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自治体担当者が追われる「紙の商品券」の業務負担。国の経済対策・補助金トレンドから読み解く、令和8年度に向けた「デジタルシフト」の緊急性とは?
この記事のポイント
- プレミアム付商品券の紙運用による膨大な事務負担と管理リスクをデジタル化で解消
- 補助金・交付金のトレンドはデジタル化。令和8年度を見据えた早期の予算確保を
- 高齢者対応など様々な不安を払拭する、丁寧な伴走支援がデジタル化成功への鍵
INDEX
政府の経済対策として継続・強化されることが計画されている「プレミアム付商品券」事業。地域経済の活性化という華やかな目的の裏で、現場の自治体職員や商工会議所担当者は、紙ベースのアナログ運用による膨大な業務負荷とリスク管理に追われる状況も生じているようです。
「運用を効率化したい」「次はデジタルにしてみたいが...」―そう感じる担当者が増える中、なぜ「今」検討を始めるべきなのか。
GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)で商品券・地域通貨事業の最前線に立ち、数多くの自治体・商工会議所の課題解決を支援してきた浜田 翔に、現場のリアルな実態と、成功するデジタル化の秘訣を聞きました。
現場の悲鳴:「紙」の運用はもう限界にきている
――浜田さんは日々、全国の自治体や商工会議所の担当者様と対話されていますが、現場では「紙の商品券業務」に対してどのような課題が上がっているのでしょうか?
浜田:
現場の方々が抱えている課題は、想像以上に深刻で、物理的な「モノ」を扱うがゆえの限界に達しています。
具体的には、「準備・管理のリスク」と「業務量の多さ」、そして「住民サービスとしての不便さ」の3点に集約されます。
まず「準備・管理のリスク」ですが、紙の商品券を発行する場合、数億円単位の金券を印刷し、それを厳重に保管し、各販売所へ輸送しなければなりません。これは単なる紙ではなく「お金」そのものですから、紛失や盗難のリスク対策には神経をすり減らします。さらに、偽造防止のためのエンボス加工や特殊印刷などのコストも馬鹿になりません。

GMO-PG 浜田 翔
――数億円の現物を管理するプレッシャーは相当なものですね。
浜田:
そうですね。そして、それを販売する「業務量の多さ」が追い打ちをかけます。
紙の商品券を販売するには、特設の販売所を設置し、販売員を確保する必要があります。
以前、私も販売所でデジタル化相談会の運営サポートを行いました。現場で見えたのは朝の5時から住民の方が長蛇の列を作ることも珍しくない状況です。現場の職員の方々は、その行列整理をしつつ、紙の商品券を管理・販売対応に追われているのです。
また、商品券を受け入れる側の加盟店様の負担も見過ごせません。
使用された商品券は、店舗で保管し、定期的に換金所まで持参しなければなりません。1枚1枚手作業で数え、金額を突き合わせる作業は、本来の業務時間を圧迫します。「換金の手間が大変だから参加したくない」という地元の店舗様の声は、決して少なくないのです。
――住民(利用者)視点ではいかがでしょうか?
浜田:
アナログゆえの「不便さ」が機会損失を生んでいます。
紙の商品券の運用では、販売所が市役所や商工会議所などに設置されるケースが多く、これらは平日しか開いていないことが多々あります。その結果、平日に働いている現役世代の方が購入できず、住民の方から「買いたくても買えない」という不満の声が上がることがあります。
また、券種が「1,000円単位」などで固定されているため、数百円の買い物ではお釣りが出ず、使いづらいという声もあります。
「1,000円使うために、いらないものまで買って調整する」というのは、本質的な消費喚起とは言えません。1円単位で決済できるデジタル(キャッシュレス)と比較すると、利便性の差は歴然としています。

なぜ「今」なのか? デジタル化へ舵を切るべき経済的理由とは
――昨今のニュースを見ても、政府の経済対策や補助金の流れは明らかに「デジタル化(DX)」へ向いています。来年度(令和8年度)を見据えたとき、なぜ「今」デジタル化へ舵を切っておく必要があるのでしょうか?
浜田:
最大の理由は、国の補助金・交付金のトレンドがデジタル優遇へシフトしている点です。
自治体が商品券事業を行う際、財源として国の交付金(重点支援地方交付金など)を活用するケースがほとんどですが、この補助額において「デジタル化」が加点要素となる事例が出てきています。
具体的な事例を挙げると、ある自治体の公募要領では、紙の商品券発行の場合の補助金上限が1,400万円だったのに対し、デジタル方式を採用した場合は1,800万円まで増額されるというケースがありました。
この差額の400万円は非常に大きいです。これだけの予算があれば、より効果的な周知プロモーション(チラシやポスター制作)を行ったり、利用者への還元率を上乗せしたり、高齢者支援のためのコールセンターを設置したりと、事業の成功確度を高めるための施策に投資することも可能になります。
――同じ事業を行うにしても、デジタル化するだけで使える予算が増える可能性があるのですね。
浜田:
国全体としてDXを推進する流れは、今後さらに加速こそすれ、止まることはないでしょう。補助金額にこれだけの差が生まれる現状を考えると、早期にデジタルへ切り替え、潤沢な予算でスムーズな運用体制を構築することが、自治体様にとって最も賢明な予算戦略だと言えます。
また、スケジュールの観点からも「今」動く必要があります。
例えば、これから新しく事業を開始したい場合、開始タイミングから逆算して少なくとも3〜4ヶ月前には動き出す必要があります。来年度の予算取りに向けた具体的な情報収集や、仕様策定のご相談も増えてきていますので、GMO-PGが決済システムをご提供している「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」の事例なども参考にしながら、ぜひお早めに検討を開始していただきたいですね。

「高齢者が使えない」は本当か? データが示す意外な実態とアナログな支援
――デジタル化の検討にあたり、最大の障壁となるのが「高齢者が使えなくなるのではないか(デジタルデバイド)」という懸念です。この点について、現場ではどのような反応がありますか?
浜田:
おっしゃる通り、どの自治体担当者様からも必ずと言っていいほど、高齢者対応への不安の声が上がります。
しかし、実際に導入された自治体のデータを見ると、その不安は「案ずるより産むが易し」であることが多いのです。
例えば、ある商店街でデジタル商品券を導入いただいた事例では、ダッシュボードで利用者の年代分析を行ったところ、60代以上の利用者が全体の約22%を占めていました。これは50代(約25%)とほぼ変わらない水準であり、高齢層もしっかりとデジタル商品券を利用されていることがデータとして証明されています。
また、デジタル商品券という枠組みを超え地域通貨として活用されている岐阜県の養老町様のような好例もあります。養老Payとしての累計総流通額は5億円を突破し、利用登録者数も累計17,000人以上に広がっています※。70歳以上の利用登録者数が多いなど、まさしく「地域の金融インフラ」として、老若男女問わず浸透していると言える実績です。このほかスマートフォンを持っていなくてもデジタル商品券を使っていただけるような仕組みもありますので、様々な環境の方にお使いいただいています。
※総流通額・利用登録者数は2021年度~2024年度の累計

――高齢者の方を含む幅広い世代の方がデジタル商品券を積極的に活用されているのですね。
浜田:
もちろん、ただシステムを導入して「あとは各自でやってください」では浸透しません。デジタル化を成功させる鍵は、逆説的ですが「丁寧なアナログサポート」にあると、私たちは考えています。
「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」では、各自治体のご状況に応じて手厚いサポートでご支援しています。例えば以下のような対応が挙げられます。
- 対面説明会の実施:
住民の方が集まりやすい場所や、利用頻度の高い加盟店様の一角をお借りして、特設ブースや説明会を開催します。そこで、アプリのダウンロードから登録、実際の決済方法まで、対面で丁寧にレクチャーします。フェイス・トゥ・フェイスの安心感は、幅広い世代の方にとって重要です。 - 専用コールセンターの設置:
操作に迷ったときのために、電話窓口を用意します。消費者用だけでなく、実は、加盟店用の回線も用意することが重要です。
地域のお店を守る店主様にとっても、紙からデジタルへの移行は大きな変化です。「管理画面の使い方がわからない」「決済ができているか不安」といった声に即座に対応できる体制があることで、店舗側のデジタル化もスムーズに進みます。
こうした「伴走支援」があるからこそ、デジタルに不慣れな方々も安心して参加でき、結果として高い利用率につながっていくのです。
――紙とデジタルの「ハイブリッド運用」についてはどうお考えですか?
浜田:
「紙の商品券とデジタル商品券の併用」を実施される自治体様も一定数いらっしゃいます。どんな方にも使っていただける形を目指す、というものです。
ただ正直なところ、現場の運用担当者の方々は「デジタル一本化」へ寄せていきたいという意向が強くなっているように見受けられます。並行運用を続けると、準備コストも管理コストも2倍かかってしまい、業務効率化のメリットが薄れてしまうからです。
最初は不安でも、デジタル商品券と併用してみて「意外と使える」「便利だ」という実感が広まれば、2年目以降はデジタル比率を一気に高めることが可能です。そうした「段階的な完全デジタル化」へのロードマップを一緒に描いていくことも、私たちの重要な役割だと考えています。
主要Pay系決済ではなく「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」が選ばれる理由
――他社の決済アプリやシステムと比較して「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」を選ぶメリットは何でしょうか?
浜田:
最も大きな違いは、「地域内での経済循環(地域密着型)」を確立できる点です。
全国展開しているようなPay系決済も同様のサービスが提供可能です。この場合、利用地域の限定ができなければ市内で経済循環ができず効果が地域外に流出してしまいます。
しかし、モバイル商品券プラットフォーム byGMOはあくまで「その地域の、その地域による決済インフラ」を構築します。自治体様や商工会議所様が主体となって加盟店網を構築することで、大手チェーン店だけでなく、地元の商店街や個店にお金が落ちる仕組みを設計できます。これが本来の「地域活性化」の姿ではないでしょうか。
――自治体にとっては「データの可視化」も大きな武器になりますね。
浜田:
その通りです。紙の運用では「誰が」「どこで」「いくら」使ったかが見えませんでしたが、デジタルではこれらがすべて可視化されます。
「どのエリアの飲食店が賑わっているか」「どの年代の利用が多いか」といったデータをダッシュボードでリアルタイムに把握できます。
さらに、取得できるデータには「名前・電話番号・住所(郵便番号)・性別・年代」などが含まれます。これらのデータは、次年度の施策立案や、国への実績報告(EBPM:証拠に基づく政策立案 ※データを根拠に施策効果を説明する考え方)において、非常に強力なエビデンスとなります。
――公金を扱う事業ですので、セキュリティ面も気になります。
浜田:
信頼のおける高い安全性は不可欠な要素です。私たちGMO-PGは日本の金融インフラを支える決済代行会社(PSP)として、金融機関レベルのセキュリティ基準でサービスを提供しています。
デジタル商品券購入におけるクレジットカード決済時の3Dセキュアはもちろん 、SMS認証による本人確認(なりすまし防止)や、支払い用パスコード(6桁)の設定など、強固なセキュリティ対策を標準装備しています。
「モバイル商品券プラットフォーム byGMOなら安心だ」と言っていただける信頼性こそが、多くの自治体様に選ばれている理由の一つだと自負しています。

成功の鍵は「逆算思考」。GMO-PGが提供する一緒に汗をかく伴走支援とは
――最後に、実際にプロジェクトを進める上で、成功する自治体に共通するポイントはありますか?
浜田:
「逆算思考」で準備を進めているかどうか、これに尽きます。
システムを導入するだけでは、商品券事業は成功しません。「いつから利用開始したいか」というゴールを決め、そこから逆算して「いつまでに加盟店を募集しなければならないか」「いつから住民への告知(チラシ・ポスター)を始めるべきか」というスケジュールを緻密に組む必要があります。
例えば、利用開始の直前に加盟店募集を始めても、店舗側は検討や準備が間に合いません。魅力的な店舗が揃わなければ、住民の方も商品券を買おう・使いたいとは思いませんよね。
「スーパーやドラッグストアなど、日常使いできる店舗が入っているか」など、住民目線での加盟店開拓戦略も重要です。
私たちは、単にシステムを提供するだけでなく、こうした「事業計画の立案」や「プロモーション戦略」の部分から、自治体様と一緒に汗をかいて考えます。
チラシの作成から、コールセンターの手配、加盟店向けのマニュアル作成まで、運用にまつわるあらゆる業務をワンストップで支援できるのが、GMO-PGの強みです。
――一度導入すると、継続して利用されるケースが多いと伺いました。
浜田:
ありがたいことに、リピート率は非常に高いです。
理由はシンプルで、一度「慣れ」てしまえば、紙には戻れない利便性を自治体・加盟店・利用者の皆様が実感されるからです。
また、2年目以降は前年の加盟店データや利用者データをそのまま引き継げるため、様々な登録作業や審査が不要になり、準備の負担が劇的に軽くなるというメリットもあります。
紙の運用にお悩みの方や、来年度(令和8年度)の予算編成や事業計画にお悩みの担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。「デジタルは難しそう」というイメージを払拭し、地域経済を次のステージへ進めるための最適なプランを、私たちが全力でご提案いたします。
サービス紹介
モバイル商品券プラットフォーム byGMO
「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」は、自治体や事業者が発行する紙の商品券をデジタル化できるサービスです。「地域限定デジタル商品券」「電子プレミアム商品券」「電子地域通貨」等として利用が可能で、岐阜県養老町のほか全国20以上(※1)の自治体や事業者への提供実績があります。
住民等のユーザーは、専用サイトでデジタル商品券の利用登録を行い、同サイト上でクレジットカード、銀行口座(即時チャージ)、コンビニ払い、銀行振込(Pay-easy)でチャージ・購入、もしくはQRコードが表示されたカード券面などを媒体として取扱店舗でデジタル商品券を現金でチャージ・購入することが可能です(※2)。購入後は、加盟店でQRコードを活用して1円単位でキャッシュレス決済として利用できます。また、デジタル商品券を利用できる店舗においては、幅広い層の来店・利用促進が見込めます。
本サービスでは、システム開発をGMOデジタルラボ、自治体や事業者への販売をGMO-PGが担います。
- システム開発をせずに商品券のデジタル化を実現
- キャッシュレス対応の実現
- 対面を中心とする販売業務の負担を軽減
- 紙の商品券の回収・保管・集計・精算・換金などの業務負荷を削減
- 1円単位でキャッシュレス決済として利用可能
- デジタル商品券の利用状況をマーケティングデータとして活用することも可能
(※1)2025年4月時点
(※2)利用方法は自治体・事業者により異なります。
話者/GMOペイメントゲートウェイ株式会社イノベーション・パートナーズ本部第1営業統括部西日本営業部営業1課
浜田 翔
信販会社を経て2023年2月GMO-PGにジョイン。西日本を中心に幅広い業種・業界におけるオンライン決済導入・運用のご支援を推進するほか、送金サービスなどの決済関連ビジネスを組み合わせた提案を行い、加盟店様のDX推進に貢献。2025年より主に西日本エリアの様々な自治体様におけるプレミアム付商品券のデジタル化事業をご支援している。