2021年2月にリリースされた「GMO BtoB支払保証」は、これまでのBtoB(企業間取引)向けサービスとは大きく異なる。それは、売り手事業者様(以下、「売り手様」)向けのサービスではなく、買い手事業者様(以下、「買い手様」)向けという点だ。
GMOペイメントゲートウェイの「BtoB EC向け決済パッケージ」、「GMO BtoB早払い」「GMO BtoB売掛保証」、連結企業集団のGMOペイメントサービスの「GMO掛け払い」とBtoB事業者様向けのサービスを展開しているが、これらは全て売り手様向けだ。
今回、常識破りとも言える買い手様向けのサービスは、なぜ開発されたのか? 具体的にはどんなサービスなのか? GMOペイメントゲートウェイGMO BtoB支払保証事業責任者に訊いた。
企業間取引に一般的な掛け払い、そこにはリスクあり
----「GMO BtoB支払保証」のニーズの背景にある、日本の一般的な商習慣から改めて教えてください。
日本の企業間取引においては、掛け払いが主流になっています。締め払いや請求書払いともいい、「何日締めの何日払い」といった、まとめての後払いのことです。購入時に現金を用意する必要がなく、取引ごとに都度支払いをする面倒を避けられるメリットがある、古くから続く商習慣です。
----反対に、掛け払いのデメリットとは?
掛け払いでは、信用を前提にします。買い手様が支払いを履行する信用があるからこそ、売り手様は後払いでも納得するわけです。売り手様は、取引前には買い手様が信用に値するかを調査するコストと、取引後には未払いリスクを負担しなければなりません。こうしたコストやリスクの軽減や解消を目的に、GMOペイメントゲートウェイは企業間取引向けサービスを提供しています。
既存サービスは売り手のコストとリスクを軽減する
----具体的にはどんなサービスがそれにあたりますか?
2018年にリリースした「GMO BtoB売掛保証」、「GMO BtoB早払い」がそれにあたります。どちらも売り手様向けで、「GMO BtoB売掛保証」は未払いが起きた際に当社が保証金を支払うものです。他社の類似サービスに比べて保証合計額や取引社数について柔軟性があり、手続きも迅速なことから人気を得ています。
早払いは売掛債権の売買により、本来の入金日よりも先に資金化するものです。キャッシュフローサイクルの改善にも貢献し、売り手様のより早い事業成長につながります。2020年にはインフォマート社と共同で「電子請求書早払い」にも発展しました。
買い手向けの支払保証は、業界に先例なし
----これまでの企業間取引向けサービスと新しい「GMO BtoB支払保証」が異なる点は?
売り手様ではなく、買い手様を対象にした点で、業界に先例がありません。売り手様から前払いや保証金を求められた際、当社が債権不履行時には支払いを保証することを売り手様に通知。前払いや保証金を免じ、掛け払いとしていただくサービスです。
----どういった企業が対象になりますか?
「与信管理が厳しくなった」、「外部調査機関の評点が下がった」などの理由で、売り手様から掛け払いの限度額を制限されてしまった事業者様。前払いや保証金を求められたが手持ちのない事業者様。またEC事業者様を中心に、急激な事業成長に与信限度や融資が追いつかず、円滑な仕入れや広告配信が行えていない事業者様。これらの事業者様は「GMO BtoB支払保証」をご利用いただくことで機会損失を防ぐことができます。少額から保証額を相談できますので、中堅・中小企業様に利用いただけると考えています。
----円滑な取引に貢献するというわけですね。となると、手続きのスピード感が重要になってきますが。
どのような取引でいくらお使いになるのかお申込いただき、まずは審査から行います。審査結果に満足いただけたら保証委託契約を結び、保証書を発行します。ここまでで最短2営業日から1週間ほどのスピード感です。審査は定性情報をもとにするので、何か定量的な企業データを示す資料をいただく必要もありません。
----買い手向けのサービスですが、適用には売り手の同意が必要となります。売り手にとってのメリットは?
当社が支払いを保証することで、売り手様は未払いリスクを考えなくて済むようになります。売り手様にとっても買い手様にとっても、取引形態や支払いについての煩雑な交渉を避け、事業成長に集中いただけます。手数料も保証額の0.5%〜2.5%を基本としているので、買い手様にとって導入ハードルも低く、さまざまなシーンでご利用いただきたいです。
コロナ禍の「困った」を、解決するためスピード開発
----企画開発のきっかけは?
コロナ禍における景況感の悪化から、未払いリスクが大きくなっています。これに伴い、「GMO BtoB売掛保証」のご相談をいただく売り手様が増えてきていました。一方でこれは買い手様の立場が弱くなったともとれます。実際に当社決済代行サービスのお客様の中に、その悩みを抱えた方がいらっしゃいました。商品への反響があり、売り上げが伸びたため、追加で仕入れを行おうとしたところ、売り手様から前払いまたは取引保証金を求められたそうです。それを聞き、「GMO BtoB支払保証」のアイデアが生まれました。
----その後、リリースまでの経緯を教えてください。
実際に商品としてニーズがあるのかマーケットリサーチを行い、手応えがあったので形にすることが決まりました。実は「GMO BtoB売掛保証」と「GMO BtoB支払保証」は、対象となる企業様に売り手様と買い手様に違いはあるものの、審査フローなど仕組みの部分では似ています。既存の「GMO BtoB売掛保証」に倣うことで、「GMO BtoB支払保証」の開発にはそれほど期間を必要としませんでした。2021年2月にリリースした「GMO BtoB支払保証」は、およそ半年間のスピード開発。時代のニーズに即時対応できたかと考えています。
----時代のニーズというのは、やはり未払いリスクの高まりでしょうか?
コロナ禍は景況感悪化につながった反面、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる好影響も及ぼしました。ECで購買活動を行う消費者が増えただけでなく、企業間取引にもECが使われるようになってきました。成長を続けるECも多く、以前よりも高額の仕入れを行う事業者様や、新規取引先から仕入れを行う事業者様が増えています。与信限度などを理由に掛け取引を選べない事業者様も増えていると見られ、そこに「GMO BtoB支払保証」のニーズがあると考えています。
----リリース後の反響は?
リリース開始後2週間で、すでに何件かご相談をいただいています。傾向としては、化粧品販売やセレクトショップなど、仕入れが重要な事業者様からの相談が多く、まさに想定していたニーズに対応できている実感があります。意外な反応としては、売り手様側からの相談もありました。「新規取引先が増える中、前払いや事前の取引保証金をいただきたいのが本音だが、ネガティブな印象を与えたくないのでどうすればいいか」といった内容です。未払いリスクは防ぎたい一方で、取引先に負担をかけたくない気持ちもある売り手様も多いのではないでしょうか。
保証サービスで、日本の社会課題に貢献する
----今後の展望は?
リリースしたばかりの「GMO BtoB支払保証」。まずはその利用事業者様を増やしていきたいです。業界に先例がなく、当社と同等のスピードや信用を賄える同業他社は少ないと自負しているので、痒いところに手が届くサービスとして支持いただけると思います。
----「GMO BtoB支払保証」に限らず、企業間取引向けのサービス全体としてはどうでしょうか?
コロナ禍に関わらず、日本が抱えている少子高齢化や労働力人口の減少といった問題を考えれば、IT補助金に顕著にあらわれているように、省人化・効率化のためのDXの波は今後も加速するでしょう。当社の企業間取引向けサービスはオンラインでの商取引に特に強みを発揮しますし、取引先の与信チェックや交渉を代行できる点でもまさに効率化に合致しています。今後も引き合いが増えるでしょう。だからこそ我々がしっかり役に立てるよう尽力いたします。
(by あなたのとなりに、決済を編集チーム)
※2021年3月取材時点の内容です。
※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。