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API連携が変える便利な社会。
スマホ決済ネイティブの
“今・ちょっと未来“の暮らしをシミュレート

~API連携は利便性の掛け算 アプリがつながると人間はもっと自由になれる~

API連携がますます活発になっている。システムの垣根を越えるAPI連携は、複数のサービスをアプリ上でシームレスにつなぐだけでなく、利便性の大幅な向上によって、人々をよりアクティブに、そして自由にするインパクトがあるようだ。2017年の銀行法改正以降、金融機関とフィンテック企業の連携も急速に進んでいる。そこでAPI連携によって変わった、暮らしをのぞいてみた。

スマホで交通費や経費を精算

金曜日の午後6時――。
「今日は大学時代の友人たちとミニ同窓会だ。会社には戻らず、そのまま店に向かおう」
都内のIT系企業に勤めるBは入社5年目。法人向けの営業職に就いている。Bが勤める会社では、2年ほど前からスマホで交通費の精算や出張の経費精算ができるようになった。駅名を入れるだけで経路を探索し料金まで表示されるので便利だ。さらに最近では、交通系ICカードを使った区間については、ICカードをスマホにかざすだけで、乗車区間や運賃のデータが自動的に取り込まれるようになった。

以前は顧客訪問後、会社に戻って交通費の精算をする必要があったがそれもなくなり、今夜のようなミニ同窓会や飲み会などプライベートのイベントに遅れず参加できるようになったのはうれしい。

Bは今回のミニ同窓会の幹事だ。先日、顧客を訪問した時、新しくオープンしたばかりのイタリア料理のお店を発見し、店にスマホのカメラを向け、AR(拡張現実)で店内のインテリアやメニューを確認。今回の会場にぴったりな雰囲気だったのでその場で予約した。予約後は、同級生たちに地図アプリで使えるデータを共有しておいた。

API連携でお金の全ての出入りを一元管理

あるアプリケーションの機能を、他のアプリケーションからデータを呼び出して利用することを「API(Application Programming Interface)」と呼ぶらしい。さらに日本では今、銀行のシステムの接続仕様を外部の事業者に公開し、契約先のアクセスを認めるという「オープンAPI」が進んでいる。2017年の銀行法改正がブレイクスルーとなり、金融機関とフィンテック企業との連携が一気に進んだ。

例えば、Bが使っている家計簿アプリは、銀行とAPI連携しているので、給与の振り込みはもちろんのこと、家賃や公共料金の引き落としまで一覧できる。さらに、クレジットカード会社とも連携しているため、クレジットカードで買い物をすれば、「いつどの店で、何をいくらで買った」かまで、一つの家計簿アプリで把握できる。

便利になったのは少額のお金のやりとりだ。先日のミニ同窓会は割り勘だったが、アプリの機能でスマートに回収できた。1円単位で集金できるのでとても便利だ。どうせ決済アプリで支払うなら、給与は決済アプリに入金してもらってもいいとすら最近考える。飲み会の席で同級生のSは「俺は何でもポイントで買っている。割り増しでくれるなら、いっそ給料をポイントでもらってもいい」と言っていたけれど、まんざら冗談でもなさそうだ。

海外旅行では有利なレートを選び決済

Bは来月、ヨーロッパに海外旅行に出掛ける予定だ。これまでなら、事前に日本円をユーロに両替し持っていく必要があったが、使用するアプリがAPI連携されているので、レストランで食事をしたり買い物をしたりしても、その場で一番有利なレートの金融機関を選び決済できる。だから、両替したユーロだけでなく現金の日本円を持っていく必要はない。盗難などの心配もなく安心だ。

地域密着型の電子通貨──言わば「電子地域通貨」も増えてきそうだ。とある地域ではすでに提供が開始されている。今後、インバウンド(訪日外国人)の観光客に付加価値の付いた電子地域通貨をプレゼントするような施策が始まれば、その土地を訪れる動機につながり、地域活性化にも役立ちそうだ。

その他にも、Bは生活のなかで、気づかぬうちにAPI連携による便利なサービスを利用している。例えば、タクシーの配車アプリ。これは、配車サービス会社と、地図情報サービス会社、さらに決済サービス会社とのAPI連携によって生まれた。つまり金融サービスとまったく異なるサービスのアプリがAPI連携することによって、それまで運転手任せだった経路と料金を、利用者がリードできるものにシフトしたのだ。アジアのある配車アプリでは、事前に料金が分かることに加えて、走行ルートも記録されるため、いわゆる「ぼったくり」もなく、観光客に好評だという。

シェアリングエコノミーの可能性を広げる

こうした決済アプリと他の便利な機能を持ったアプリのAPI連携は、車やオートバイ、自転車やオフィス、住宅にまで及ぶシェアリングエコノミーにも大きな影響を及ぼしそうだ。例をあげると、民泊サービスの中には、スマホで予約し決済を完了した場合、宿泊日が近づくと鍵の代わりとなる暗証番号がメールで届き、それで解錠してチェックイン、チェックアウトまで完結できるものもある。鍵を直接受け取る必要がなく、ゲストにとってもホストにとっても大きなメリットがある。このように、利用できるモノ・サービスの場所や予約、決済など、API連携がかなえてくれることは限りない。

今後も、APIが実現する「利便性の掛け算」は、私たちの生活を豊かにしていくだろう。

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