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公共料金における決済システムの裏側①決済サービスの概要【DevelopersNight#37】

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GMOペイメントゲートウェイでは、電力・ガス・水道などいわゆる「公共料金」の支払いに特化した「マルチビリングパッケージ」を提供しており、その決済は月間1000万件もの処理件数におよびます。加えて、紙の払込票の代わりにSMSで請求をする「GMOデジタル請求サービス」を開発し、加盟店が利便性高く使える決済サービスを提供しています。今回はそれぞれのサービスに従事する開発者が、決済システムの概要と決済インフラならではの高可用性・信頼性を保つための裏側について3回にわたって紹介します。

2回「マルチビリングパッケージ」はこちら
3回「GMOデジタル請求サービス」はこちら

※本稿は、2023531日開催の「GMO Developers Night Online#37」にて登壇・配信した「公共料金における決済システムの裏側」を書き起こし記事にしたものです。

▶動画はこちらからご覧いただけます:https://youtu.be/yFnHp9KAvhA?si=fsn2rzGFiq8wNbOO

アジェンダ

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みなさんこんばんは!GMO Developers Night37「公共料金における決済システムの裏側」スタートです!
本日、司会進行を務めます、GMOペイメントゲートウェイ システム本部 プラットフォームサービス統括部長 高島 貞裕です。
今回の題目である公共料金、いわゆるユーティリティ分野のシステム開発の責任者を務めております。本日はよろしくお願いします。

まずは私からGMOペイメントゲートウェイとはどのような会社か、後は決済関連業界で働くとは、主にシステムエンジニアがどういった形で働いているのかを簡単に説明させていただきます。
そのあと、開発部長である飯島から公共料金における決済サービスの全体説明をさせていただきます。
基本的な支払い、「公共料金」について我々がどのようなサービスを提供しているのかと言ったところの説明をさせていただきます。
その後、システム開発の裏側ということで電気ガス水道に特化した継続課金サービスとGMOデジタル請求サービスのこの2つのサービスを佐藤、鈴木から説明したいと思います。
そこで実際に開発・運用をしているメンバーに説明していただき、システムの内容に加えて2人がどのような思いで開発運用しているのかというところも含めて聞いていただければと思います。それではさっそくはじめさせていただきます。

GMO-PGとは? 決済関連業界で働くとは?

会社紹介

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それではGMOペイメントゲートウェイとはどのような会社なのか、どういったビジネスモデルでやっているのかを簡単に説明させていただきます。
図でいいますと左側にECを中心とした加盟店様、ネットショップだとか今回の対象である公共料金とかを実際に運営している会社になります。
右側は決済会社と書いていますが、カード会社やコンビニ、口座振替、電子マネー、昨今増えているQRコード決済、これを決済会社とこれらをつなぐ、サービスをしている青い部分がGMOペイメントゲートウェイになります。決済と加盟店様をつなぐゲートウェイをしている会社となります。

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2023年3月末時点の連結の実績では、加盟店様数も16万を超えており処理数も増えてきています。決済処理件数55億件、決済金額13.2兆円ということで年々増えてきており、会社としておかげ様で毎年25%成長を目標に増収増益を続け、取引量も増えるにともなって我々システム開発も年々増えてきています。

決済事業者で働くとは

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実際に決済事業者で働くシステムエンジニアはどういった特徴があるかというところを説明させていただきます。「ミッションクリティカル」「マイサービス」「フルスタック・フルフェーズ」の3つが挙げられます。

まず「ミッションクリティカル」という点ではやはり決済に関わるシステムとして厳しい非機能要件がございます。24時間365日の高可用性、対応要請、高セキュリティ、不正取引、不正アクセスとの戦いというところになります。24時間365日の高可用性、信頼性を保つために監視/緊急対応を実施しています。社会インフラの一部を支えるという自負のもと日々サービスを徹底的に追及しており、それにやりがいに感じているところが我々システムエンジニアの特徴かと思います。

次に「マイサービス」「フルスタック・フルフェーズ」ですが、我々は完全内製化で開発運用をしているため、要件定義からリリース・運用まで全ての工程を自社社員で実施しています。
その中で25%成長をしていかなくてはならないので、ここにも記載していますが、マネージャー含めてコードがみんな書ける、コードでコミュニケーションがとれるようにしており、必要であればプロトタイプのシステムを作ってそれで会話したりとか、そういったところでドキュメントやソースについても自分たちが開発・運用するにあたって、必要最低限のものを自分たちで考えて残していく文化として対応しているのが特徴かなと思います。
システム本部としましては、現在エンジニア約200名程度所属しております。メインの拠点は東京渋谷ですが、福岡にも開発拠点がございます。そこを連携しながら日々プロジェクトを進めているという形になります。毎年新卒・中途含めて30名程度のエンジニアを採用しております。

以上が、会社説明になります。

それでは本題に入らせていただきます。開発部長の飯島から「公共料金における決済サービスの概要説明」をいたします。

公共料金における決済サービスの概要説明

自己紹介

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まずは簡単に自己紹介となります。飯島と申します。
2004年に独立系のSIerに新卒入社いたしました。基本的にはお客様先へ常駐して開発を行っており、JavaCOBOLを利用しての開発を担当してきました。
2011年8月よりGMOペイメントゲートウェイへ中途で入社、入社当時はクレジットカード与信システムを担当しておりました。
2015年より社内系のシステムを担当し、201710月より現在の公共系のシステムを担当することとなりました。
それでは本題の公共料金の支払いについてご説明させていただきます。

公共料金の支払いについて article-105_thumb06.jpg

電気ガス水道などの公共料金の支払いは従来から「払込票」、「クレジットカード決済」、「口座振替」の大きく3つの支払い方法があります。
左側の電気ガス水道を提供している加盟店様からいくつか矢印が出ておりますが、まず一番上の払込票です。こちらは加盟店からユーザーに対して払込票を送付します。ユーザーは手元に届いた払込票を基にコンビニまで行って支払いを行います。
最近ではQRコードが印字されているためQRペイコードをスキャンして、後払いを利用して支払いを行っている方もいらっしゃるかもしれません、この時加盟店は紙の印刷、郵送を行いユーザーへ費用請求を行います。
続いて真ん中に表示されておりますクレジットカード払いでのお支払いにつきましては、ユーザーが申し込みをしたクレジットカードに対して加盟店がクレジットカード会社へ請求を行います。ユーザーから見ると自動的に引き落としが行われている形となります。
最後に一番下に記載されております口座振替のお支払いにつきましては、ユーザーが引き落とし口座を指定して申し込みを行います。そして加盟店が毎月指定した金融機関に対して請求を行う形となっております。こちらもユーザーから見ると自動で引き落としが行われている形になります。
ここで加盟店は支払方法ごとに事業者と接続する必要が出てきます。払込票については、印字郵送を行う必要があるため専門の事業者と接続、また支払われた結果をコンビニやペイ事業者から連携していただく必要があります。クレジットカード決済については、クレジットカードを扱う会社と接続、口座振替については各金融機関と接続してユーザーへ請求を行う必要が出てきます。
こちらが従来から行われている公共料金の支払いの流れになります。

マルチビリングパッケージをリリース

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そんな中、20164月からスタートした電力自由化のタイミングに合わせる形で他業種の新規参入を見据え、PGマルチペイメントサービスをベースとした電気・ガス・水道等向けの公共料金の支払いに特化したパッケージ(以降、マルチビリングパッケージ)をリリースいたしました。
これまで公共料金に関する請求をしてこなかった加盟店も、マルチビリングパッケージを利用することで簡単に利用することができるようになりました。
左側に記載の電気・ガス・水道を提供している加盟店はマルチビリングパッケージを利用・接続するだけで、インターフェースを一本化でき、先ほどご紹介しました「払込票」、「クレジットカード決済」、「口座振替」の3つの支払い方法を利用してユーザーに請求をすることができます。
現在、マルチビリングパッケージでは月間1000万件を処理するほどの規模となっております。なお、払込票は引き続き紙を利用して支払いを行う形となります。

払込票のDXを目指して導入した「GMOデジタル請求サービス」

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ここまでお話ししました払込票は紙が必要となっておりました。

時代とともにデジタル化が進行する中で、紙が必要となっていた払込票のDXを目指して導入したサービスが「GMOデジタル請求サービス」となります。
こちらは払込票に変わりSMSを利用して支払い用のURLをユーザーへ送付、SMSに表示されているURLにユーザーがアクセスしていただくことで公共料金の支払いをクレジットカード・バーコード決済・Pay決済などで支払いを行うことが可能となっております。
従来の払い込み表では印字台郵送費など、加盟店にとっては原価率が高いものとなっておりましたが、これらの費用を削減することができ、かつペーパーレス化を行うことができるため、自然環境保全も行うことができる払込票よりも安価にユーザーに支払いをしていただくことができます。 またSMSでは、支払い忘れ防止のために支払期日直前にリマインドとしてSMSを送付することもできますし、誤ってユーザーがSMSを削除した場合の再発行や、お支払い期限を過ぎた場合の督促としてSMSを送信し、お支払いいただく形で利用することも可能となっています。
まだ払込票を利用している加盟店であったとしても、再発行や督促時などですぐに支払いをおこなってほしい場合だけでもこちらのサービスを利用してユーザーに早くに支払っていただくこともできます。
お支払い方法に関してはPGマルチペイメントサービスを利用しておりますので、多様化するPay決済など多くのお支払い方法が導入可能となっています。
なお、GMOデジタル請求サービスでは1日約20万件、月間で400万件を処理できるようなサービスとなっております。

マルチビリングパッケージとGMOデジタル請求サービスの連携

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これまで2つのサービスを紹介させていただきましたが、マルチビリングパッケージとGMOデジタル請求サービスを合わせて利用していただくことで、クレジットカードのお支払いをシームレスに継続払いに切替を行うことが可能となります。
ユーザーがのところで、クレジットカードでGMOデジタル請求サービスにて支払いをしていただく際、このとき、ユーザーは"支払いをしたクレジットカードを利用して次月以降は継続払いを行う"という申し込みを選択してお支払いいただきます。
その下、のところになりますが、この指定をしてお支払いすることでGMOデジタル請求サービスからマルチビリングパッケージへ情報を連携します。
③になりますが、次回以降の請求ではこのとき支払いをしていただいたクレジットカードを利用して自動引き落としが行われます。
そのため、ユーザー側で別途クレジットカード決済の申し込み手続きやGMOデジタル請求サービスにて次回以降の支払い操作などを行う必要がなくなるため、ユーザーの利便性向上につながります。
加えてユーザーの支払い漏れのリスクが減り、加盟店においても未回収リスクを減らすことができます。また、SMS送信を行う必要がないため、SMS送信にかかる費用も削減することが可能となります。
さらにこのサービス間連携を行うことで、クレジットカード継続払い(自動引き落とし)において発生する可能性のある、例えばクレジットカードの有効期限切れやクレジットカード解約などによる支払い不能が発生した場合にも、通常であれば加盟店から払込票及び申し込み案内をユーザーに送付する必要が出てきますが、再度SMSを送信してユーザーに支払いを行っていただくことも可能となります。
ここまで公共料金の支払いの流れや各サービスの紹介を簡単にさせていただきました。
それではそれぞれマルチビリングパッケージ、GMOデジタル請求サービスの開発担当者にサービス要件に沿ったシステムのお話をしていただきます。

※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。
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