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【2025年12月施行】スマホ新法でアプリ外課金はどう変わる?手数料軽減の戦略と必須セキュリティ要件を専門家が徹底解説

【2025年12月施行】スマホ新法でアプリ外課金はどう変わる?手数料軽減の戦略と必須セキュリティ要件を専門家が徹底解説

2025年12月18日、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(略称:スマホソフトウェア競争促進法、以下「スマホ新法」)がいよいよ全面施行されます。

これまでAppleやGoogleといった巨大プラットフォーマーがけん引してきたアプリストアや決済市場に競争原理を導入するこの法律は、アプリ事業者様にとってビジネスモデルを根底から変える可能性を秘めています。最大の焦点は、長年アプリ事業者の重荷の一つとなっていたアプリ内課金手数料30%の回避と、それに伴う収益構造の劇的な改善です。

しかし、選択には責任が伴います。アプリ外課金(Web決済)の解禁は、これまでプラットフォームが担っていたセキュリティ対策を、事業者様自身が講じなければならないことを意味します。

スマホ新法の核心から手数料削減を最大化する戦略、そして安全な実装に不可欠なセキュリティ要件まで、GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)インダストリーソリューション本部の鈴井 祥吾が解説いたします。

インダストリーソリューション本部第1営業統括部サービス第1営業部 部長  鈴井 祥吾

GMOペイメントゲートウェイ株式会社

インダストリーソリューション本部第1営業統括部サービス第1営業部 部長

鈴井 祥吾

国内ベンチャーキャピタルを経て、2013年GMOペイメントゲートウェイに入社し、中小規模の物販サイトやカートベンダーに対する営業を担当。現在はオンラインゲームや電子書籍・音声といったデジタルコンテンツ、フードデリバリーなどのサービスコマース(無形商材)のほか、テック系スタートアップ・BtoBビジネス・出版など幅広く担当する部門を率いている。

1. スマホ新法の核心:競争促進と巨大プラットフォーマーの規制

1-1. 法律の狙いと対象となる「特定ソフトウェア」

法律の狙いと対象となる「特定ソフトウェア」

スマホ新法は、スマートフォンの利用に不可欠なソフトウェア(OS・アプリストア・ブラウザ・検索エンジン)における公正な競争環境を確保することを目的としています。具体的には公正取引委員会により、Apple Inc.・iTunes株式会社・Google LLCの3社が指定事業者として定められ、自社サービスの優遇禁止や、第三者への開放が義務付けられます。

※参考:公正取引委員会「(令和7年3月31日)スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律における特定ソフトウェア事業者の指定について」

1-2. アプリビジネスを変える「二つのインパクト」

この法律が施行されることで、アプリ事業者様のビジネスには大きく二つの変化(インパクト)が訪れます。

  1. アプリ外決済の解禁(手数料回避)
    これまではアプリ内課金(IAP)の利用が必要とされ、最大30%の手数料が発生していましたが、規制の変更により、今後はプラットフォーマーの定める規約の下で、アプリ内課金(IAP)以外の第三者の決済手段の選択・導入が認められます。これにより、独自の決済システムを導入することでプラットフォーマーに対して支払う手数料を軽減できるようになります。
  2. OS機能の公正な利用と自社優遇の禁止
    これまでプラットフォーマーが独占的に利用していたNFC、生体認証APIなどの重要なOS機能やインターフェースが、サードパーティの事業者に対しても公平かつ非差別的な条件で開放されます。これにより、事業者はプラットフォーマーの提供するサービスと同等の機能・性能の実現を目指すことができるようになります。また、プラットフォーマーはアプリストアのランキングなど、プラットフォーム上のあらゆる場面において、自社サービスや製品を不当に優遇することが禁止され、公正な競争環境が確保されます。

2. 収益構造を変革する「アプリ外課金」の全貌

2-1. 手数料30%からの解放と利益率の改善

アプリ事業者様にとって最大のメリットは、やはりコスト削減です。アプリ内課金の手数料(15〜30%)に対し、アプリ外課金(Web決済)を利用した場合の決済手数料が数%にまで抑えられるケースも想定されます。この差額はそのまま利益改善やユーザーへの還元原資として活用できます。

2-2. 専門家が語る「アプリ内・外課金の共存」

手数料が安いからといって、すべての決済をアプリ外に移行すべきでしょうか?長くデジタルコンテンツをはじめとするサービスEC業界の決済に携わってきたGMO-PGの鈴井が推奨するのは共存型の環境構築です。

GMO-PG 鈴井 祥吾▲GMO-PG 鈴井 祥吾

「本法律はアプリ事業者様にとって収益改善の大きなチャンスをもたらします。ただアプリ外課金が積極的に推進されたとしても、利用者(エンドユーザー)様のユーザビリティの観点からアプリ内課金が完全に無くなることはないと考えています。GMO-PGでは、事業者様目線でアプリ外課金を一方的に推し進めるのではなく、その先のエンドユーザー様の視点も持ちながらアプリ内課金とアプリ外課金がうまく共存できる環境を目指しています」

アプリ内課金の「手軽さ」と、アプリ外決済の「お得さ」。この双方のバランスを見極め、ユーザー・事業者の双方がメリットを享受できる設計が求められます。

3. 【実践編】スマホ新法施行で取るべき戦略

スマホ新法の全面施行(2025年12月18日)以降は、アプリ内から課金用Webサイト等への直接リンク(直接誘導)が解禁される見通しです。しかし、施行前でも、AppleやGoogleの規約に抵触しない範囲での「アプリ外間接誘導」により、先行して手数料削減効果を得ることは可能です。

3-1. ユーザーをWebストアへ導く「20%ルール」

アプリ外課金成功の鍵は、「わざわざWebに遷移して決済する」という手間を上回るメリットをユーザーに提供できるかどうかにあります。

GMO-PGがおこなったユーザー調査によると、「ストア経由よりも安く購入できる」ことが最も魅力的なメリット(67.0%支持)とされています。具体的には、約40%のユーザーが「数%~20%程度の割引やアイテム増量」を提示することで、アプリ外課金の利用意向を示すというデータもあります。

Q.「アプリ外課金」を利用する際、どのようなメリットがあれば魅力的だと感じるか、(利用経験がある方はどのようなメリットに魅力に感じたか)以下からすべて選択して下さい。

Q.「アプリ外課金」を利用する際、どのようなメリットがあれば魅力的だと感じるか。(グラフ)

Q.「アプリ外課金」を利用する際、どのようなメリットがあれば魅力的だと感じるか。(表)

※出典:消費者向けアプリ外課金調査 2025年 GMO-PG調べ(N=795)

3-2. 効果的な誘導テクニック

新法施行前の段階では、アプリ内から直接決済画面へリンクさせることは原則禁止されています。そのため、施行後も念頭におきつつ以下のような間接的なアプローチが有効です。

  • 公式SNSやWebサイトでの告知: 「Webストア限定のお得なパック」を訴求します。
  • インセンティブの明確化: 「Webならダイヤ20%増量」「限定アイテム付与」など、Web経由の優位性を強調します。大手タイトルでは、すでに「アイテム増量」や「価格割引」による誘導が実施されています。

4. 実装パターン比較と求められるセキュリティ対策

アプリ外課金の導入には、「自社課金サイト構築型」と「外部プラットフォーム(PF)参画型」の2つのパターンに大別されます。

4-1. 実装パターン比較:自社構築 vs 外部プラットフォーム

事業規模やリソースに応じて最適な手法を選択する必要があります。もちろん、併用することも可能です。

① 自社課金サイト構築型 ② 外部プラットフォーム参画型
タイプ ブランド重視・自社SNS等からの集客が中心 スピード重視・他社メディアからの送客が中心
開発コスト 高い(サイト構築・保守が必要) 低い(PF仕様で簡易に構築可能)
手数料 3%程度〜 5%程度〜
デザイン 自由度が高い PF側の制約あり

小規模事業者様や、まずはスモールスタートを切りたい場合、開発工数が少なくゲームメディアからの集客面も含めて任せられる「外部PF参画型」が有利です。一方、ブランドの世界観や利用できる決済手段を含めたUXを統一し、手数料をなるべく下げたい大手事業者様は「自社構築型」が適しています。

4-2. 無視できない「セキュリティリスク」

アプリ外課金において、ユーザーが最も懸念しているのは「セキュリティや個人情報の取り扱い」(47.7%)です。

Q.「アプリ外課金」に対する不安や懸念点があれば、以下からすべて選択してください。Q.「アプリ外課金」に対する不安や懸念点(グラフ)

※出典:消費者向けアプリ外課金調査 2025年 GMO-PG調べ(N=795)

プラットフォームの保護から離れる以上、以下の対策は必須となります。

  1. PCI DSSに対応した決済サイトの構築: クレジットカード業界の国際セキュリティ基準への対応
  2. クレジットカード情報の非保持化: リンク型接続やトークン決済を利用し、自社サーバーにカード情報を通過・保存させない仕組み
  3. 不正利用対策: 不正検知システムやEMV 3-Dセキュア(本人認証)の導入

これらを自社単独で整備するのは容易ではありません。そのため、信頼できる決済代行会社(PSP)に相談のうえ、自社で対応すべきこと、決済代行会社(PSP)含めた他社がサポート可能なことを把握しましょう。

5. GMO-PGが選ばれる理由:安心感・安定性・総合力

決済代行会社(PSP)を選ぶ際、単なる「手数料の安さ」だけで選ぶのは危険です。システムダウンやキャパシティ不足による機会損失、開発コストの肥大化、決済会社の資金繰り悪化による売上金の逸失リスクを避けるためにも、事業基盤の安定性は不可欠です。

GMO-PGが多くのアプリ事業者様に選ばれている理由は、以下の3点に集約されます。

① 「七つ星」認定のサポートと強固な営業体制

決済は売上に直結するため、トラブル時に「すぐに繋がる」ことが何より重要です。GMO-PGは、HDIサポートセンター国際認定(七つ星認定)及びHDI格付けベンチマーク「クオリティ格付け」(マルチチャネル)三つ星評価を獲得しているサポートセンターを保有しています。

さらに、東京・大阪・福岡を拠点に約200名の営業が在籍しており、業種・業界に精通した担当者と対面・オンラインを問わず密な連携が可能です。この「営業×サポート」の2面体制が、他社にはない安心感を提供します。

② 大規模トランザクションを支える圧倒的な「安定性」

人気ゲームのイベント時やレアアイテム販売時には、短時間に大量のアクセスが集中します。

GMO-PGは、瞬間的に大量のアクセスが集中するような大手ECサイトなど、日々膨大なトランザクションを安定的に処理しており、そのノウハウをアプリ外課金にも応用しています。イベント時の負荷予測に基づく事前のチューニングなど、システムを「止めない」ための運用体制が確立されているため、安心して様々な施策を実施いただけます。

③ 決済周辺までカバーする「総合力」

アプリ外課金を始めると、ユーザーへの返金業務や、課金サイトへの集客・キャンペーン設計など、決済以外の煩雑な業務が発生します。

GMO-PGなら、送金サービス(Amazonギフトでの配布など)やマーケティング支援・セキュリティ診断など、決済関連サービスをはじめ、GMOインターネットグループのシナジーを活かしたトータルソリューションでのご提案が可能です。単なる決済代行にとどまらず、事業成長のパートナーとして長期的な視点でのご支援を行います。

6. まとめ:スマホ新法がもたらす競争優位性を得るための準備を

スマホ新法は、アプリ事業者様に公正な競争と収益改善のチャンスをもたらします。

【事業者様が取るべきアクション】

  • 法規制のチェック: 公正取引委員会の指針やApple・Googleの規約変更を注視する。
  • インセンティブ設計: ユーザーを動かす「増量・割引メリット」を検証する。
  • 決済基盤の構築: 自社に適した実装パターンを選び、セキュリティ面を担保した環境構築方法を検討する。

「まずは何から始めればいいかわからない」という場合でも、ご安心ください。GMO-PGでは、お客様の事業規模やフェーズに合わせた最適なご提案をいたします。開発リソースが不足している場合でも、ライトな導入からスタートする方法があります。

リスクを最小限に抑え、手数料削減という最大の果実を得るために、今すぐプロフェッショナルなパートナー GMO-PGと共に準備を始めましょう。

(by あなたのとなりに、決済を 編集チーム)

※本コンテンツ内容の著作権は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社に属します。

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