
業界初の国際認定の取得など、カスタマーサポートの品質向上に注力するGMOペイメントゲートウェイ。その中核を担う蜷川は、お客様対応の品質向上やセルフサポートの強化、研修体制の構築等を進めています。品質向上に貢献してきた蜷川が進める、静かなる革命の裏側に迫ります。
【略歴】
- ~2010年:メーカーでの営業事務、IT企業での運用企画業務、ポータルサイトのコンテンツ制作などに従事。
- 2011年:GMOペイメントゲートウェイへ入社。加盟店業務部へ配属され、お客様の契約手続きなどを担当。
- その後、カスタマーサポート部(現・システム本部カスタマーサポート統括部)へ異動し、お客様のお問い合わせ対応やその品質向上に貢献。
- 2024年10月:課長、室長を経て、カスタマーサポート統括部サポート企画部の部長に。
「問い合わせを増やさない」ために。チームで挑むサポートの新しいかたち
──蜷川さんは、GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)のシステム本部 カスタマーサポート統括部サポート企画部で、部長として活躍しています。まずは、部署の概要と具体的な仕事内容、ミッションについて教えてもらえますか?
当部署は40名程度の組織で、その中のサポート企画部は9名体制。サポート改善グループと品質管理グループの2つに分かれています。お客様からのお問合せは、電話・メール・有人チャットといった複数のチャネルを通じて日々寄せられていますが、サポート企画部では直接対応を担うのではなく、主にカスタマーサポート全体の改善活動を推進しています。具体的には、ITサポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体「HDI」の国際認定スタンダード(SCC)をベースに、日々のサポート活動を数値化・分析し、見える化する仕組みを整えています。そのうえで、お客様対応品質の継続的な向上、FAQやBOT、ヘルプ動画を活用したセルフサポートの拡充・強化、研修体制の構築に取り組んでいます。
当社グループは経営指標として年平均25%の営業利益成長を重視しており、顧客数は飛躍的に増加しています。決済サービスは日々新しい手段が登場し利用の幅が広がる一方で、その仕組みは専門性が高く複雑になりやすい領域でもあります。だからこそ「お客様が増えても、お問い合わせを増やさない」ことをミッションとし、お客様が迷うことなく安心してご利用いただけるよう、セルフサポート拡充や、加盟店様(サービスご利用中のお客様)向けセミナーの実施に注力。問合せに頼らずスムーズに使える環境を整えることが、コストを抑えつつ、顧客満足度を高め、25%成長に寄与するカスタマーサポートの使命となっています。
──「お客様が増えても、問い合わせを増やさない」をミッションとし、それを実現するための日々の業務で大切にしていることは何ですか?
感謝の気持ちを忘れず、常に責任感と思いやりを持って行動することを大切にしています。ミス防止策として、作業内容を必ず別のメンバーが確認する体制をとっており、チームの連携が不可欠です。時短勤務のメンバーもいるため、業務の進め方や引き続きには細やかな配慮を欠かさず、声をかけあい、助け合って進めることを意識しています。
──感謝と思いやりを大切にしているんですね。そのような価値観を持つようになった背景を教えてください。
前職では、日々の業務改善に取り組む中で、同じチームのメンバーや業務委託の方、関係各所と調整・相談しながら案件を進めていました。ひとりでは成し得ないことも、周囲と協力することで成果に結びつく。そのプロセスを通じて、チームで取り組むことの楽しさや、周囲への感謝、そして思いやりの大切さを学びました。そうした経験から、「誰かを支えることに喜びを見出す」という価値観が自然と育まれたのだと思います。
──前職での経験が大きかったのですね。GMO-PGにはどのような経緯で入社したのでしょうか?
GMO-PGへの入社前には、さまざまな業務を経験しました。営業事務やeコマース領域での法人営業のサポートやオペレーションの管理業務に従事。そこで業務フローの見直しや効率化を推進、変化に強い体制づくりを学びましたね。そのほかにも、ポータルサイト関連の日本語コンテンツの制作にも関わりました。その後、知人の紹介でGMO-PGを知り、決済代行業界をけん引する存在であることに惹かれたことと、これまでの経験も活かせると考えて、2011年にGMO-PGへ入社しました。
「お客様のために何ができるか」を考えて。急増する問い合わせと向き合った日々
──GMO-PGに入社後は、加盟店業務部に配属されお客様の契約手続や、ご利用環境の設定業務などを行い、その後、カスタマーサポート統括部へ異動となったんですよね。当時の状況についてお聞かせください。
加盟店業務部でお客様目線の仕事をしていた点を評価されたことがきっかけで、カスタマーサポートへ異動となりました。当時のカスタマーサポートは10人程度の少人数で、まだ研修制度が整っていない状態でしたね。着任後は、見よう見まねでお客様対応をスタートさせることになりました。
社会人としての電話対応の経験はあったものの、カスタマーサポートとしてのお客様対応は初めてでしたので、最初は戸惑いました。お問い合わせの内容は、当時も今も決済状況の確認やシステムに関するお困りごと、サービスの仕様、管理画面の操作方法、ご契約や料金に関することなど多岐にわたります。その中には、複雑な決済の仕組みをわかりやすく説明することが求められる場面も多くありました。十分にご納得いただける回答ができずにご不満の声をいただくこともあり、思うように伝えられないことに落ち込むこともありました。
そのような状況でも、「お客様のために何ができるか」を考え、誠実に対応することを心がけていました。その結果、しだいにお客様に名前を覚えてもらい、指名でお問い合わせをいただけるようになりました。また、会社でトラブルが発生した際には、お客様から励ましの言葉をいただくこともありました。これらの経験は今でも忘れられない思い出で、まさに「お客様に育てていただいた」という思いが強くあります。
──「お客様のために何ができるか」を考え、誠実に対応することで、信頼されるようになっていったんですね。一方で改善活動にも着手したようで、そのきっかけを教えてもらえますか?
約12年前の当時はカスタマーサポート内でも課題を抱えていました。事業の成長に伴いお客様が増加し、それに比例して問い合わせも増加の一途をたどっていました。日々お客様対応に追われ、改善に手を付ける余裕はありませんでした。結果としてマニュアル整備などの取り組みは後回しになり、改善の対応が進められないまま、負担だけ増えていきました。そのような状況の中でミスも生じやすくなっており、当時、経営層から厳しい指導を受けることもあったと上司から聞いています。
そこで、会社の成長をサポート部門として支えていくには、改善を継続的に進める体制づくりが不可欠であるということで、カスタマーサポートとして最初に着手したのが、当時の経営企画部が管理していたFAQの引き取りと、内容の全面的な見直しです。
それまでのFAQは、「よくあるお問い合わせ」のみを掲載していましたが、構成から再設計して、サービスに関する仕様書やドキュメント類も加えました。PDF形式で提供されていた操作マニュアルなども統合し、FAQシステム内で一括検索できるようにすることで、利便性を大きく向上させました。私自身もプロジェクトメンバーの1人としてこの改善に携わり、このときチームで力を合わせて作成したFAQこそが、改善の第一歩であり、その後の取り組みを支える土台となりました。
──その後、積極的に改善活動に力を入れていったようですが、他の具体的な取り組みも教えてください。
FAQの再整備に続いて取り組んだのが、チャットボットの導入です。お客様からいただく声をもとに改善を重ねました。例えば「チャットが常に表示されているのが気になる」といった声をいただき、オン・オフ切替機能を追加するなど、利便性の向上に努めています。その後「リアルタイムで質問したい」というニーズにお応えするかたちで、有人チャットも導入しました。
また、年1回カスタマーサポートが中心となって実施しているCS調査や、日々の対応を通じてお客様のご意見を収集し、それをサービス改善に反映しています。
さらに、社内での自社指標によるモニタリング、外部評価や顧客満足度調査も取り入れながら、対応品質の継続的な向上に力を注いでいます。
三つ星、五つ星、国際認定(SCC)をつぎつぎと獲得した舞台裏
▲「HDIサポートセンター国際認定(SCC)」の認定式にて
──カスタマーサポートの品質をさらに高めていくため、数々の外部評価の取得にチャレンジした経緯を教えてください。
最初の大きな節目となったのが、2018年のHDIベンチマーク「クオリティ格付け」における三つ星の取得です。これは対応品質に関する評価制度で、最高評価である三つ星を7年連続で獲得。当時はこの受賞を通じて、自分たちの対応品質が他業界と比較しても最高の水準に達していることを確認できました。
その後、さらなる高みをめざし、2019年にはセンター運営の品質を評価する「五つ星」の取得に挑戦。五つ星の取得過程では、それまで以上に体系的なアプローチが求められました。とくに力を入れたのがセルフサポートの改善で、お客様が自己解決できる環境の整備を進めた結果、問い合わせ件数が徐々に落ち着いていったのを実感しましたね。2年ごとに認定更新監査を受ける五つ星を2019年と2021年に獲得しました。
そして2023年、決済代行業界で初となる最高峰の「HDIサポートセンター国際認定(SCC)」を取得しました。この認定では、社内ナレッジの運用方法の変更や、50項目以上の数値指標の取得とPDCA運用の開始など、約80項目にわたる厳密な基準を実行内容と結果でクリアする必要がありました。なかでも大きな変革となったのは、ナレッジ運用を従来の手法からKCS(Knowledge-Centered Service)へと切り替えたことです。日々の対応の中でナレッジ作成し、共有・活用する仕組みに変えたことで、組織全体の知見がデータ化され循環し、品質向上の土台を築くことができました。
──国際認定の取得がもたらした変化を教えてください。
「HDIサポートセンター国際認定(SCC)」は、日本国内でわずか10社程度しか取得していないもので、メンバー全員の誇りとなっています。現在は名刺にも認定マークを掲載しており、それを目にしたお客様から評価の声をいただくこともあります。この受賞については社内からも高く評価され、2023年7月には社長賞を、2024年にはGMOグループアワードの個人賞(サポート部門)をダブルで受賞することができました。日々お客様と向き合い改善を重ねてきたサポートメンバー全員で成し遂げた成果です。
外部評価の取得は、大きな意味がありました。三つ星や五つ星、そして国際認定といった評価を一つひとつ獲得していく過程で、私たちの対応品質を客観的に示す証となり、社内外への説得力のある発信ができるようになりました。また、それまで手探りで進めてきた対応基準についても、外部の視点から評価を得ることで、私たちの方向性が間違っていないという確信も得られました。
こうした積み重ねの中で、カスタマーサポート力は営業・開発・投資と並ぶ「GMO-PGの4つの強みの一つ」として統合報告書にも記載いただけるようになりました。お客様の声に誠実に向き合い、ひたむきに改善を重ね、常に進化を続けてきたその姿勢が、高品質なサポート体制をつくり、社内外から信頼される基盤へと繋がったのだと感じています。
唯一無二のサポートをめざし、変わり続ける覚悟とビジョン
──カスタマーサポートの仕事のおもしろさはどんなところですか?
最前線でお客様の声をダイレクトに受け取り、課題や期待を肌で感じながら、その気づきをサービス改善に活かせる点にあります。お客様やメンバーから「ありがとう」と言っていただけることがモチベーションとなり、次の行動力になっていますね。
特に当社の場合、カスタマーサポートといってもいわゆるコールセンターのように対応だけにとどまるのではなく、さまざまな改善や新しい取り組みにチャレンジできる機会があります。「やってみたい」と思ったことを任せてもらえる環境があり、それが大きなやりがいになっています。人に恵まれ、尊敬できる上司や仲間とともに挑戦できることが、私にとってこの仕事の大きな魅力です。
また、業種業態を問わずカスタマーサポートという職種が存在するため、同じような課題や悩みを持つ他社の方々と知見を共有したり、切磋琢磨できたりするのも、この仕事ならではの魅力だと感じています。こうした環境の中で、自分自身も成長を実感し続けられることが、この仕事を選んで良かったと思える大きな理由のひとつです。
──本格的な改善活動に取り組むようになってから、蜷川さんは2019年には課長に、2023年には室長、そして2024年には部長に昇進しています。立場が変わることで仕事への向き合い方も変わりましたか?
プレイヤー時代から、「これも変えたい」「あれも改善したい」という思いを持っていましたが、一人では実現できることに限界がありました。役職が上がるにつれて、自分のやりたいことを会社の方向性に沿う形で実現できる機会が増え、とくに仲間が加わることで実現できることの幅が広がったと感じています。
現在は、メンバー一人ひとりの強みを引き出し、同じ目標に向かってチャレンジしていくプロセスにやりがいを感じています。親のような気持ちでメンバーをサポートし、成長を見守ることも大切な役割ですね。
──新しい仲間がきてくれるとしたら、どんな方が向いていると思いますか?
誰かの役に立つことにやりがいを感じ、思いやりを持って行動できる方にぜひ来てほしいですね。現在は入社後の研修制度が充実しており、お客様対応の基本からサービスへの理解を深めるための製品研修まで、1カ月半程度かけて丁寧に指導を行います。専門的なスキルは入社後に身につけられるため、新しいことを学ぶ姿勢が重要だと感じています。よりプロフェッショナルで高品質な対応を当社がめざしているため、マニュアル対応ができるというよりは、お客様が何に困っているのかを深く理解し、プラスアルファの課題解決を提供できる方が大切です。
──今後のビジョンをお聞かせください。
今後は、カスタマーサポートの活動範囲をさらに広げていきたいと考えています。現在も実施しているお客様向けオンラインセミナーの頻度を増やしたり、テクニカルサポートメンバーが営業と同行して導入サポートを行ったり。お客様との接点を増やしていきたいと思っています。このような取り組みを通じて、お客様が長く使い続けられるようなサポート体制を構築し、会社により大きく貢献していきたいと考えています。
国際認定を取得しましたが、それに満足することなく、さらなる高みをめざしていきます。唯一無二のナンバーワンであり続けるために、独自の誇れるサポート体制を構築していきたい。25%増の成長を続ける会社に貢献するためには、私たち自身も変化し続ける必要があります。AI活用を含めた新しい技術の取り込みも、その変化の一つです。変化することは苦ではなく、むしろ、変わり続けることで、より良いサポートを提供できると信じています。自分を導いてくれる上司や信頼してくれるメンバー・同僚の期待に応えるためにも、まだまだ挑戦を続けていきたいです。
※記載内容は2025年8月時点のものです
(by あなたのとなりに、決済を 編集チーム)
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