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DX に取り組めば業務効率化につながる!その仕組みとは?

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現代はめまぐるしい変化を遂げており、ビジネスシーンにも改革が求められています。そのようななか、企業で導入が進んでいるのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。DXに取り組むと業務効率化につながるとされていますが、それはなぜなのでしょうか。この記事ではDXが注目されている背景や業務効率化との関係性について解説します。

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なぜ企業はDXへの取り組みを求められているのか、その理由について見ていきましょう。

DXへの取り組みが求められる理由の一つとして、「変化する市場環境で企業としての優位性を保つ」ことが挙げられます。BtoB・BtoC・CtoCのいずれの市場においても、市場環境内のデジタル化が進んでいます。これにより、顧客の行動にも変化が生まれています。企業という「提供する側」が提供するモノを選んで消費者に提示し、購入するモノを選んでもらうという時代は終わりを迎えつつあります。現代は「購入する側」つまり消費者が、求める商品・サービスを取り扱っている企業を自ら探してアプローチする時代に変化しているのです。いわば、商品・サービスが消費者主体で選ばれる時代に変わってきています。
さらに、消費者が求めるものにも変化がみられます。車のような「モノ」を購入するよりも、シェアリングカーを使い運転する「コト」を体験することに重きをおく人が増えつつあるのです。モノを所有するよりも、共有されているモノを必要なときだけ利用するというスタイルが重視されるようになってきました。

こうしたモノを持たない現代のスタイルでは、従来型の売切りのビジネスモデルは優位性を保つことが難しく、存在価値もなくなってしまいかねません。デジタル・ディスラプションが頻発する現状に、頭を抱えている企業も増えています。市場での優位性を維持するには、デジタル技術を活用して商品やサービスの提供価値を高めて対抗していくことが求められます。
このような理由もあり、日本企業ではデジタル的な改革が求められ、新しいビジネスモデルや事業の創出が急がれているのです。

DXへの取り組みが推奨される理由は「2025年の崖」と呼ばれるリスクを避けるためでもあります。「2025年の崖」とは、経済産業省によって2018年に発表された「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」内で使われている表現です。
レポートでは、日本国内の企業の多くは、老朽化して運用・保守が難しくなったシステム(レガシーシステム)が残存している状態を放置していることが問題であると指摘しています。それは、2025年前後にはシステムの運用・保守を行える人材が定年退職を迎えることもあり、企業にとって大きな課題となっているのです。なぜなら、人材がいなくなるとシステムが動かせないだけではなく、蓄積してきたデータの活用もできなくなるおそれがあります。

さらに、年月が経過したことで基幹システムを動かすためのソフトウェアのサポートが次々と終了している現状もあります。これにより、システム障害によるトラブルが発生した場合、データの損失やシステムダウンなどへの対処が難しくなります。レポート内ではこれらの問題に対してDXをしなかった場合、競争力が低下し、2025年以降2030年までに日本全体で年間最大12兆円にものぼる経済損失が発生すると予想され、これを「2025年の崖」と表現しています。
「2025年の崖」を克服するためには、課題を整理し、着実にリスク回避を行うことが大切です。DX推進のなかで老朽化したシステムを新しいシステムに切り替えることで、「2025年の崖」のリスクを避けることにつなげられるでしょう。

※参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

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日本企業では業務効率化が進みにくいことが問題視されています。それはなぜなのでしょうか。

日本企業で業務効率化が進みにくいのは、「従業員の個々の働きに依存する経営の在り方」が原因だとされています。極力コストはかけずに収益を上げたいのは、どの国の企業も共通でしょう。しかし、日本と諸外国とでは「雇われる従業員の在り方」に大きな違いがあります。諸外国の従業員は、受け取る賃金に見合う仕事のみ行うことが基本です。サービス残業など従業員が無償で企業に尽くすことを前提として考えていないのです。そのため、企業はいかに業務効率を上げて収益を増やすかを考えることになります。

一方、日本では給与が時間単位で計算されており、残業も当たり前という風潮が残っている企業も少なくありません。いわば、従業員の個々の能力や愛社精神を頼りに収益を上げている部分があります。こうした理由により、コストをかけてまで業務効率を上げる必要性を感じていない経営層が一定数存在します。
また、日本の賃金体系は同じ人が同じ時間働く場合、仕事内容に関係なく同じ賃金が発生する仕組みになっている企業もあります。そういった企業では、従業員側は効率的に仕事をこなそうという意識を持ちにくく、企業側も単純なルーティンワークに人手を割くことの無駄になかなか気づけないのです。

日本企業における「既存のプロセスやレガシーシステムへの固執」も業務効率化が進まない原因の一つです。レガシーシステムとは、旧来の技術によって作り上げられたシステムのことをいいます。運用や保守が困難になっているものが多く、ブラックボックス化によって必要なデータをうまく活用できないことが問題視されています。レガシーシステムは運用や保守に余分なコストがかかることも多く、使い続けることに大きなメリットもないという見方が一般的です。もはや時代に合わないのに、「過去にコストをかけて導入した」という事実からレガシーシステムを手放す決断ができない経営層もいるのです。

このような経営層は新たなシステム導入にかかるコストには敏感ですが、レガシーシステムの運用・保守による莫大な損失が発生することにはなかなか気づくことができません。新技術の導入にかかる短期的なコストに意識がいき、その技術によって長期的にどれだけの無駄が省けるのかというメリットに目が向いていないのです。
プロセスに関しても同様です。非効率的であっても、「昔から自社はこのやり方だから」という理由だけで見直しすらされないケースもあります。こうした固執が業務効率化の大きな妨げになっていることもあるでしょう。

DX推進がなぜ業務効率化につながるのでしょうか。主な理由には以下のようなものが挙げられます。

1つ目に、業務効率化につながる要因として「新しいシステムの導入によるスピードアップ」が挙げられます。老朽化したシステムは運用や保守に莫大なお金がかかるだけではなく、処理スピードが遅いケースも多く、業務が思うように進まないこともあります。

DXの推進を決めれば、老朽化したシステムを新しいものに変えていくことになります。新しいシステムを導入することで、処理スピードのアップに加え作業の自動化なども見込めます。業務効率が上がるうえに、作業の自動化によって空いた人手をほかに回すこともできるでしょう。

2つ目に、業務効率化につながる要因の一つとして「スピーディーで正確な分析が可能になる」ことが挙げられます。現代は市場が成熟し、消費者は「モノ」ではなく体験である「コト」を重視するようになりました。「モノ」を持つのではなく、必要なときに共有して「モノ」を使うという消費スタイルに変化しているのです。
現状などを分析ができない企業は、これまでのやり方のままでは消費者ニーズに応えることはできません。企業が商品を提供し消費者が選択する時代から、消費者のニーズに合う付加価値を提供していく時代に適応する必要があります。
また、商品の提供にはスピードが重視されます。これは、スマートフォンの普及によって消費者が情報を得るスピードが格段に上がったからといえます。これらを踏まえると、企業側は消費者のニーズを見つけるために、膨大な情報を収集して分析する必要が生じます。これを人手で実施するのは非常に困難でしょう。
DXによって分析をスピーディーかつ正確に行えるようにすることで、消費者のニーズに応えやすい環境を整えることができます。

3つ目に、「組織の構造や業務のあり方が変化する」ことが挙げられます。DXの推進には、経営層のコミットメントが不可欠です。経営層がDXの必要性に気づき、率先してDX推進に関与する必要があります。最初に経営戦略やビジョンを明確に提示して、企業全体で取り組むことが重要です。
そもそも、DXは新しい事業を創出し競争力を得ることが目的といえます。組織構造や業務の在り方を根本的に見直すための絶好の機会です。DXによって経営が健全化されることで、これまで目に見えなかった業務も効率化されていくでしょう。

最後に、DXによって「データの一元化と共有がしやすくなる」ことも、業務効率化につながる要因です。DXは企業全体で取り組む必要があります。顧客から得るビッグデータを一元管理し、企業全体で使えるようにすることが大切です。今まで多くの日本企業では、部署・部門ごとにそれぞれの業務に合うよう、別々のシステムが用いられてきました。しかし、部署・部門ごとの使い勝手を重視してカスタマイズを繰り返したシステムは互換性に乏しく、サイロ化につながる大きな要因になり得ます。

DXを行うことでデータを一元管理するため、部署・部門間のデータの垣根がなくなり連携がスムーズになります。これにより、部署や部門をまたぐ業務を行う際、データ入力をし直す手間を省けるのです。結果として、入力ミスや転記ミスなどが減り、チェック作業も楽になるでしょう。

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DXで用いられるデジタル技術・サービスのなかでも、業務効率化につながるものには以下のようなものがあります。

業務効率化に役立つデジタル技術として、まず「AI」が挙げられます。AIは特定分野において、人間の知能を凌駕するほどの高い情報処理能力を持たせたコンピュータです。一部の業務に特化させることで、より高い能力を発揮することができます。特に、問い合わせ対応業務に特化したAIが多く採用されています。これは、コールセンターのオペレーターによる応対を、AIが行うというものです。主にチャット形式で活用されるケースが多くみられます。

さらに、営業の分野でもAIが採用されています。たとえば、集めたデータをもとに顧客の好みやニーズを抽出することが可能です。AIの活用によって成約の可能性が高い顧客を割り出したり、顧客ごとの営業スケジュールを割り振ったりすることができます。それ以外にも、人事業務や倉庫での出入庫管理などでもAIが活用されています。今まで人の目で行っていたチェック業務を、AIに代行させることができるのです。

業務効率化に役立つデジタル技術には「RPA(Robotic Process Automation)」というものもあります。RPAはソフトウェア型のロボットを活用して、定型業務を自動化する技術のことです。人が作業するには付加価値の高くない事務作業や、反復作業を任せられます。特に、資料の作成やデータの入力、転記作業などに多く採用されています。大量の定型業務を人の手で行うと、どうしても時間の経過とともに生産効率が低下します。さらに、疲労によってミスも増えやすくなります。その点、RPAは膨大な処理も人間よりも速く終わらせ、また、人間のようなミスも起こしません。

業務効率化を目指すうえで、重要な役割を果たすサービスが「クラウド」です。クラウドはハードウェアやソフトウェアを持たずとも、必要に応じてインターネット上のサービスを利用できる仕組みを指します。導入やメンテナンスなどの費用を抑えられるため、企業が導入しやすいことがメリットです。

クラウドには大きく分けて「SaaS(Software as a Service)」「PaaS(Platform as a Service)」「HaaS(Hardware as a Service)」「IaaS(Infrastructure as a Service)」という4つの種類があります。用途が広く、さまざまなアプローチの仕方によって業務効率化に役立てることが可能です。業務効率化に役立つクラウドサービスは、大きく分けて業務系とコミュニケーション系があります。業務系は勤怠管理や人事管理、会計管理や給与計算などに活用できます。コミュニケーション系はビジネスチャットやWeb会議などに活用できるでしょう。

業務効率化において、ペーパーレス化を進めていくのは重要です。その肝となるのが電子契約、つまり物理的な捺印を不要とするサービスです。電子契約のサービスを利用することで、契約書や請求書などの企業間のやり取りを必要とした業務をオンラインで行うことが可能になります。契約業務がパソコン内で完結できるため、従来の書面での印刷、捺印、郵送、保管を行う場合に比べ業務効率が上がります。

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DXによる業務効率化として期待される例はどのようなものか、見ていきましょう。

まずは「業務の無駄を減らす例」についてです。オフィスワークで特に無駄が出やすいのは、紙を大量に利用する請求書などの経理業務でしょう。見積書や請求書の発行を紙からデータにしペーパーレス化を実現することで、印刷、封入、発送などを削減でき、業務効率化につなげられます。

また紙やインク代、封筒や郵便料金などのさまざまなコストカットを期待できるでしょう。さらに、付加価値の発生しにくい業務に人手を割かなくて済むようになります。
これは、テレワークを推し進めるうえでも非常に重要なポイントとなります。セキュリティに十分配慮し、営業先や自宅からでもデータにアクセスできる環境を準備しましょう。

経理業務のDXについてはこちらもご覧ください
「DXで経理部門の業務効率化を!実施手順や注意すべきポイントを解説」

続けて、「業務の無理を減らす例」です。顧客サービスを充実させるために新たなサービスを導入する場合、大量のデータ入力・転記が必要になります。この作業を行うための担当者を用意せず、これまでの人員で本来の業務と並行して行うのは難しいでしょう。そこで、活躍するのがRPAです。データの入力・転記・分類などの作業をRPAで自動化することで、人が行う作業とRPAによる自動作業を棲み分けできます。単純な作業はRPAに任せることで、これまでできなかった新しい業務にリソースを割くことができるようになります。

次は、「業務のムラを減らす例」です。製造業の品質管理における検査を目視で行う場合、業務の継続時間や個人の能力によってどうしても作業の精度にムラが出てしまうことがあります。このような課題に対し、効果を発揮するのがAI技術です。AIを使って検査項目の自動識別ができるような仕組みをつくることで、品質管理業務のムラが起こりにくくなるのです。

また、製品の種類が多い場合にもAIが活躍します。製品の種類が増えると、どうしても目視での品質検査に限界が生じます。AIで自動検査を行うことで、多品種製品においても検査精度を上げられます。
さらに、経験とカンに基づく専門的な能力が必要になる検査は人材の確保が難しくコストもかかります。ディープラーニングをAIに行うことで、人材の確保、教育コストも抑えやすくなるでしょう。

DXにより業務を効率化したうえで製品やサービスの提供価値を向上させることに意義があります。業務効率化は、いわばDXの取り組みの効果の一歩目といえるでしょう。

GMOペイメントゲートウェイでは新しい価値の創造をサポートするビジネスパートナーとして、DXを支援するサービスを多数提供しています。とくに、決済に関わるDXに強みがあります。顧客へ大量の請求書を発行する業務や企業間の請求業務などの業務効率化から初めてみてはいかがでしょうか。

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