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DXを推進すると何が変わる?企業にとっての必要性と注意点を理解しよう

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社内で「DXの推進をするので協力をしてほしい」といわれたことがある人もいるのではないでしょうか。DXの推進は急務であるといわれており、「2025年の崖」という言葉も生まれています。そこで、この記事では「DXの推進によってどのような点に変化があるのか」「企業にとってDXの推進の必要性や注意点」について紹介します。

1.DXとは何?

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「DX」とは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」を略したもので、そのまま訳せば「デジタルの変革」です。この章ではDXの意味や定義などについて紹介します。

1-1.一般的な意味でのDX

DXは2004年にスウェーデンにあるウメオ大学の教授エリック・ストルターマン氏が提唱したものです。「進化し続けるITが社会に浸透し、さまざまな面で人々の暮らしをプラスの方向へ導く」という考え方を指します。デジタルテクノロジーによって生活に与えられる影響を「人々の生活を豊かにする」と良い意味に捉えているのです。また、企業より一般社会や生活においてデジタルテクノロジーが与える影響に焦点をあてています。しかし、日本に伝わってからは、人々の生活や一般社会というよりビジネス用語として使用されるケースが多くなりました。

1-2.経済産業省が定義するDX

DXの推進については経済産業省も注目し、2018年12月には「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表しています。ガイドラインによると、DXの定義は企業が「ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタルの活用をしている」「顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスの変革を行っている」「業務そのものをはじめ、組織やプロセス、企業文化や風土の変革を行って、競争上の優位性を確立する」といったものです。デジタル技術を取り入れたビジネスモデルや手法の改革は、新規事業への創出につながります。

DXの企業における在り方を示しているのが、データとデジタルの活用をして製品やサービス、ビジネスモデルの変革を行うという点です。DXの「X」はトランスフォーメーション(変換)の略ですが、どちらかといえば変換より変革のほうが合っているといえるでしょう。デジタル化をする際には2つのワードも関わってきます。1つは「デジタイゼーション」で、「業務プロセスの一部をデジタル化して効率やコスト削減を目的としているもの」です。もう1つは「デジタライゼーション」で、「業務プロセス全体をデジタル化し、新しい利益や価値を生み出すチャンスを創出するもの」となっています。これらはどちらもデジタル化のことですが、正確な意味が違うので間違えないようにしなければなりません。

2.経済産業省のDX推進ガイドラインとは?

「DX推進ガイドライン」は略称で、正確には「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」といいます。デジタル化をすることで製品やサービスを変える以外にも、企業の考え方や文化そのものも変化させなければならないときがあります。ガイドラインの目的は、DXを実現する際に基盤となるITシステムの構築において、経営者が何をすべきなのかを明確にすることです。そのため、DX推進ガイドラインは、取締役会や株主が経営者の取り組みを確認できるように作成されています。

また、企業が競走上の優位性の確立をすることも重要とされており、無理なDXの推進を行って業務の悪化を招かないようにしなければなりません。そのような事態を避けるために、DXの推進を行うことで企業が安定した利益を得ることができる仕組みの作成を重視しています。DXの推進に失敗した事例や先行企業についても紹介されているので参考にしましょう。
※参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

3.DXの推進が急がれるのはなぜ?

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ここからは、DXの推進が急務とされている4つの理由について見てみましょう。

3-1.生産性や業務効率を向上させるため

多くの企業は、生産性や業務効率アップのためにデジタル化を行い、働き方改革を実現しようとしています。たとえば、働き方改革の一環としてAI、OCR、RPAなどを取り入れる傾向があります。負担が大きいルーティンワークや莫大な量があるルールが定まった業務の人的工数削減のためにデジタル化し自動化することで、業務効率や生産性アップを目指しています。
DXよりもデジタル化をすることは業務を効率化するという点で、新たに価値を創生したり、ビジネスモデルの変革をしたりするよりも導入しやすいのです。成果がわかりやすいことから、導入自体も反対されにくいといえます。DXの推進を進める第一弾としてデジタル化をする場合は、各部署によってシステムが孤立しないように気をつけましょう。社内全体が情報の共有をできるようにしておけば、後々DXを全体的に推進しやすくなります。

3-2.ユーザーの行動変化に対応するため

時代の流れによって消費者が求めるものが「モノ」ではなく「コト」に、「所有」から「共有」に変化しています。わかりやすい例をあげれば、「カーシェアリング」があるでしょう。カーシェアリングはあらかじめ登録をしておけば、必要なときに自由に車を利用することができます。車を所有すると購入費、維持費、ガソリン代、駐車場代など費用もかかってしまいますが、カーシェアリングは月額料金と利用料を支払うだけで良いため費用も最低限で済みます。このように「モノ」を重視しなくなった消費者の購入意欲は、品質の良さのみを全面に出した製品では刺激されにくくなったのです。

多くの競合他社がいるなかで消費者の興味を引くためには、高いニーズがある「コト」を提供する方向へシフトチェンジする必要がある場合もあります。「BtoB」「BtoC」問わず、「売り手から提供されている限られた商品やサービスの中から選ぶ」という時代から、買い手側が「欲しい製品を販売する企業を見つけ、購入する」という時代になっているからです。
シフトチェンジをするにあたり、既存のビジネスモデルではできることにも限りがあります。インターネット社会に生きる消費者の需要に対応できるように変革していかなければなりません。さらに、ビジネスモデルとともにITシステムの見直しも重要となります。

3-3.変化し続ける市場の中でも優位性を維持するため

デジタル技術の導入は、すでにさまざまな分野の変革を起こしています。これは、既存商品やサービス、ビジネスモデルなどの在り方が通用しなくなっていることを意味しています。既存のやり方を破壊し、新たに再構築を行っているのは新規参入者です。市場では新規参入者の勢いが増しています。その中で優位性を発揮・維持するには、自社でもデジタル技術を駆使して既存商品やサービスをパワーアップしたり、新ビジネスモデルを構築し対抗する必要があるでしょう。デジタル化したうえで商品やサービスの開発を行えば市場を変革する立場になり、優位性を保つことも可能です。

まずはDXの取り組みを行って軌道にのせ、商品やサービス、ビジネスモデルも変革した市場に合わせるほうが優位になりやすくなります。時代の波に乗り遅れると、市場で優位に立てなくなるうえに淘汰される運命が待ち構えています。そうならないように、DXの推進は急務といえます。

3-4.2025年の崖によるリスク回避のため

「2025年の崖」というワードを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。このワードは、2018年に経済産業省が「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」という報告書で使用されました。既存システムが老朽化するとDXの推進を妨げるため、2025年までに刷新しなければ、それ以降2030年まで日本経済は年間で最大12兆円の損失を被ると予想されています。それについて表現した言葉が「2025年の崖」です。

いずれ既存システムに詳しい人材が退職や転勤などで自社から離れた場合、それを正確に扱うことができる人材を見つけるのも大変です。また、蓄積データを使いこなすことも難しくなるでしょう。慣れているからと過去の技術や仕組みで構築されたレガシーシステムの継続使用をするのは危険であると考えておく必要があります。業務に使用しているシステムのサポートが終了してしまうケースも考慮しなければなりません。例をあげれば、2014年にはWindows XP、2020年にはWindows 7がそれぞれサポートを終了しています。さらに、2024年に固定電話網PSTN、2027年末にはSAP ERPがサポート終了予定であると発表されています。今後、システム障害の発生、パフォーマンス性能の低下などトラブルが起きる可能性もあり、システムの刷新は必須といえます。

4.経済産業省のDX推進指標とは?

経済産業省は、DXの取り組みを行う企業向けに「DX推進指標」の提供をしています。こちらを活用することで、DXの推進について進捗状況を自己評価できるようになっているのです。DX推進指標は、「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」で主に構成されています。

DX推進指標が目的としているものも2つであり、「社内全体でDX推進に必要な対応策について共通認識を持つこと」「企業それぞれが自社の対応策について自己診断を行うこと」です。経済産業省は、会社全体が共通意識をもつことがDXの推進には必要不可欠であると特に強調しています。これまでは各部署にとって最適なシステムを導入しており、それぞれは使用しやすい状態でした。しかし、社内全体で情報共有をしようとしたときにシステム連携をとりづらくなっているのです。こういった企業は、DXの推進を行うためにもあらかじめ対策を検討する必要があるでしょう。

5.DXを推進する4つの方法

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DXの推進を行うためにはどのようなやり方があるのか、4つの方法を紹介します。

5-1.ビジネスモデルを変える

DXの推進は単にデジタルの導入をするだけではありません。ビジネスモデルそのものを変革し、新しいプロダクトを開発することが目的なのです。
収益構造の変化を求めている場合はAIやIoT、クラウド、ビッグデータアナリティクスなどを導入するのも有効となります。

ビジネスモデルの例として、消費者に対し、新たな経験価値を提供できる「サブスクリプションモデル」が誕生しました。
サブスクリプションモデルは製品やサービスそのものを提供するのではなく、それらについて一定期間利用できる権利を得るという方法です。原型となっているものとして新聞の定期購読をあげることができるでしょう。デジタル化やネット回線速度が向上したことで、新聞以外の分野でもサブスクリプションモデルを採用することが浸透し、発展を遂げています。サブスクリプションモデルは製品が購入されたときのみまとめた高額な収入を得るというものではなく、利用期間中コンスタントに一定金額(低額)の収入も継続されるのです。たとえば、魅力的なコンテンツやサービスの提供をし、解約されないようにする仕組みが構築されます。そうすると、長期的な利用者が増えるため、安定収入を得ることも可能です。

モノではなく、場を提供するビジネスモデルは「プラットフォームビジネス」と呼ばれています。こちらは場を利用するための料金や利用者同士の取引仲介手数料、利用者から集まるビッグデータの活用が収入源となります。ほかに、それぞれの趣味嗜好に合うようにカスタマイズし、製品やサービスの提供をする「パーソナライゼーション」もあります。パーソナライゼーションは顧客の体験価値やLTVの最大化も期待でき、新たなビジネスモデルの指標の一つとなっています。

5-2.オペレーションを変える

デジタル化をすると人手が不要になったり、必要だとしても最低限の人数でよかったりなど、生産性が著しく向上します。そういう状況ができあがれば人手を必要としないプロセスを作ることができるようになり、従来のオペレーションも変更可能です。これまで人の目や手で行っていた作業を自動化し、「必要作業時間の短縮」「人為的ミスが減る」といったメリットを得ることもできるでしょう。
さらに、テレワークを導入したり、すでに導入している場合は拡大をしたりして業務フローにも変化が現れます。
当然業務中に発生する疑問が増加する可能性もありますが、その対応ができる社内ヘルプデスクも自動化することで企業によっては疑問解決を70~80%にまでアップすることに成功しています。

営業にDXを導入する場合、顧客へのアプローチやアフターフォローに関して方法が変化します。例えば、大量に消費者の声を収集する時にはチャットボットを導入する方法があります。チャットボットはオンラインアンケートや対面ヒアリングなどと比較して回答のハードルが低いため、消費者の素直な声を集めることができます。素早く消費者の声がわかるようになることで、競争の優位性もアップしやすくなるのです。

5-3.基盤となるIT技術を見直す

DXの推進を支えているIT技術はさまざまあり、コミュニケーションや決済方法に変化がでています。たとえば、AIやIoT、クラウド、5G、サイバーセキュリティ、VR/AR、HMI、量子コンピューティングなどがよく知られているでしょう。基盤となるIT技術は、自社の目的に合ったものを選択するのが重要です。すでにIT技術の導入がされている場面に関しても、見直しをすることでより最適化できる可能性もあります。複数のIT技術を組み合わせれば、これまでできなかったこともできるようになる場合があるのです。IT技術の見直しは単にIT技術の導入をするのではなく、DXの推進を行うための1つの過程であると考えましょう。そのためにも導入目的を明確にし、自社に必要なIT技術を取り入れなければなりません。

5-4.組織や人材を変える

DXを推進するために必要なのは「デジタルとビジネスに関する知見がある」人材です。そういった人材であれば、変革のリーダーとなり得ます。もし、必要な人材が社内にいなければ、外部から招く必要があります。
「ダイバーシティ&インクルージョン」も企業に求められる課題の1つといえるでしょう。ダイバーシティは性別や年齢、性的指向、国籍・宗教などさまざまな点において違いがあり、それぞれの価値観を持った多様な人材が組織に存在する状態です。一方、インクルージョンは組織にいるすべての人材が、それぞれの経験や能力、考え方を活かすことができる仕事に参加できる状態を指します。簡単にいえば、ダイバーシティは多用な人材を受け入れるもの、インクルージョンはひとりひとりの個性や能力を活かすものです。

つまり、組織そのものを変革し、これまでの在り方にはこだわらずに再編成を行うのです。それによって、新たなパラダイムにも対応できる組織作りができます。パラダイムとは、1つの時代に生きる人々の考え方を根本的に支える概念のことです。パラダイムシフトという言葉もあり、こちらは共通認識を革命的に変えることを意味します。

社会心理学には「グループシンク(集団浅慮)」という言葉があります。「集団によって決定された意思や方針は、個人で考えたものよりも質が劣る」という意味です。組織内が均一であるほどグループシンクが発生しやすいといわれており、それを防ぐためにもダイバーシティ&インクルージョンは有効といえます。このようにして新しく出来上がった組織であれば、社内のさまざまな変化にもスムーズに適応し、DXの推進を加速させることにつなげやすくなるでしょう。

DXの推進は身近な課題解決から

DXの推進を行うことがいかに重要であるかが理解できたのではないでしょうか。いきなり取り組みを進めると成功に導くのが難しいため、まずは身近な課題の解決からはじめるのがおすすめです。

その1つの方法として、GMOのペイメントゲートウェイのDX支援サービスを活用してみるのも良いでしょう。さまざまな決済システムやそのプロセスにおいて豊富な経験と知識があるため、事業者様の決済方法やキャッシュフローの改善に有効です。結果としてBS、PL、CFを好転させることが可能です。

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(by あなたのとなりに、決済を編集チーム)

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