2020年10月、「Cycle byGMO（以下、Cycle）」がリリース。GMOペイメントゲートウェイの連結企業集団であるGMOイプシロンの決済代行サービスを導入するEC事業者向けのビジネスカードだ。年会費・手数料ともに無料で、前日までのEC売上金の半分がカードの利用可能額となる。実際に入金される前に売上金を仕入れや広告費用などの資金に回せることから、キャッシュフローの大幅改善に貢献できる画期的な仕組みだ。今回はGMOイプシロンのCycle担当者に、サービス内容や開発ストーリーを聞いた。
個人事業者や小規模事業者に強いGMOイプシロン
--Cycle導入の前提になるというGMOイプシロンの決済代行サービスとは？
クレジットカード決済をはじめ、コンビニ決済、電子マネー決済、代引き決済など各種決済を一括して代行するサービスです。サービス内容自体はGMOペイメントゲートウェイが提供するPGマルチペイメントサービス（決済代行サービス）と大きく違いませんが、GMOイプシロンでは特に中小規模の事業者様や個人事業者様を対象にしています。具体的には2020年12月時点の加盟店数約36,114店のうち、およそ3割の10,578店が個人事業者様のご契約であり、大規模事業者様向けにサービス提供を行うGMOペイメントゲートウェイとはご利用者層に違いがあります。
--中小事業者や個人事業者から支持を得ている理由は？
まず、対面での対応や専任担当者を設けず、ほぼWEBで導入手続きが済んでしまう点だと思います。WEBサービスだからこそ、時間を選ばず営業時間外でも手軽にお申し込みいただけます。また、導入いただける決済手段の種類の豊富さや、決済手段以外に配送や資金調達の支援も行っていることもあるでしょうか。さらに、GMOイプシロンはECカート機能を提供する主要なASP（アプリケーションサービスプロバイダー）と連携しており、スモールスタートでのEC立ち上げを希望される方にはご利用いただきやすいかと思います。
追加与信審査なし、コストなし、タイムラグなし
--そんなGMOイプシロンがリリースした「Cycle」とは？
Cycleは、当社の決済代行サービスをお使いいただいている加盟店様専用のビジネスカードで、ECの前日までの売上金の50%が、カードの利用可能額として自動チャージされます。従来の入金サイクルでは、オプションの早期入金サービスを利用しても月末〆の翌月15日入金であり、売上金を利用できるようになるまでに最大45日かかっていたところが、Cycleであれば50%の限度付きではあるものの翌日から売上金を利用することが可能です。加盟店様のキャッシュフローサイクルを改善することで、スピード感のある事業成長に貢献します。
--既存のビジネスカードとの違いは？
一般的なビジネスカードですと、特に事業を始めたばかりだと与信審査を通過しない可能性がありますが、CycleはECの売上金を早く使用する仕組みなので追加の与信審査を設けていません*。また特に個人事業者様の場合、個人向けのクレジットカードを利用しても、利用限度額が低く事業に使うには不向きです。一方Cycleなら個人事業者様であっても、売上金を仕入れなどにすぐ利用できます。さらに入金前の売上金を使うため、従来必要だったデビットカードやプリペイドカードなどのように手持ちの現金を必要としません。入会費・年会費もないのでお気軽にご利用開始いただけます。
*GMOイプシロンとのこれまでのお取引実績からご契約をお断りする場合がございます。
--利用コストがないわけですね。
ございません。むしろクレジットカード決済でよくあるポイント還元の代わりに、Cycleで支払った金額の0.5%はキャッシュバックしますので、現金の支払いに比べてもお得だと考えています。
また、セキュリティという面では、物理券面を発行しないバーチャルカードですので、紛失や盗難等によるリスクも低くなり安全です。他にも、申し込みから発行まで最短2営業日であるため、待ち時間も短いビジネスカードです。
--どんな利用シーンで効果的ですか？
商品が予期せずヒットした際の急な追加仕入れや、カード払いを原則とするデジタル広告の出稿で効果的だと感じております。売上金の入金前にそうした攻めのアクションを取れることから、商機を逃さず、売上をさらに伸ばすことが可能です。現在利用されている加盟店様の中にも、実際にそういった使われ方をされている方が多くいらっしゃいます。業種や業態に関わらず、あらゆる加盟店様のキャッシュフローサイクル改善に貢献できると考えています。
国内初の画期的なサービスで続々反響
--開発のきっかけは？他にないサービスだと思うのですが、先例はありましたか？
オンラインでの購買活動が進展していく中で、「オンラインは現金に比べて入金サイクルが遅い」と言う課題はEC事業者においては感じられていると思います。実際に当社でも、加盟店様からよく聞く声でした。その課題解決のため、何かヒントにならないかと国内外問わず業界動向をウォッチしていたなかで、Cycleの構想に至りました。
海外で先例が1つありましたが、日本国内での展開はされていませんでした。そこで、追加与信審査をせずにECの売上金をチャージする仕組みなら、個人事業者様や中小規模の事業者様といった私たちの加盟店様にも貢献できる。「これだ！」と思いましたね。実際に企画開発がスタートしたのはリリースから約半年前の2020年3月のことでした。
--スピード感のある展開ですね。開発の苦労は？
当社のメイン事業は決済代行事業で、各決済事業者からの加盟店様のお金をまとめて一括入金していますので、チャージ金を使っていただくCycleの仕組みとは逆の支払いの流れになります。そのための仕組みづくりは初めての経験であり、確かに大変でした。CycleはVisaビジネスカードとなっていますが、当社に加えてVisa様やそのプロセシングシステムを提供するクレディセゾン様の協力があってこそ実現した企画です。当社パートナー（従業員）にも関係各社にも、前向きに取り組んでいただけました。オンライン決済における入金サイクルに時間がかかることはオンラインビジネスをされた誰しもが実感している課題だったことが、社内外の関係者に協力いただけた要因ではないでしょうか。
--無事リリースを経て現在、その反応は？
実はリリース前から事前募集も行っておりまして、ありがたいことにその頃から多数お問い合わせやお申し込みをいただいております。意外だったのは、決済代行サービスの新規加盟店様で最初からCycleを申し込まれる方が多いこと。リリース前は、ECをスタートして入金サイクルの難点を実感してから申し込まれるケースが多いと想定したのですが、バーチャルカード化などによって各種費用をゼロにできたので、持っておいても損しないカードになりました。そのことがお客様からの好印象に繋がったのだと思います。
スピードと柔軟性を武器に、ECの成功体験を広める
--Cycleの今後の展開は？
実は現在も対応している点になりますが、「売上金の50% を利用可能額に」という原則を加盟店様の要望に合わせて個社ごとに調整しています。お互いに信頼を築けた状況で50%から60%に引き上げるといった対応です。今後はこうした対応を発展させていき、加盟店様の成長に、さらに柔軟に、スピード感を持って対応できるよう努めてまいります。
--Cycleに限らず、GMOイプシロンとしての展望は？
これもやはり、お客様であるEC事業者様の成長という点に尽きると思います。デジタル化が進む時代の流れに加えてコロナ禍という現状も踏まえ、今後もキャッシュレス化やオンラインでの購買活動を社会に広めていきたい。そのためにはまず何よりも、加盟店様に実際にECでの成功を経験してもらう必要があると考えています。お申し込みいただきやすい便利なWEBサービスという当社のビジネスモデルを活かし、中小規模事業者様や個人事業者様のEC取引増やし、成長を加速させていきたいです。
（by あなたのとなりに、決済を編集チーム）
※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。
