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知っていますか?不動産賃貸業のキャッシュレス化は、入居者・各不動産事業者にメリットあり【不動産業界のDX】

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昨今、ビジネスにおける一大テーマとなっている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。この流れは不動産業界も例外ではなく、最先端のテクノロジーを活用した「不動産テック」関連の企業が次々と立ち上がっています。

今回は、不動産賃貸業に関連するITソリューションの総称「不動産テック」の全体像を俯瞰しながら、その中でも「決済」に関する最新の動向やキャッシュレス化がもたらす各事業者のメリットについて、GMOペイメントゲートウェイで、不動産業界を担当するイノベーション・パートナーズ本部 岩間と小野澤に訊きました。

※GMOペイメントゲートウェイ株式会社も「決済ソリューション」をもって、この領域に参入しています。

不動産テックの普及を進める2つの要因

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近年は不動産テックの領域にさまざまな企業が参入しています。

一般社団法人不動産テック協会が毎年発行する不動産テックカオスマップでは、2018年以降参入する企業は増え続け、2021年は2020年の352サービスから94サービス増えて、446サービスを数えるまでに市場は拡大しています。

そして、このような不動産テックの潮流を捉えて、弊社は3年ほど前から不動産テック事業への参入を進めてきました。しかし、この1年ほどで大きく潮目が変わりました。

その要因を大きく2つあります。

まず1つ目は「コロナウイルスの感染拡大」です。2020年以降、感染が拡大するたびに"STAY HOME"が叫ばれ、外出が難しくなりましたが、これは不動産賃貸業にも大きな影響を与えました。
外出が難しいので、賃貸契約などもオンラインで手続きを進める必要があります。そのため、不動産関連企業でもデジタル化への対応が求められました。

そして、もう1つの変化が「法律の改正」です。2021年5月に国会でデジタル改革関連法案が成立し、宅地建物取引業法(以下、宅建法)も改正が決定。1年間の準備期間を経て、2022年5月までに施行されます。

改正後の法律が施行されると、契約時の押印が廃止となり、契約書は紙ではなく電子契約書でも可能となります。この変化は非常に大きく、不動産テック関連のソリューションが大手不動産会社さまを中心に一気に普及する可能性を秘めています。

このように不動産テックを取り巻く環境はこの数年で一変しました。そして、これらの外部環境を追い風にすべく、GMOインターネットグループは不動産テックソリューションの展開に注力しています。

※参考:一般社団法人不動産テック協会 「不動産テック カオスマップ」
※参考:第14回新戦略推進専門調査会デジタル・ガバメント分科会 第44回各府省情報化専任審議官等連絡会議合同会議「デジタル改革関連法案について」

GMOインターネットグループが提供する不動産テックソリューション

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それでは、実際に不動産テックにはどのようなソリューションがあるのでしょうか。

GMOインターネットグループには、主に4つの不動産テックソリューションがあります。

1つ目は、不動産オーナーさまや入居者など関係者との連携を図るための「コミュニケーションツール」。ここではチャットや画像・動画の共有などが可能となります。

2つ目は、先ほど紹介した宅建法改正にも関わる「電子契約書」です。これにより、紙ではなくデジタルで契約を完結し、業務の効率化や紙で業務を進めることにより発生していたコストの削減が期待できます。

3つ目は、「ワークフローの管理ツール」です。不動産には内装業者などさまざまな事業者が関わりますが、これらの事業者との業務を可視化して、連携を深めることが可能になります。

そして、4つ目は「決済サービス」です。これは入居者がクレジットカードや多様化するウォレット系サービスで敷金礼金や毎月の家賃の支払いなどを可能にするサービスです。不動産賃貸業における決済サービスの展開はさらに加速すると考えています。

不動産ビジネスで決済サービスが求められる理由

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それでは、なぜ不動産賃貸業で決済サービスが求められるのでしょうか。

それを理解するために、まずは不動産賃貸業のステークホルダーとその関係について整理しましょう。

下記の図のように、不動産ビジネスでは決済が求められるシーンが数多くあります。一般的に認知されている「入居者」と「仲介業者」における決済だけでなく、仲介業者から「不動産オーナー」、場合によっては「保証会社」が関わるケースもあります。

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その中で、もっとも頻繁にあるのが「月額家賃の支払い」です。
毎月発生するこの手続きは不動産賃貸業において、非常に大きなポイントとなります。

まず入居者さまにとってクレジットカードやウォレット決済が可能になるメリットは、口座引き落としだけでなくその他の決済手段も利用できることで、決済サービスに付随するポイントが受け取れるなどが挙げられます。また、口座の残高不足で決済ができないことも避けられるでしょう。

また家賃回収する事業者サイドにも大きなメリットがあります。

もしも家賃の支払いが滞ると、保証会社は督促を出す必要があります。しかし、裏を返せば督促をするにもコストが発生してしまいます。保証会社の営業マンが電話をしたり、書面を発送するなどの対応をすると、想像以上にコストがかかっている可能性もでてきます。しかし、クレジットカード決済が可能になれば、このような督促業務は不要になります。なぜなら、クレジットカード決済であれば、毎月の家賃は不動産関連事業者にとって債権となり、回収をクレジットカード会社に一任できるからです。

さらに、これらのメリットは家賃の支払い時だけでなく、入居前の敷金・礼金、更新費用などでも享受できます。

不動産は支払いのタイミングや金額の大きさが異なります。入居者からすると、入居前の負担を少しでも軽減したいでしょうし、更新費用などは都度支払いのため、支払いが忘れがちになるものもあります。しかし、決済手段が決められていれば、サブスクリプションサービスで毎月クレジット決済が完了するように、都度払いの支払いも確実に行えます。そのため、このような入居者の課題をクリアできますし、事業者サイドも確実に各費用を回収できるでしょう。

決済サービス導入のハードルを超える

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このように不動産賃貸業で大きなメリットが見込める決済サービスですが、一方で事業者が導入するにあたってハードルが2つあります。

そのうちの1つが、「決済手数料」です。クレジットカード決済の際に発生する手数料は、事業者からすると負担となってしまいます。不動産賃貸業でクレジットカード決済が普及しない、大きな要因とも言えるでしょう。

そして、もう1つが「キャッシュフロー」です。これまで現金振り込みでキャッシュフローを安定的に確保していた事業者が、クレジットカード決済を導入することで、これまでより入金までのサイトが長くなりキャッシュフローが悪化してしまうリスクがあります。

しかし、これらの課題についても解決の見通しが示せます。

まずクレジットカード決済に伴う手数料については、弊社とカード会社さまとの決済取扱高が大きいため、そのリレーションを活かして、事業者さまのご負担が少なくなるよう改善することができます。またキャッシュフローについても、『早払い』などを活用しながら、事業者さまへの支払いサイクルを早めることが可能です。

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▲最適な入金サイクルの設定が可能

また手数料の金額負担だけを見るのではなく、家賃の未収金率と手数料とを比較することも重要です。

大手の不動産会社さまでも、本来見込める売上金額の約10%が未収金となり、督促などを出して対応しているようで、仮に売上が100億円見込めるとすると、約10億円が未回収となってしまい、これは大きな損失になりかねません。決済サービスへの手数料などを負担しても、未収金の金額を減らす取り組みを進めることで収益が改善する可能性もあるのです。

不動産業界のDXは、今後さらに加速する

このような不動産業界における決済サービスの導入に関して、現時点では大手不動産管理会社さまなどを中心に提案を進めています。
GMOインターネットグループの強みは、決済サービスはもちろん、先ほどご紹介した電子契約などの不動産テック関連ソリューションや金融サービスまで提供できることです。そのため営業チームでは、お客様のニーズに合わせた提案型営業が可能となっています。

また今後は決済サービスをさまざまな不動産ビジネスへ展開する戦略も描いています。その一つの例として、オフィスビルのデベロッパーさまへのご提案を進めています。具体的には、オフィスビルに入居している店舗での決済を生体認証などで可能にする方法で、入居を検討している企業さまに対する付加価値を創出しようと試みています。また、戸建ての販売を手がける不動産会社さまには、物件をサブスクリプションで提供できるような決済サービスのご提案をしています。今後、決済サービスは多くの不動産関連企業さまで導入が進むのではないでしょう。

大手企業を中心に進みつつある不動産業界のDX。入居者だけでなく、仲介業者や保証会社、不動産テック企業から、不動産オーナーまで、それぞれにメリットがあるといえるでしょうか。不動産業界の決済事情は今後どのような展開を見せるのか、さらに注目です。

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