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OpenAPI対応の決済開発ドキュメントを公開 - 「PGマルチペイメントサービス開発者ドキュメント」のご紹介
この記事のポイント
- 決済実装の「ブラックボックス化」という課題を、開発者ドキュメントで解決します。
- ブラウザ上でのAPIテストや動作確認をその場で完結できます。
- OpenAPI Specの提供で、クライアントコードの自動生成や型安全な実装を実現します。
INDEX
はじめに
PGマルチペイメントサービスでは、OpenAPIタイプの提供により、複数の決済手段をAPIで統一的に実装できる仕組みを提供しています。
そのOpenAPIタイプの実装方法や設計思想については、前回の記事「決済実装を最短2日に短縮。PayPay・クレジットカードもAPIで一括導入『OpenAPIタイプ』」 で紹介しました。
本記事ではその続編として、OpenAPIタイプを実装する際に参照する「開発者向けドキュメントサイト」の技術的な特徴を紹介します。
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「仕様書は営業経由で取り寄せてください。」
PSP(決済サービスプロバイダー)とのインテグレーション経験があるエンジニアなら、一度はこの言葉に直面したことがあるかもしれません。
要件定義の段階でAPIの挙動を確認したくても、仕様書にアクセスするまで数日かかる----こうした経験に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
GMOペイメントゲートウェイ(以下GMO-PG)は、2025年3月、PGマルチペイメントサービスの開発者向けドキュメントサイトを公開しました。
本サイトでは、APIリファレンス、接続方法、ユースケースなど、開発に必要な情報をブラウザ上で参照できます。
このドキュメントサイトが提供する技術的な実体----ブラウザ上で完結するインタラクティブなAPI実行環境、OAS準拠のエコシステム連携、そして日本固有の多様な決済手段を「4つの支払いタイプ」へ抽象化したAPI設計----を順に解説します。
「読む」より「動かす」方が早い。ブラウザ上で完結するAPI実行環境
開発者向けドキュメントサイトの最大の特徴は、仕様を「読む」だけでなく、その場で「動かせる」インタラクティブな設計にあります。
▼APIリファレンス画面:ブラウザ上でAPIリクエストを実行し、即座にレスポンスを確認できる実行環境
ブラウザだけでAPIの動作確認が可能
エンジニアがAPIの挙動を把握する場合、一般的にはAPI仕様を確認しPostmanやcurlなどのツールにエンドポイント・ヘッダー・パラメータを手動で設定し、サンドボックス環境へリクエストを送って確認する、といった手順を取るかと思います。
GMO-PGのドキュメントサイト「マルペイDocs」では、この作業をブラウザ上で完結できます。各APIのリファレンス画面からテスト用のAPIキーと任意のパラメータを入力し、「APIリクエストを実行」ボタンをクリックするだけで、サンドボックス環境に対して実際のHTTPリクエストが発行され、レスポンスをその場で確認することが可能です。
さらに、当社はOpenAPI Specファイルを公開しているため、ドキュメントサイトでAPIの挙動を把握した後は、同じSpecファイルをPostmanにインポートして細かいケースの検証や、各開発言語向けのクライアントコード自動生成へとスムーズに進むことができます。
主要言語を網羅したサンプルコードも自動生成
さらに、ブラウザ上での実行だけでなく、画面右側のパネルには「Shell」「Node.js」「Ruby」「PHP」「Python」「Java」といった主要言語ごとのサンプルコードが標準で提供されています。
クレカ都度支払いのエンドポイント(POST /credit/charge)であれば、以下のように成功時・エラー時のレスポンスが一目でわかるだけでなく、そのままコピー&ペーストして組み込めるコードスニペットが言語ごとに自動生成されます。
▼成功時のレスポンス例
JSON
{
"nextAction": "NO_ACTION",
"orderReference": {
"orderId": "order-001"
},
"creditResult": {
"transactionId": "txn_xxxxxxxxx",
"authorizationCode": "123456"
}
}
ドキュメントによる仕様の確認と並行して、実際にブラウザ上でリクエストを実行してみることで、APIの挙動をより早く正確に掴むことができます。開発者の方がスムーズに検証・実装ができるよう、これらの機能を搭載しました。
モダンな開発フローを支える「OpenAPI Specファイル」の提供
ドキュメントサイトでは、各APIの仕様を定義した「OpenAPI Specファイル」を提供しています。
これは、単に人間が読んで仕様を理解するためのドキュメントではありません。PostmanなどのAPI検証ツールや、コード自動生成ツールにそのまま読み込ませて利用できるファイルです。
開発者はこのSpecファイルを利用することで、各開発言語向けのクライアントコードをコマンド一つで自動生成できます。これにより、パラメータの記述ミスやデータ型のバグを未然に防ぐ「型安全な実装」がスムーズに行えるようになり、決済インテグレーションの工数を削減できます。
クライアントコードの自動生成
開発者はこのOpenAPI Specファイルを利用することで、各開発言語向けのクライアントコードをコマンド一つで自動生成できます。
Bash
# クライアントを自動生成するコマンド例
openapi-generator-cli generate -i ./gmo-pg-openapi.json -g typescript-fetch -o ./client
生成されたクライアントは型定義を含むため、IDE(開発環境)の入力補完が効き、ペイロードの構築時に型エラーが静的に検出されます。必須フィールドの欠落や不正な値の混入をコード実行前に警告してくれるため、バグを未然に防ぐ「型安全な実装」が可能になります。
日本固有の多様な決済手段を「4つの支払いタイプ」へ抽象化
日本の決済環境には固有の複雑さがあります。クレジットカードだけでなく、コンビニ支払い、銀行振込、各種Pay系決済やキャリア決済など、日本特有の多様な決済手段が存在し、それぞれ振る舞いや業務フローが異なります。 PGマルチペイメントサービスのAPIは、この複雑な決済フローを「クレカ払い」「Pay払い」「現金払い」「後払い」の4つの支払いタイプに分類・抽象化してAPIに落とし込んでいるのが大きな特徴です。
決済手段を新たに追加する際、それがどの支払いタイプに属するかを確認すれば、すでに実装済みの同タイプのロジック(リクエスト・レスポンスの構造や状態遷移)を応用できるように設計されています。これにより、新しい決済手段ごとに一から仕様を理解する学習コストと実装工数を大幅に削減できます。
この「抽象化による開発効率の向上」は、ビジネス側にとっても導入スピードや運用負荷の面でメリットがあります。PayPayやクレジットカードなど、複数の決済手段の開発工数を短縮できるOpenAPIタイプのビジネスインパクトについては、以下の関連記事にて詳しく解説しています。
【関連記事】決済実装を最短2日に短縮。PayPay・クレジットカードもAPIで一括導入「OpenAPIタイプ」
先行公開版(ベータ版)を利用した開発者の声
今回の一般公開に先立ち、先行して新ドキュメントサイト(ベータ版)をお試しいただいた企業様の開発現場からは、以下のようなフィードバックが寄せられています。
1.開発に必要な情報が整理され、調査にかかる手間が減った
・ユースケースから、決済手段の選定、接続方法、API仕様、まで体系的にまとまっており、関連情報をまとめて確認できる
・これまで複数の資料を行き来していた作業が減り、仕様確認にかかる時間の短縮につながる
2.実装イメージをつかみやすいドキュメント構成
・API仕様とあわせてサンプルコードやリクエスト・レスポンス例が掲載されており、実装時の参考情報として活用しやすい
・決済処理の状態遷移が図で整理されているため、取引の流れを把握しやすい
3.必要な情報を探しやすく、開発の効率化に寄与
・検索機能やAIアシスタントを活用することで、目的の仕様や設定項目を素早く確認できる
・決済手段や利用シーンごとに情報が整理されており、実現したい目的から具体的な実装手順を把握しやすい。
・llms.txtへの対応によりAIエディタなどからドキュメントを参照でき、AIを活用した開発環境にも対応している
総じて、「開発担当者が決済仕様の調査ではなく、自社サービスの本来の設計・実装に集中できる環境が整った」という、インテグレーションの効率化を実感する声をいただいています。
エンジニアのフィードバックと共に進化するインフラへ
決済のインテグレーションは、エンジニアリングの本質的な課題ではありません。アプリケーションの価値は決済フローの先にある体験にあり、決済の実装はそこに至るまでの「通過点」であるべきです。
しかし実態として、決済実装は多くのエンジニアの開発時間を想定以上に消費してきました。ドキュメントへのアクセスに要する時間、非公開の仕様を確認するための問い合わせサイクル、テスト環境のセットアップコスト----これらはすべて本来の開発に充てられるべき時間を奪う「ブラックボックス」でした。
開発者向けドキュメントサイトの公開は、この状況を変えるためのひとつの手段として位置づけています。情報へのアクセスを開放し、ブラウザ上での即時テストを可能にし、OAS準拠によってツールチェーンとの連携を可能にします。このサイクルを通じて、インテグレーションに要するリードタイムを短縮することが目標です。
ドキュメントサイトはリリースして完結するものではありません。実装上の疑問点、ドキュメントの不足箇所、APIデザインへのフィードバック----エンジニアの視点からの指摘が、次のアップデートの優先度を決める材料になります。 まずはドキュメントサイト(https://docs.gmo-pg.com/mulpay)にアクセスし、サンドボックス環境でリクエストを発行してみてください。各APIリファレンス画面の「API リクエストを実行」ボタンを数回クリックするだけで、このAPIの実装に何が必要かの輪郭を掴みやすくなるはずです。
関連リンク

監修者
吉田 剛士
1995年4月、日本アイ・ビー・エム(株)に入社し、銀行を中心としたITアーキテクトとして活動。その後、同社コンビニATM・銀行スイッチングセンターと地銀インターネットバンキングセンター運用統括部長などを歴任。長年にわたりITによる金融変革に携わった後、2019年3月にGMOペイメントゲートウェイ株式会社に入社。QRプラットフォームの開発やグループ会社の新規決済プラットフォームの立ち上げ・開発に参画。2023年10月より現職の決済サービス統括部長として、「PGマルチペイメントサービス」の企画・開発・運用を統括。国内最大規模の決済処理実績を支えるプラットフォームの安定稼働だけでなく、お客様のビジネスに寄り添う決済サービスの提供を主導している。

監修者
山口 真司
2018年にGMOペイメントゲートウェイ株式会社に入社。入社以来、総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」のシステム開発に一貫して携わる。主にクレジットカード以外の決済手段領域を担当し、開発者が柔軟に決済機能を組み込めるAPI型の連携方式「OpenAPIタイプ」の開発ではメイン担当としてリリースを推進。これまで決済手段の追加やシステム刷新、プラットフォームの安定性向上など幅広い取り組みに関与。現在は部長として各種案件のコントロールやプロダクトマネジメントを担いつつ、自らも開発に携わるプレイングマネージャーとしてサービスの進化を推進している。
サービス紹介
PGマルチペイメントサービス
PGマルチペイメントサービスは、決済代行会社(PSP, Payment Service Provider)であるGMOペイメントゲートウェイ株式会社が提供する決済プラットフォームです。スタートアップから中小~大手企業まで、業種・規模を問わず幅広い事業者様に導入されています。
連結163,890店舗、年間の決済処理金額21兆円・処理件数72.2億件(※)という膨大な決済を支える強固なインフラを提供。さらに、グローバルセキュリティ基準PCI DSS Ver4.0.1に完全準拠しており、あらゆるビジネスの安全な決済環境を支援します。
- 都度決済および、サブスク(定期購入・継続課金)にも対応
- ニーズに合わせた接続方式をご用意(「OpenAPIタイプ」「リンクタイプPlus」)
- HDI国際認定 取得済みのカスタマーサポート部門が手厚くサポート
※2025 年 9 月末時点、連結数値