクノロジーで新しい与信の仕組みを実現し、クレジットカードの審査が通らない、もしくは審査は通るがクレジットカードより審査も早く、必要な時にその場で利用でき、年会費もかからない利便性の高さに魅力を感じる人たちに対して、後払いの決済手段の利用を可能にしています。
※5 出処:J.P.Moregan「E-commerce Payments Trends: Indonesia」

--後払いサービスには新しい与信の仕組みがあるのですね

はい。クレジットカードも後払いもユーザーに与信枠を提供する企業のリスクは同じモデルです。利用者からの支払いが滞れば回収ができなくなり、ビジネスとしては破綻してしまいます。
FinAccelでは独自の与信モデルで審査を行っており、FinAccelのユーザーの不良債権比率はインドネシアの大手銀行のクレジットカードの不良債権比率よりも低い。つまり、クレジットカードの与信よりも精度が高く、これまで支払い能力がないとされていた人たちの中から、実は支払い能力がある人を見極めてサービス提供できているということです。

--もう少し具体的なサービス内容を教えてください

FinAccelは「Kredivo」というスマホアプリを通じて消費者に後払い決済を提供しています。利用にあたっては18歳以上のインドネシア人であることや月収の条件が定められており、スマホアプリを通して、必要な個人情報を入力し申請します。審査は基本的な情報に加え、ユーザーが連携するECサイトでの購買履歴などの情報も含めて行われます。結果は5分ほどで出ます。
審査が通れば、「Kredivo」が利用できる250以上の加盟店で、支払い方法として「Kredivo」を選択して決済することが可能になります。支払いは決められた期限内に銀行振込やコンビニ払いで行います。

登録時点で利用可能額が設定されていて、利用した分を返済したら、利用可能額が満額に戻る仕組みです。この利用可能額は返済を確実に行うと、徐々に上限額が上がり、分割払いや、キャッシュローンも使えるようになります。信用を積むことで、後払いできる金額が増えるということです。

強みは「AI」を中心に構築されたテクノロジーに裏打ちされた与信力と創業者

article-020_thumb02.jpg

--クレジットカード会社ができなかった与信の仕組みをなぜFinAccelはできたのでしょうか?

ユーザーのスマホアプリや外部ECサイトから得る情報を通じた、AIを駆使したクレジットスコアリングが非常に優れているからです。この技術には当社のCTOも非常に驚いていました。
クレジットカードの審査では年収や職業などの属性情報を主として判断を行いますが、「Kredivo」では、ユーザーの過去のEC購買履歴や、アプリ上での挙動等のデータなどを自動収集し、AIが瞬間的にクレジットスコアリングをしています。また、過去のユーザーの属性、虚偽の登録や代金を支払わない不正のデータなどもAIに学習させ、新規ユーザーの審査における精度を劇的に上げています。

--ほかの企業ではできないのでしょうか?

かなり難しいでしょう。これまでも多数の参入がありましたがその激戦を勝ち抜いて今ではオンリーワンの存在になっています。FinAccelの与信力はこれまで蓄積してきたデータを活用していくため、時間とともに精度が上がります。時間経過の分だけFinAccelが先に進めているため、新規参入で追い付くのは容易ではありません。
そして何といってもFinAccelの創業者である、連続起業家のグループCEO、Akshay Garg氏と、信用管理サービスに深い知見を持つ現地法人CEOのUmang Rustagi氏の二人の存在が大きい。Akshay氏が強いリーダーシップで事業を前進させ、Umang氏を中心に高い与信力を構築し、堅実な経営をしており他社を寄せ付けません。

GMO-PGとしてファイナンシャル・インクルージョンを実現したい

--GMO-PGはどのように関わっているのですか?

成長をバックアップしています。
今では世界的大手のファンドや現地の大手銀行も融資に加わり、押しも押されもせぬ存在になっていますが、2016年、当時まだ注目されていなかったFinAccelへ、当社副社長の村松がジェネラルパートナーを務めるGMOベンチャーパートナーズで、いち早く出資を決めました。村松いわく、「創業前にFinAccelの創業者を一目見て決めた」というくらい、創業者が魅力的な会社です。その判断は正しく、今ではインドネシアNo.1の後払い事業者となりました。
さらに、当社はフィナンシャル・インクルージョン(金融包括)をビジョンとして持っており、FinAccelはそれをインドネシアで実現していく会社だと判断できたため、その成長を後押しするために、資金を融資しました。FinAccelは事業の特性上、後払いやキャッシュローンのためのデット(借入)により融資用資金を調達する必要があるからです。
当社だけの力だけではなく、GMOインターネットグループのシナジー効果が発揮されたと考えています。

--改めて、インドネシアの企業に融資する理由を教えてください

当社は、海外でも決済サービスの提供をしていますが、台湾など、当社の決済代行業を順調に拡大している国もあれば、経済成長著しい東南アジアやインドなどでも現地の様々な事情も含め今すぐにサービスを直接提供するのが難しい国もあります。
繰り返しになりますが、当社は、テクノロジーの力で決済・金融関連サービスをより便利なものにし、新興国の中間層を含めてより多くの人に提供していく、ファイナンシャル・インクルージョンを目指しています。
ASEAN(東南アジア諸国連合)のなかで人口の40%、GDPも35%を占めるインドネシア※1には、クレジットカード所有率が約7%と金融サービスにアクセスできない人がたくさんいます。その人々に対して便利な新しい金融サービスを、FinAccelを通じて支援していくことで、その国の発展に貢献したいと考えています。

今後もさらなる成長が期待できる

--FinAccelの今後に期待ですね

インドネシア国内のマーケット自体が現在急成長していますので、今後も取扱高は確実に拡大していきます。そのうえで、これまでのデータの蓄積による与信力が高くポジションを確立できているため、非常に守りも固く、健全な事業成長が期待できます。
当社としても彼らの成長をしっかりとサポートできるように、全力を尽くしていきます。


当社は今後も世界の国々の発展に貢献できるように海外事業を拡大していきます。ともにチャレンジできる方のジョインをお待ちしています。


(by あなたのとなりに、決済を編集チーム)

※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。

SSL GMOグローバルサインのサイトシール