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DXで経理部門の業務効率化を!実施手順や注意すべきポイントを解説

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DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が大きな注目を集め、DX人材の確保を急ぐなど、企業はさまざまな対策を講じています。しかし、経済産業省のレポートによれば、本格的なDXの浸透はまだまだ不十分といわざるを得ません。
電子帳簿保存法の改正などにより経理帳簿類のペーパーレス化のハードルが下がったことで、経理部門のDXの実施による業務効率化が現実的になってきています。この記事では、経理部門にDXが必要な理由や進め方、DXによるメリットなどについてわかりやすく解説します。

※参考:国税庁「電子帳簿保存法の概要」

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、簡単にいえば「アナログからデジタルへの変換による業務改革」という意味です。2004年にスウェーデンの大学教授が提唱した概念を発端としています。デジタルシフトとも同義で、「IT技術の浸透が人々の生活をより良く変革する」という考え方を起点とするものです。日本でも、2018年に経済産業省がDXのガイドラインを公表しています。

ガイドラインによると、DXを「デジタル技術を活用して業務や組織のあり方を抜本的に変革し、競争力の優位性向上やビジネス環境の変化に対応すること」と定義づけています。目覚ましいIT技術の進歩や、社会や一般家庭での高速大容量通信技術の普及などから、企業は競争力を強化するためにも、もはやDXは避けて通れない時代に来ているのです。

※参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」

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DXは企業のさまざまな部門で不可欠であり、経理部門でもその対応が求められていますが、さまざまな事情で未だに進んでいないところも多いようです。このままDXが遅れると、どのような状況が起こり得るか考えてみましょう。

2-1.紙の処理や属人化した業務に追われ続ける

経理部門は、請求書や領収書、伝票や何種類もの帳簿など、ただでさえ紙の書類を多く扱う部署です。属人化した業務が多く、他の人が臨時で対応できるような性質の業務ではありません。仕入や売上管理、現金出納などの仕訳と記帳から、社員の給与計算や年末調整、会社の決算業務など、お金の動きを一手に引き受けていることが多く、その業務は多岐にわたります。

出張費の仮払いや精算などでは、逐一起票して承認の押印を必要とする場合もあるでしょう。会計ソフトや給与計算ソフトなどを使って処理していても、仕訳日記帳や総勘定元帳などの必要書類を、すべて出力して分厚いファイルで管理しているケースも多いようです。これでは、出社が必須となりリモートワークに移ることは困難です。
また、会計ソフトだけでなく、データを流用して独自にエクセルで処理している場合もあり複雑化しているケースも見られます。特定の経理担当者しかできない業務があることは企業としては個人への依存度が高くなり、リスクが高くなります。

2-2.「2025年の崖」問題へ直面する

DXを語るうえで避けて通れないのが「2025年の崖」です。「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年9月に公表したDXレポートに登場した言葉です。レポートのタイトルは「~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」というもので、DXを可及的速やかに行わなければ、2025年には12兆円もの大きな経済損失が発生する可能性があると大々的に警鐘を鳴らしたものです。
これは旧来のシステム、「レガシーシステム」が生み出すブラックボックス化などにより発生するといわれています。
つまり、思い切ったシステムの刷新をし、DXを実行しない限りは、「2025年の崖」から転落しかねません。

しかしながら、危機感を持ってDXに取り組む企業もあれば、今なお静観している企業もあります。DXレポートでは、企業は自社の成長のために新たなデジタル技術を積極的に活用し、業務変革する必要があると訴えています。DXを試みる企業の多くは、複雑化した既存の基幹システムの抜本的な改革には至っていない状況だと指摘しています。
損失が発生する前に、戦略的にDXを進めるしか生き残るすべはないと危機感を持つ必要があるでしょう。

※参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

2-3.他社からの遅れを実感することによる社員のモチベーション低下

経理部門においては、改正された電子帳簿保存法によりペーパーレス化が進めやすくなり、請求書や見積書をデジタルで発行したり、領収書をスキャンして保管したりすることが可能になりました。ペーパーレス化によりさまざまなコスト削減が可能になり、業務効率向上の実績を目の当たりにしながら、いつまでも古い業務を踏襲するのは周囲と足並みが揃わず、社員のモチベーションにも関わるでしょう。早急にDXの対策が望まれます。

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DXを実施するには、入念な計画のもと、適切な順序に沿って進める必要があります。ここでは大企業やグローバル展開をしている企業ではなく、一般的な企業のDX手順について解説します。

3-1.証憑書類を電子化(ペーパーレス化)する

まずは、請求書や納品書、領収書やレシートなどの紙ベースで存在する証憑書類を電子化することから始めましょう。受領した書類をデジタルデータで保管したり、紙の書類をスキャンしてPDF化したりすることが認められています※。電子データで受領した書類を印刷して紙で保存する必要がない点に加え、紙で受領した書類をスキャンして電子保存ができるなど、ペーパーレス化の実現が可能です。

例えば、経費精算のためのレシートや領収書を電子化することにより、今後はしわくちゃのレシートや領収書を証憑書綴に貼り付けたり、管理したりする手間が減らせます。
ペーパーレス化に向けて、取引先には、請求書や納品書を電子化してやり取りしたい旨の了承を得ましょう。小規模事業所などではすぐに対応してもらえないこともありますが、時間がかかることも想定して計画を立てましょう。

※詳細の条件等は国税庁のページをご参照ください。

経理書類以外のペーパーレス化の進め方に関しては、こちらも併せてご覧ください。

3-2.電子署名(印鑑の電子化)を利用する

社内の承認手続きや、企業間の契約には電子契約を利用しましょう。証憑書類の電子化を行っても捺印業務がなくならない限り、完全なペーパーレス化はできません。電子契約を利用することで、企業間の取引や社内の承認手続きにおいてもすべて電子化することが可能です。捺印のために出社するといったこともなくなります。

3-3.システムを連携する

経理は多岐にわたるデータ処理が必要な部門です。売上管理や仕入管理、給与計算や経費計算など、経理部だけでなく営業部や購買部、人事部や総務部などとの関係性も深いものです。一括した大きなシステムでなく、それぞれの個別業務ごとに使いやすいシステムを導入するとよいでしょう。それぞれで使用するシステム同士を連携して、データを共有することで、手入力によるミスや同じ作業の重複などを減らせます。システム同士を連携し自動処理が可能になれば単純なヒューマンエラーもなくなります。

3-4.いつでも経営資料が確認できる状態に

部門を横断したシステム連携ができていれば、確認したいデータが必要なときにすぐに取り出せます。それまでは月次決算を待って最新の経営状況を把握していた経営陣も、今後は管理会計データがリアルタイムで把握できます。経営陣は随時経営状況を確認できるため、スピーディーな経営計画が可能です。経理担当者も、毎月の月次決算業務に追われることもありません。

無闇にDXを進めるのは失敗の元です。以下に、DXに取り組むにあたって注意すべきポイントを紹介します。

4-1.まずは業務の見える化を図る

まずは、DXを実施する目的を理解し、自社の経理部門が抱えている課題を洗い出すことが大切です。そのためには、個々の業務を整理し、業務フローを見える化することにより、どの業務にどれだけの人が関わり、どれほどの工数が必要か試算します。それにより、どの部分がシステム化可能で、業務効率化やコストの削減につながるかが明らかになるでしょう。
必要のないところまでデジタル化することは逆にデメリットが大きくなることがあるため注意が必要です。

4-2.関係する部署や取引先に周知徹底する

経理業務は、前述のとおり、何かと他部署との連携が欠かせません。給与計算の勤怠管理や、出張旅費の精算、社員の年末調整など、1円のミスも許されないため、他の拠点や他部門との密なコミュニケーションが必要です。請求書や納品書などを電子化する場合は、営業部からも付き合いのある取引先に一声かけてもらうなどの協力を仰ぐこともあるでしょう。経理担当からも、社内や社外の取引先にDX実施について周知し、目的やお互いのメリットなどを説明し、理解と協力を求めることが重要です。

4-3.属人化させずに共有する

DX実施前に、担当業務のフローを見える化したことで、ある程度の属人化は防げるはずです。しかし、DXに取り組んで業務改革ができても、再度業務が属人化しては意味がありません。とかく経理業務は専門性に特化した部署と見られがちで、業務内容も難解で属人化しやすい傾向があるものです。業務の分担を明確に分けている場合は、特に属人化し、代わりに担当できる人がいないという状態を作り出してしまいます。

このような場合は、ブラックボックス化の懸念もあります。DXを実施するからには、属人化を防ぎ、業務をマニュアル化して整備しておきましょう。万一、担当者が長期不在になったときでも、マニュアルさえあれば業務が滞ることはありません。

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経理部門は他部門よりもDXのメリットが享受しやすい部署といえるでしょう。経理担当者だけでなく、他部署の社員にとってもメリットは大きいはずです。以下に、主なメリットについて紹介します。

5-1.業務効率の向上

経理は、月ごと、半期ごと、年単位などで繰り返しの定型業務が多い部署です。しかも、期日までに正確に仕上げなければなりません。コンピュータは、繰り返しの定型業務を最も得意としています。他部署と同じ項目や数字をそれぞれ手入力しているなら、連携して入力を自動化できます。お互いの業務効率化が可能になり、手入力による単純ミスをなくせます。必要な集計業務や帳簿の作成などが自動化できれば手作業に費やす時間を削減でき、知識の必要なコア業務に専念できるでしょう。社員のモチベーションも上がり、業務効率と生産性の向上が見込めます。

5-2.コスト削減

手作業に多くの時間を費やしていた場合、DXにより人的コストの削減が可能です。また、ペーパーレスにすることで、書類作成にかかっていた用紙代、印刷代、郵送代などが不要になります。これらのコストが大幅に削減できるだけでなく、紙ベースの大量の書類を保管するための場所や管理のための人員もこれまでよりも抑えることができます。何といってもペーパーレスになれば、重たいファイルを取り出して書類を探すことがなくなり、逆にデータベースから見たい書類がすぐに探し出せるようになることは、経理部門だけでなく多くの他の部署のメリットにもなるでしょう。

5-3.環境への貢献

ペーパーレス化はコスト削減だけではなく、環境への取り組みにもなります。用紙の使用を控えることで、森林の伐採を抑えることができます。また、印刷、郵送、廃棄等で発生する二酸化炭素(CO2)排出量を削減することも可能です。
環境に配慮して企業活動を行う上でも、DXは重要です。

経理部門は紙の書類を扱うことが多く、業務の多くが属人化しているためデジタル化が進まない要因となっています。経理業務をDXすることで、多くのコスト削減が可能になり、業務効率の大幅な向上が見込めるでしょう。

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